先出) '95 till Infinity 087

90年代西オーストラリア州パースを舞台とする3人の少年の物語、" '95 till Infinity " 第6章・"World Skaters Day"の先出有料マガジン内の記事です。

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↓ 以下、"'95 till Infinity 087"です。


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【 第6章: World Skaters Day 001 】

時空の歪みに嵌まりこんだような一日からしばらく経ち、棘の抜けた太陽を全身で浴びながら俺は人通りのないセント・ジョージス・テラスをスワンリバーへと歩いている。

透き通った秋の空気は本当に美味しくて、高層オフィスビルの陰に入る度に俺は暖かい日差しを求め足を速める。

あの晩はいったい何だったんだろう。

会うはずもない奴と出くわし、帰ってくるはずのない奴が帰ってきていた。
完全に終わっているはずのことが全然終わっていなくて、あるはずのない感情が突然噴き出した。

結局は何も終わってなかったんだと思う。

結局、俺は自分の手に負えない物をただ見えないところに隠して、それで全てを忘れたことにしただけだった。

だが、それももう終わった。

俺はあの朝、そういったもの全てに自分なりの決着をつけた。

その証拠にあれから一度だって俺はあったかどうか、今となってはそれすら定かではない大昔の出来事に心が揺れたことはない。

俺が築き上げたものは磐石だ。
どんな風が吹いても揺れることはない。

俺が、現在俺が俺である理由、その基盤、その基礎となるもの。それが、過去の何事によっても揺らぐことはもう絶対にない。

子供たちはニコールの実家にランチに呼ばれていった。
職場に携帯を取りに出た俺はスワンリバーへと向かっている。

土曜のよく晴れた昼前の時間を川辺の芝生の上に寝転んで、雲ひとつない淡いブルーの空をただ眺めるためだけに俺はスワンリバーへと向かっている。

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