'95 till Infinity 第4章も終わり / アボリジニの話
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'95 till Infinity 第4章も終わり / アボリジニの話

90年年代後半西オーストラリア・パースのドラッグ&スケートシーンが舞台の連載小説、'95 till Infinity 第4章も明後日で終わり。

更新が途絶えた昨年末からコロナ禍での在宅勤務でnoteを再始動するまで、数か月近く空いたりしたけど、'95 till Infinityの連載を本格的に初めて(なぜか第1話を去年の3月にUPして、その後8月まで更新なしという、笑…)から丸1年。

相変わらず、小説よりアウトロー系自分史の方が圧倒的にアクセスがいいという状況だけど、数人、できれば数十人くらいは継続的に読んでもらってる、なんだったら、更新を楽しみにさえしてくれてる人がいると(勝手に)信じてUPし続けてます。

さて、そんな'95 till Infinity、ここに何度か書いててるけど、"盛り上がりに欠けて、つまんない"という声をよく聞きます。

読んでる方がそう言うなら、それはそうなんだろうけど、ホントマジで第5章まではダンスミュージックでいうビルドアップだから、笑!

(って、第6章以降のハードル上げたな…)


で、明後日で終わる第4章。以前、"実は、この第4章の中に(書いた自分でいうのも変な話ですが…)この小説の中のお気にいりシーンの1つがあります"なんて書きましたが、それは '95 till Infinitty 077~079の3話です。

日本在住の方、というか、オーストラリアに住んだことがない人にとって、オーストラリアの先住民・アボリジニのイメージは多分、なんとなく"エアーズロック、ディジリドゥーと点描画みたいなアート"って感じだと思いますが、俺が住んでた90年代のパースでアボリジニが置かれていた状況はあまりにもヒドいものでした。

(今はどうなってるんだろ…もう18年も帰ってないから、わかんないや。)

多くの家庭が"I don't give a fuck"と何も考えず、福祉の金でその日暮らしをし、小学生のシンナー中毒のガキがいたり、大きくなればなったで空き巣にひったくりとケチな犯罪(あんだけいろんな民族系ギャング、マフィアがあったパースだけど、組織だったアボリジニ系の犯罪グループはなかった)でシャバと刑務所を行ったりきたりと、社会・家庭環境が本当にヒドく、将来のことなんか誰も考えてないようにみえた。

そして、努力(そんな環境なんで、並大抵の努力じゃないっすよ、これ)して、学校、大学に行き、卒業しても結局差別・偏見の対象になる。

街を歩けば、夜中に車を運転してれば、アボリジニだからって理由で職質に遭う。

警察側からすれば、実際、アボリジニのガキたちが面白半分で車盗んで乗り回す"joy ride"的ケースがあまりにも多かったからなんだけど、まぁ、堅気で頑張ってるアボリジニ的には"なんだよ、マジメに頑張ってもこれっすか?"ってなっちゃいますわな。

これはもう本当にいろんな要素が合わさった悪循環なんだけど、そうなだけに解決するのは、ミッション(ほぼ)インポッシブル。

某新首相の"自助・共助・公助"じゃないけれど、自分でなんとかするには置かれている環境がハードすぎるし、そもそも自分がいるコミュニティーしか知らないんだから、頑張って勉強すれば~なんて思いつかない。

自分たちのやり方で共助し、支え合うけど、日々の生活をなんとか過ごす中でそれができてもコミュニティーの根本から変えるのなんて到底無理。

アジア系、特にベトナム系は同様にfucked upな家庭環境で悪くなってった奴らが多かったけど、それでもギャングやって、抗争でドライブバイシューティングかまして東南アジアからヘロイン輸入するような本物のギャングスタがいる一方で、過労で血尿出るくらい働き続けて商売で大成功するような人間や、必死で勉強して弁護士、医者になる人間もたくさんいた。

それに比べれば、アボリジニコミュニティーの状況はもっと(こう言っちゃなんだけど)救いがなかったように思う。

俺が街で不良やってた当時のパースでもアボリジニ系でSouth Side(日本語の記事だし、名前出してもいいよね)ってギャングがあって、その頭やってた有名ジャズミュージシャンと同姓同名の友達がいた。

