連帯保証からは逃げられない……。でもこんな手があります。 その4

「民事調停、という手段」

さて、彼が契約した不動産会社に電話を入れ、私と父、二人の連帯保証人の署名捺印が入った賃貸契約書のコピーを送ってもらいました。
余談ですが、当初は協力的だったこの不動産会社は、後に敵に回ります。これは後日改めて書きます。

さて、それらの資料を持って、再び法テラスに赴きました。一読した弁護士さんの判断だと、たしかにこれは連帯保証人である私と私の父がが、立場が同じであるはずの家賃保証会社に滞納家賃を立て替えて払う義務がありそうだ、とのことです。道理であれほど高圧的な電話を執拗に掛けてくるはずでした。

さて、ここからどうするか。
弁護士さんの話だと、やはり連帯保証人として払う義務からは逃れられないでしょう、との事でした。(実は裏技があって、それは自己破産してしまうこと、だそうです)

ただし、と弁護士さんは続けます。
建て替えた分を主債務者、つまり家賃を払うべき息子さんに「本来はあなたが払うべきだ」と請求することができますよ、と。
そう。これがまさに、この一連の記事の核となっている民法459条「委託を受けた保証人の求償権」なのでした。

こうして作戦の基本方針が決まったところで、弁護士さんは二つの道を示してきました。

「訴訟にしますか、調停にしますか」

それまでの僕は、調停というものを知りませんでした。聞けば、裁判所で調停員が当事者同士の話を聞き、話し合いで事態の解決を図る制度なのだそうです。

少し悩みました。この「保証人の求償権」がある以上、どんな方法をとっても立て替えた家賃分のお金を取り返すことはできます。ではどっちの方法を取るか。

実を言うと、一度毅然とした態度で臨むと決めておきながら、この期に及んでもなお、僕はどこか及び腰でした。
いくら非人道的な対応をするとはいっても、相手は仮にも息子です。裁判の場に引きずり出して叩きのめすのは本意ではありませんでした。

だいたい目的は、実の息子からお金を分捕ることではなく、「もうこれ以上無断で支払いを肩代わりさせるのはやめてくれ。事前に言えば納得するから」と言いたかったのです。もし仮に彼が「親父、悪かった。ちょっと支払がキツかったもんだから。これからは自分でちゃんと払うよ」言えば、全てを許したでしょう。
ところが、なんの連絡もせず、好きな時にこちらに払わせる態度に業を煮やして、今回のこととなったのです。話し合いでこちらの真意が伝われば、それは望むところでした。裁判で白黒つける必要などないのです。

民事調停を望みます、と告げると、弁護士さんはいろんなアドバイスをしてくれました。家庭内の問題として家庭裁判所に申し出ると軽く扱われる可能性があるからお金の問題として簡易裁判所に提出すること、等です。

ここで一つ問題がありました。それは……。


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