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「私とドクターズの話」(2018)/「Wings」(新書館連載中)・日常エッセイ「必ずあなたの役に立つ海馬」期間限定公開

隔月刊「Wings」(新書館)にて、日常エッセイ「必ずあなたの役に立つ海馬」を連載させていただいています。許可をいただいたので、その中から単行本未収録エッセイをランダムにいくつか期間限定公開します。

よかったら読んでってください。

公開期間は、なんか落ちついたなと思えるその日まで。とっととこーい!

ワクチンとか陰謀論とかタイムリーだけど笑ってやって!

ドクターズ変な人ばっかですが、今専門医たちを見てても風変わりではあるね。専門脳。感謝じゃすまない現在ですが、専門脳おもしろいと笑える日よとっととかもん。

海馬シリーズは10冊出ていますが電子が出ていないので、気が向いたら本を本棚に入れてやってください。

電子のエッセイは、

「不健全な精神だって健全な肉体に宿りたいのだ」1-3(イースト・プレス)

「おうちごはんは適宜でおいしい」(徳間書店)

が、配信中です。

そんでは!

「私とドクターズの話」(2018)

 私は最近、生まれもつかぬ陰謀論に囚われている。
 生まれもつかぬ陰謀論ってなんだ。陰謀論に囚われたことなどないつもりで生きて来たが、ドラッグストアに行くたびに私の中で陰謀論が生まれ出る。
「誰かが杉花粉思いっきり飛ばしてるんじゃ」
 花粉に塗れた私、菅野✿彰の季節が盛大にやって参りました。
 毎年言ってるけど今年は本当に本当に本当に酷いんだからね!
 花粉ってなんのために飛ぶんだろう。受粉したいんじゃないの? 私と? 私と性行為なの? ちょっとやめてくれる!? そういうの!!
「性犯罪防止のために、この何が入ってるのかわからないスプレーとか、花粉を何かに変える錬金術師からありとあらゆるものを買ってしまいそうになる……」
 しまいそうになってるだけならいいけど、結構買ってる。
 覚えていますか。私は杉花粉症を発症した年に、首からぶら下げる空気清浄機に万単位の金額を払うほど朦朧としていた人です。
 杉花粉飛散時期に自分がドラックストアでうっかり買った花粉対策グッズたちが、総計おいくらまんえんなのかなんて考えたくない。
 大丈夫そんな季節の私はレシートも取ってはいない!
 何も大丈夫なんかじゃない。
「ああ……なんかものすごいこの花粉対策コーナーのやる気……」
 入ってみて、三月四月のドラッグストアに。
 売る気満々の各社対策グッズが、魅惑のわかりやすい花粉ネームを付けられて積み上げられている。
「そして私の花粉心(何その造語とか突っ込まないで。求む情状酌量)を逆撫でするこの……CMは一体何……」
 ドラッグストアには、音だけのCMが流れている。
「えー? 春なのに楽しくないなんてつまんなくない?」
 明るい女の子の高音ボイスが、マスクの下の私の唇を強ばらせる。
「こーんな楽しい季節なのにー。楽しんじゃおうよー! 春!」
「好きでつまらん思いをしているわけではない!!」
 と、外で叫ばない理性がギリギリ残っているかも怪しいので、花粉の時期は可能な限り引きこもりである。
 どんなに晴れて春めいてきても、洗濯物も外には絶対に干せない。ちょっとあったかい日にも窓を開けるなんてもってのほか。
 そしてまた、使い方さえよくわからない花粉グッズが、部屋に一つ積み上げられる。
「これって、このグッズに関わる何処かしらの陰謀なのでは……」
 杉花粉誰か飛ばしてる陰謀論に、包まれている物騒な私である。
 去年の海馬に私は、二人の花粉症仲間について書いた。
 配達に来てくれる宅配のお姉さんと、お互い記憶にないが実家の隣のお嬢さんだったクリーニング屋さんの奥さんだ。
 奥さんには去年、
