
'95 till Infinity 150
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【 第8章 - ③: Story of His Life 007 】
もし、人が変わるとしたら、それはその人がその変化を自分で求めていたからなんだ。
そして、その変化が恒久的に続くとしたら、それはきっとその本人がその変化を、変わった自分を自分で気に入ってるからなんだよ。
俺は思ったよ、たかが物や他人で変わるような薄いっぺらい人生なんてないってね。もし、本当にそんな人生があったとしたら、それはあまりにも悲しすぎるよ。
人間はみな自分の人生で自分なりの選択をして生きていくんだ、それがいい選択か悪い選択かは別としてね。
この俺がこう言うのは間違っていることはわかっているよ。
けど、エマにしたって、エマはヘロインという選択肢を自分で選んで死んでいったんだ。
そうでも考えないとエマがかわいそうでしょ?ヘロインみたいなろくでもないものに自分を支配されて死んでいったなんてさ。
そう考えると、自分がいかに思い上がっていたかわかったよ。
エマは俺のせいなんかで死んでいったんじゃない。
俺みたいな生きる価値もないカスに人生を変えられてあの薄暗い、臭い、便座もないような公衆便所で野垂れ死んだんじゃない。
それがどんなに悲しく惨めな死であったとしても、あれがエマのかけがえのない人生の終焉だったんだよ。
そのことに気づいた俺はさ、胸の奥から湧きあげてくる何かに押されて深い吐息を1つついて、ポケットの中の煙草に手を伸ばしたよ。
風をよける為にくわえた煙草を襟口からTシャツの中に入れて、パタパタと風になびくTシャツを左手で伸ばしてさ、煙草に火をつけて、ゆっくりと襟口からまた顔を出したんだ。
海の向こうでは太陽が昇ろうとしててさ。雲の薄いところから順に色が変わってってさ、本当にキレイだったなぁ。
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