(名前は、仮にマイルズ・デービスと同姓同名ということにして、マイルズと呼ぼう。)

マイルズは俺と同じ年か1つ2つ上。ガキの頃から他のアボリジニの不良少年から自然に頼られるリーダー的存在だった。

最初にマイルズを紹介してくれたのは、後に俺の兄弟分になったベトナム人のその名も"地獄のグーフィー"と呼ばれていた、当時パース最大のベトナム人ギャング・Dragon Boysと1人でやりあってた超武闘派の一匹狼だった。

(グーフィーの話はホントいろいろあるんで、別の機会に書こうと思う。)

知り合った時、マイルズは少年院(18過ぎてたら、刑務所?)から出てきたばかりで、街のメインストリートの当時不良少年少女がタマってたベンチで紹介され、街で会えば挨拶をし合い、たまには遊びに行くようになった。

マイルズの周りの奴らは、"I don't give a fuck"を地でいくような奴らだったけど、マイルズ自身は本当にまともだった。

そりゃギャングなんで揉め事があれば結局は暴力で押し切ってただろうし、ネタだって動かしてたと思う。

けど、マイルズ自身はいつも穏やかで、"教養"はなかったかもしれないが、物事を冷静・客観的に考えられる、"知性"を感じる、非常にいい男だった。

そんなマイルスがでたらめばかりかまし、ケチな犯罪でパクられてばかりの周り人間のケツ吹きに追われ、巻き込まれ、パクられる姿を見ていると、"あぁ、違う環境に生まれ育ってたら、こいつは絶対一廉の人間になってたのになぁ…"と本当にもったいない気持ちになった。

で、このマイルズが、どうこの記事、'95 till Infinityと関係するかというと、77~79話に出てくるリチャードを書いた時、別にモデルって訳じゃないけど、ずっとマイルズのことを考えながら書いてたってハナシ。

ちなみに、ヌンガーパトロールってのは、俺が2002年に4年ぶりにパースに帰った時に、'95 till Infinityにも出てくるノーズブリッジって繁華街で地獄のグーフィーで遊んでた時に見かけた、お揃いのジャンパーを着て巡回してたアボリジニ版ガーディアンエンジェルズ(そういえば、博多の元暴走族OBの先輩たちが、親不孝通りでよくあいつらと揉めてたな…)的な奴ら。

ヌンガーってのは多分西オーストラリアのアボリジニの部族の名前だったと思うけど、アボリジニコミュニティーの中でそういう動きが出てきたことが、(他人事ながらも)本当にうれしかった。


肝心の'95 till Infinity 第5章は来週の水曜、9/30のいつもの時間から連載開始です。この第5章は先出有料マガジンではもう全エピソードUP済みなんで、一気に読みたいって方はぜひどうぞ。

さらーっと書くつもりが今日も長くなったな。

では、アディオス!


< Nas "The World is Yours" >

第4章のタイトル、そしてリチャードのセリフの一部はこの曲から。

"The World is Your"繋がりでいけば、フランス映画の"La Haine(憎しみ)"はヒップホップ小僧だった高校時代に見たけど、ホントよかったなー。


いやー、ホント捨て曲なしのマジ名盤。


'95 till Infinity好きで、アービン・ウェルシュ読んでたことない人はぜひ。

トレインスポッティングももちろんいいけど、青春小説、そして、その後のライフストーリーってとこでは、グルーが本当に好き。

なんだったら、ガンジャでパクられたサムイ島の判決待ちの3ヶ月でこの本を繰り返し繰り返し読んだことが'95 till Infinityを書くことに繋がったと思う。

90年代オーストラリアのアジア系ギャングの話が気になる方は、(シドニーの話だけど)森巣博のこちら。かなりリアル。


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えいきら

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東南アジア某国在住の元ろくでなし。酒・音楽・サブカル・アングラ、そしてなにより楽しいことが好き。酒は飲むからには呑まれる42歳。