「一本打つと花粉症の時期症状が出ない注射があるんですよ!」
 という、夢幻の如くなりみたいな話をされた。この注射は実在する。
「そこの内科で受付にその注射を打ちたいというと、別の廊下から通してくれるんです」
「来年私必ず打つわ私その謎の注射を!」
 大丈夫? ねえ私たち大丈夫? 誰!? 花粉飛ばしてる人!
 しかし、本当に本当に過去最高に症状が悲惨な今期が訪れても、私はその注射を打つ気にはなれなかった。色々調べたところ、将来的に悪影響を及ぼすか否かという臨床例が足りていないと感じたのだ(非・花粉症期菅野彰調べ)。
「いやー世界が黄色いマジで」
 会津としては今日が花粉クライマックスの始まり(小説家の言語中枢を破壊する花粉の威力を体現中)みたいな日にクリーニング屋さんを訪ねると、奥さんは首から顔から真っ赤に腫れ上がらせていた。
「今年の花粉は本当に酷いです!」
「あなたがその広告塔になっている……」
「私、去年言ってた注射今打ってきました!」
「ええっ!? 今!? でもそれはもう打たずにいられないよね……」
 未来が将来がとか言ってる場合じゃなく、彼女は今このときもうどうにもなってない。
「眠れもしないんです!」
「それだけ体が腫れてたら本当に何もできないよ。取りにきたとき効果あったか教えて」
 衣類を預けて、私は帰宅した。
 奥さんほど酷くはないが、私も私の全てがものすごい勢いで滞る今期の花粉である。未来より今日の私を考えて、その注射を打つべきかとも思い詰めた。全てというのは、仕事生活人間関係全部だ。滞りまくりまくっとる。
 だが仕上がった衣類を取りに行くと、相変わらず奥さんはしんどそうにしていた。
「き、効いた……? 少しは」
 一目瞭然だが、本人的体感があるかもしれないとダメ元で訊いた。
「聞いてくださいよ……何人かに一人とかなんとかいう確率でその注射が効かない人がいて、私はその一人だそうです……」
「危険を冒して……安くはない金額を支払って……なんという悲劇」
 その悲劇を見てしまうと、とても打とうという気持ちにはなれない。
 花粉がきまってこの季節本当に人が変わってしまう宅配のお姉さんに、悲劇を伝えた。
「知ってますその注射……そんな危ない橋を渡って効かないなんて……」
 マスクもしていない宅配のお姉さん、震える。
「なんでマスクしてないの?」
「私蓄膿のけがあって、鼻水止めるとこめかみから眉間からかち割られるくらい痛むので垂れ流しておくしかないんですよ。この季節本当に地獄です!」
「しゅ、手術しないの? 蓄膿」
「この季節だけなんですよ、かち割られるほど痛いの。花粉が私に蓄膿を思い出させる……あ、そうだ。某社の某健康食品なんですけど」
 彼女は、某社のアレルギー対策サプリの話を始めた。
「効くの? それ」
 何度でも言うがこの季節私は、効くと言われたら水晶玉でも奉ってしまいそうな勢い。普段、サプリはビタミン剤も飲まない。
「それが、結構定期購入してるお宅が増えてて。みなさん花粉がマシになったっておっしゃるんですよ。私も飲んでみようかと思うんですけど、悲劇のクリーニング屋さんにお伝えください!」
「わかった! ……と、宅配のお姉さんが言っていたよ」
 後日まるっとクリーニング屋さんに伝えると、その場で真顔でメモを取っていた。
 我々の頭が荒れ狂う季節、昨日担当さんから電話があった。
「すみません……今年、本当に花粉が凄くて思うように原稿が進まず……」
 二度目の言い訳だが、本当にこれが理由で原稿も滞っている。目が痒くて目覚めるレベルなんだよ!
「みなさん今年はすごいと言ってますがそろそろ〆切も過ぎて……少し具体的な目処をいただけませんか」
 私は今、来年の花粉の時期にお仕事がいただけないのではないかと危惧しているくらい、各社にご迷惑をかけている。
「桜が咲いたのでもう大丈夫です」
