'95 till Infinity 028
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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 020 】
最後に笑うのは俺みたいに『違い』のわかった奴なんだよと思いながら外に出てみると、カイロは煙草を口に咥えたまま空を見ていた。
俺に気づいたカイロは空を見上げたまま言う。
「今日の空はすごいよ。空全体が丸い小さい雲が繋がったみたいなので覆われててさ、雲の切れ目から月が見えてて。雲のとこは黒いんだけど、淵の方は段々黒がグレーに、グレーが白になっててさ。んで、月のまわりは月の黄色が混ざってクリーム色になってるしさ、マジでやばいよ。」
そう言われて空を見ると、確かにいろんな色が混じりあって長いこと作業部屋にこもった画家が床に置いていったパレットみたいだ。
カイロは目線をまっすぐと空に向けたまま続ける。
「こんな見たこともないような空見てっとさ、トーニがさっきから言ってるみたいにこのレイブってのが俺たちが知らないだけですげーおもしろいモンなのかもって思えてくるよね。
なんかさ、この今日俺たちが行く生まれて初めてのレイブってのが、その何て言うの?変な言い方だけど、人生を変えちゃうみたいなさ。
だってさ、こんな見たこともないような空があるんだったら、俺たちが知らないとんでもなくおもしろいこともあるってことじゃない?」
俺はそれを聞きながら、煙草に火を点けて煙を深く吸い込む。
吸い込んだマルボロの煙は喉をくすぐりながらも、一定の重さを持って肺へと降りていく。
煙を吐き出しながら俺は思う。国産の煙草なんか軽いだけで単純に喉をいがいがと刺激するだけだ。ウィンフィールドなんかじゃこうはいかないし、ホライゾンなんてもってのほかだ。
noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。