連帯保証からは逃げられない……。でもこんな手があります。 その2

「連帯保証から抜けたいと思った経緯」

さて、私が連帯保証人の負担地獄から抜け出した話をしたいと思います。
以前書いたように、一度連帯保証人として判を押してしまえば、その責務から逃れる術はありません。お金を借りた本人が借金を返せなくなったら、本人に代わってそれを必ず払わなければならないのです。

では、その地獄からどうやって抜け出したか。それは連帯保証の義務を果たした後で、そのお金を元々払うべき本人に請求して、肩代わりした分を取り返した、という方法でした。
下記に詳しく書きますが、これを民法では「民法 第459条 委託を受けた保証人の求償権」と言います。
この下の有料記事を読まずに済ませたい人は、ぜひネットで「民法 条」を検索し、然るべき機関に相談してみてください。

さて、私の場合の話をします。

私が連帯保証人になった相手は、自分の息子でした。当時大学の寮に入っていた息子が寮を出て一人暮らしをしたいというので、賃貸ア

パートの契約書にある連帯保証の欄に判を押したのです。学生とはいえ奨学金ももらっていましたし、なにより息子のことを信頼していたので、捺印しない理由はなにもありませんでした。

異変があったのは、彼の最終学年の年です。
留年して奨学金を止められ、内定先からも断られた彼は、次第に家賃の払いが滞るようになったようです。遠くに住む私がそれを知ったのは、家賃保証会社から威圧的な電話が来るようになってからでした。

「息子さんが家賃を滞納しています。連絡を取ってください」

もちろんすぐに連絡を取りました。息子の返事は「ああ、そんな電話は放っておけばいいよ」
本当にそれでいいのかと思いつつ、息子がなんとかするだろうと思い、任せていました。
すると今度は保証会社から、「あなたが払ってください」と、強い口調でかかってきたのです。

「息子が自分で払うと言ってるんだ。彼と連絡を取ってくれ」
「息子さんは着信拒否をしてこちらと連絡を取れないようにしている。連帯保証人であるあなたに払う義務があるんだ」
まぁ仕方がない。家賃が滞ることもあるだろう。そう思ってそのときは支払いました。ところがまたすぐに、次の滞納があったのです。

いくら我が子とはいえ、予告なしに襲ってくる数万円の出費。しかもそれがいつ発生するのかわからない。今月は生じないかもしれないが、来月からは毎月発生するかもしれない。
それを本当に払わなければならないのか、それとも息子が払うべきだからと放っておけば済む話なのか。それすらも私にはわかりませんでした。とにかく息子に「おまえがちゃんと払ってくれよ」と言うしか手がありません。それに対してはいつものように、息子は「あー、はいはい」と言うだけです。

私はだんだん疲弊してきました。息子のことを考えるたび、真っ黒な恐怖が襲って来るようになったのです。

決定的だったのは、私の兄にまで家賃保証会社から督促が行ったことです。

それまでも私と同じ連隊保証人である私の父、つまり彼にとっての祖父にも同様の高圧的な電話があり、気分を害した父は言い返したそうですが、結局は建て替えていて、数度の不払いを私と父の二人で肩代わりしていたのです。
それだけならまだ我慢できましたが、さらに私の兄、彼にとっての叔父にまで督促が行ったのです。
「おい、おまえの息子、どうなってるんだ」
本来は関係のない兄からそう問われて、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしました。

何度も何度も身が縮まるような電話に脅され、本人である息子に連絡してものらりくらりとかわされ、私はすっかりまいってしまいました。あれほど大切に育ててきたのに、息子のことが嫌になりはじめていて、そんな自分が嫌いになっていきました。

そしてとうとう、私は決断しました。
我が子と言えども、毅然とした態度を取るべきだと。


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