 電話口で私は言った。
「…………」
 電話なのに、饒舌すぎる沈黙が流れた。
「違います! 私花粉が酷いので引き籠もっていたのですが、今日とうとう食料が尽きてスーパーに行ったんです。そしたら桜がかなり咲いていて、例年私は桜が咲くと外でお弁当を食べたりしていたので花粉はきっとそろそろ収束するだろうからもう大丈夫です、の大丈夫ですです!!」
「……心臓が止まるかと思いました」
「すごいですね電話なのにその饒舌な沈黙……『どうしようとうとう花粉が頭にきてしまった原稿はどうなる』という激しすぎる動揺が伝わりましたよ!」
「電話なのに心を読まないでください! だって桜は日本人には狂気の原風景ですよ!! 桜の下で人は狂ったりするものです。桜という花が私を恐怖に陥れたんですよ!」
「それは坂口安吾の仕業かと思います」
「皆まで言っていただかないと、『桜が咲いたのでもう大丈夫です』とは本当に恐ろしい台詞ですよ。日本人として当然の恐怖です!」
「気持ちはわからなくもないですが……水仙も咲き誇っているので水仙と言えばよかったですね」
「水仙にも水辺に映った自分に恋をする狂気を感じます!」
「なんで日本の心を主張しまくってたのに突然ギリシャ神話の世界に飛ぶんですか!(ナルシスの語源ナルキッソス)」
「もっと無難な花で大丈夫を表現してください。ウツボカヅラが咲いたのでもう大丈夫ですと言ってくださったらこんなに怯えませんよ!」
「私の近くでウツボカヅラ咲いてたらその方がやばくないですか!?」
 担当さんは「私は抜けた」と言い張る花粉症の人だ。このように仕事の電話さえ花粉に侵されて、ちいとも本題に入れない。
 まだ続くのか花粉トークとうんざりしないで聞いてくれ。
 ここからが本題、私とDr.ずの話である。花粉症といえば医者であろう。
 随分長いこと私は風邪を引いていなかったのだが、この冬の終わりに二回どかんと来た。
 疲れているのかもしれないが、物理的理由と精神的理由から二度風邪をひいた。
 それ真逆の理由やないかい。だから風邪って本当に怖いね!
 初回は、従弟の子どもの達の無邪気な魔の手に寄って物理的に風邪を引いた。
 氷点下の夕方、私はばあちゃんの仏壇に花を上げに行った。なんか子ども達が全部いた。全部で五人。
 歳を取って私は、子どもは宝だなと思う心の余裕がちょっとできている。今まで思わんかったんかい。思う余裕がなかったのだ。子どもは共闘するものか向き合って闘いを挑んでくるものかどっちかだった。
 だが近頃従兄弟たちの子ども達も成人したりして、ちっこいのが少なくなった。
 そしてほんの少し前から私は「遊んであげる人」から「勉強を教えてあげる人」にジョブチェンジした、つもりだった。
 しかしそれはあくまで私側の認識でしかなかったと、この日私は思い知ることになった。
 上から下まで宿題をしていたので、私は五年生の宿題を見ようとした。この五年生は、数え切れない(本当です。おおい親戚の子どもおおい少子化なんじゃなかったの)従兄弟の子ども達の中で、恐らく唯一なんか間違って私の遺伝子が入り込んだおたく予備軍女子。歴女予備軍である。私が現れると日本史のクイズを出しまくる。
「Sの好きな歴史上の人物誰?」
 もう五年生だし方向性も定まった頃かと、私は尋ねてみた。
「えー、好きっていうかー、明智光秀と上杉謙信」
 んー、まあまあやばいな私の遺伝子! そろそろ「日出処の天子」を渡すときが来ただろうか。中学の入学祝いにすべきだろうか。悪魔の所業だろうか。
「のんちゃん(私です)宿題教えて。ここ」
「そのために私はここにいる……ええと、ん、これは……二桁の分数の割り算……そして小数点がある数同士の割り算……」
 できますか。大人のみなさんできますか。
「のんちゃんの先生の免許、国語なんだよ」
「小学生の勉強だよ!?」
「もうー、しょうがないなー」
 と、向かいから中二男子が、「俺、わかるぜ」みたいに割り込んで来る。割り込み大歓迎、私本当に全然わからない。
「んーと、これはー」
 しかし中二も結局わからず、のんちゃん、中二、小五の三人で、
「うーん」
 分数を眺めて唸っていたところに、自分の期末試験の勉強をしていた高校生がその手を止めた。
「これはね、こことこことをこうして……」
 見かねて教えてくれる長女に、三人で頷く。
「ありがとうH」
 星竜馬の姉ちゃんみたいにやさしすぎて私が超心配してる長女に礼を言うと、下三人の小学生と幼稚園児が盛大に囀り出した。
「のんちゃん遊んでー!」
 私はここのところ勉強を教える外敵に身をやつしていたので、この攻撃はちょっと久しぶりである。
「のんちゃんは、遊びません」
 数年前に試しに言ったら玄関口で号泣されたセリフだが、最近は子ども達もそこまで子どもでもなくなってきた。
「遊んでよー! あ、のんちゃんあれに似てる●ちゃん!」
 突然女の子の名前を言われて、友達だろうかと思っていると、それはテレビに出ているタレントさんだった。
「誰それ」
「●ちゃんだよ!」
「●ちゃんだってば!!」
「●ちゃんだよー!」
 子どもって本当に、こんなに話にならないものでしたでしょうかね。
「だから誰やねん」
「今、●●っていうドラマに出てるこういう女の子」
 見かねて高校生長女が説明してくれるものの、聞いておいてなんだがその場で顔がわからない。
「なんで髪降ろしてるの? 結った方が絶対かわいいのにー!」
 小五と小三の二人にものすごい中途半端に髪を結い上げられて、従兄のところの既に成人した姉妹が幼い頃、
「のんちゃんマニキュア塗ってあげるー!」
 と、少女雑誌の付録のマニキュアを右手だけ塗っていなくなったことを、既視感とともに懐かしく思い出した……。
「遊ぼうよ!」
 散々私を弄んで、その上子ども達はもっと能動的に遊べと言う。
「遊びません。のんちゃんあんたたちのパパより年上なんだからね。おばあちゃんなんだからね」
「何言ってるんですかー、まだまだお若いですよー(子どもってこういう何かで聞いてきた物真似するので気をつけましょう)」
「おばあちゃんなの!」
「バドミントンしようよー!」
「できないって!!」
 抵抗してこたつにしがみつく私を、三人がかりで引きずり出す子ども達。ものすごい力である。のんちゃん本当におばあちゃんで非力なので、力では全然敵わない。
「バドミントンなんて百年くらいやってないよ!」
「うそつき!」
 確かに嘘だが、心はそのくらいバドミントンを離れていると詩人は言いたい。
 ここで遊んだらお終いだという何かが、私の中にはあった。この認識はとても正しかったと私は後に知ることになる。
 激しい抵抗をなんと一時間にも渡って繰り広げたが、一時間に渡って彼女たちは休むことなくあきらめずに遊んで攻撃を続けた。
「……ちょっとだけだからね……」
 根負けした私は(でも五十年くらいは抵抗した感覚)、腕を引かれて仏間でに連れて行かれた。
 この仏間は私が幼少のみぎりから変わっておらず、私も子どものころはいとこ達とここでバレーボールをしたりしたが、すぐにじいちゃんに目茶苦茶怒られた。
 しかし叔父と叔母は新世紀のじいちゃんばあちゃんなので、子ども達が仏間で遊んでくれていたらむしろ御の字なのである。
「真面目にやってよ!」
 恐らく年単位でバドミントンをやっていない私に、子ども達からはゲキが飛んだ。
 私と同世代の方でスポーツをしない方は年単位なんて菅野さんアクティブ、と思うかもしれないが、いつでもバドミントンの相手はこうして私の手を引く子ども達である。
「真面目に……やってるよ……っ」
「続かないからゴムボールに変えてあげる!」
 何故私は君たちに温情措置を受けてまでバドミントンをしなければならないのだ。
「ねえ……ほらのんちゃんとバドミントンしても続かないからつまんないでしょう……? もう許して……」
「十回ラリーできるまでダメ!」
 なんで? ねえなんで?
 そこに、菩薩のような長女が試験勉強をあきらめて現れた。
「お姉ちゃんがやるからバドミントン。……のんちゃん、帰っていいよ」
 やさしすぎて私は菩薩が心配。
 逃げるように帰宅したが、仏間は氷点下で暖房なしであった。
 そこでゼエゼエ言いながらバドミントンをして汗も掻いて喉も痛めたので、私は物理的に風邪を引いたのである。
 倒れながら私は、子ども達が言っていたテレビに出ている「●ちゃん」を、ちょっとワクワクして画像検索してみた。
 一応若い女優さんだ。歳は違うが似てると言うなら、メイクや髪型の参考にもしたいし見てみたいではないか。
「……ええと」
 ごめん●ちゃん。あなたは個性派女優さんなのかな。写真を捲っても捲っても捲っても……顔の造作についてはあれこれ言わない。
 ただ、どうしてほとんど笑ってないの?
「こんなに力いっぱい君たちと遊んでいる私が、子どもたちの目にはどう映ってるというのだ……理不尽!」
「でも確かに似てんで。その子ドラマでよく人殺しとる」
 友人Mちゃんに愚痴ると、残念な情報が追加された。
 でものんちゃんは子ども達の言葉を真に受けて、その日から髪を結う練習を始めた。手先が絶望的に不器用なので、お団子を結うのにも練習が必要な私である。
「ねえねえ、どう?」
 後日風邪が治って再訪したばあちゃんちで、私は小五に訊いた。
「何が?」
「髪結ってみたの」
「ふーん。だからなにー?」
 ……なんで私は子どもの言葉を本気で聞いてしまうの!? かわいそう!
「いやー、この間久しぶりに仏間でバドミントンした後風邪引いたわ。すごいあのあきらめない力。何か他のことに使ってくれ」
 今日は大人席を離れないぞと、私は台所で叔母のそばに座った。
「おまえ、あれだぞ。子ども達はな、絶対遊んでくれない人には一言も言わないんだぞ。遊んでって」
「え?」
「おまえは言い続けたらいつか必ず遊んでくれると舐められてるから、一時間もあきらめないんだ」
「そんな……」
「この間粘ったら遊んでくれたから、また十年は同じことだぞ」
「でも十年経つ頃には一番下も高校生くらいになって……」
「その頃は長女Hの子どもが遊んでとおまえに言うだろう」
「やめてそういう予言するの!」
 長女Hはしかし母親によく似ていてる尽くすタイプなので、あっという間に結婚して子どももすぐに生まれる予感はする。
 母の実家は、私以外結婚が早くて多産なのだ。私は父に似た。
「でもHはやさしすぎて心配だよ……一人暮らしはした方がいいと思うけど。大学行くなら」
 子どもの頃からほとんど怒るということがなく弟妹の面倒を見て、その上「私ママのお手伝いができてない」と落ち込むような菩薩が三度目だが私は心配だ。
「本当にそれが心配なんだ!」
 Hの祖母に当たる叔母は、もちろん私の百倍心配していた。
「あの子は誰にでもやさしいんだ。悪い人に捕まったらと思うと心配で心配で……」
「本当に。結婚は早そうだけどどうかいい人と出会って欲しい。似てるけど母親のRは、Tと出会えて幸運だったよね」
 従弟のTと結婚したRも心配になるやさしさだが、よい夫と子どもをたくさん持って幸せな家庭を築けて何よりだと私は言った。
「そうか?」
 そのTの母親である叔母、真顔である。
「幸せだよ! Rは!!」
 とりあえず言っとかないとの精神で、私は言っといた。
 ちなみにHに関しては、私は彼女が家を出る前にLINEを交換しようとその隙を淡々と狙っている。
 これが物理的に引いた風邪の話である。あ、医者出て来ない。喉風邪なのでこのときは自力で治した。
 そして先日、精神的理由で風邪を引いた。
 新宿駅構内新南口にあるスコーン屋さんのスコーンがおいしいよとツイートしたら、なんか知らんがめっちゃバズった。一万リツイート超えた。
 色んな感覚の人がいると思うが、私は基本的にたくさん拡散されるとブルーになる。拡散して貰って認知してもらいたい情報のときはありがたいが、そんなつもりはなくても突然一万リツイートされたりするのがSNSである。
「どんなツイートも一万リツイートされても大丈夫か常に考えてからツイートしたい」
 そう思ってるけど時々失念する。失念するというか、
「え? なんでこれ拡散されるの!?」
 みたいなツイートが、こうして多く拡散されることはたまにある。
 真冬には水道管凍結気をつけてねみたいななんということのないツイートが、拡散されて驚いた。
 結構言われていることだが、千リツイートに対して一人は、誤読や曲解、なんかしらの大掛かりな難癖をつけてくる人がいると言われている。単に確率の問題だ。
 一応ツイートは一度したら理由がない限り消さないとなんとなく決めているので(なんとなくだよなんとなく……)、私は千リツイート超えたら何かしらが現れることを覚悟する。この水道管凍結ツイートのときも、陰謀論を語る人が現れたりして中々に大変だった。そういうときはそっとしておく。
 スコーンが野山を駆け巡ったとき、私は今までどのツイートが拡散されたときよりも慌てた。
 ちょっと虚偽の事実が混ざっていると、ツイートした後に判明したのだ。
「どうしよう。消そうかな……」
 虚偽の事実はよっぽどの理由だろうと思ったときには何千と拡散されていて、このまま消してもその虚偽だけが記憶に残ってしまうと、スレッド形式で新情報を追加するもあまり人は見ている様子がない。
「なんでスコーンのツイートでそんなに慌てるのよズレてるわね! あんた普段もっと気にしなきゃいけないツイートいっぱいあるのに!」
 司さんにそりゃもっともだーということを言われたが、情報の間違いで店側への営業妨害になったらどうしようと慌てたのだ。
「え……小池百●子のツイートが拡散されたときより慌ててるんですか?」
 担当さんにも驚かれる。
「あれは私の主観でしかないツイートですからね……このスコーンツイートには虚偽の事実が含まれているんですよ……」
「菅野さん、ちょっとズレてますよね」
「え?」
 スコーンで二度目のズレているをいただく。
 その後、最近親しくしている弁護士のKに、このツイートが問題ないか尋ねた。
「断定してないし大丈夫だと思いますけど。なんでこのツイートそんなに気にするんですか? ズレてますね菅野さん」
「え?」
 更に百貨店勤務の友人にも「大丈夫だろ」と言ってもらって、そうすると今度はツイートに登場する「反抗期のぼっちゃま」は大丈夫なのかというところに行き着いた。
「反抗期のぼっちゃまも口をきくおいしいスコーン」
 と書いてあるが、このツイートが野山を駆け巡って当のぼっちゃまが、
「これ俺のことじゃん。お母さん!?」
 となって、結構重めの反抗期が悪化して長引く可能性もある。
 ここでもう一度。
「どんなツイートも一万リツイートされても大丈夫か常に考えてからツイートしたい」
 よかったら他山の石としてください。
 他山の石は、慌ててぼっちゃまのお母さんに電話を掛けた。
「息子さん見てない!? 消そうか!?(これはよっぽどの理由)」
「いや、うちの息子大丈夫だけど。うちのぼっちゃまがめっちゃスコーン売ってておもしろくて、私が黙り通せるか不安。さっき『反抗期/スコーン』で検索したらおもしろくておもしろくて」
「お願いだからそれは個人的にまとめといて反抗期が終了してから見せてー!」
「わかった。でもなんでそんなに慌ててるの? 菅野さん」
「え? やっぱり私ズレてる?」
「うん。すごいズレてると思うけど」
 私はこのスコーンツイートの一件で、結構大事なところがズレていることを突然思い知らされた。このズレなんだろね?
 ぼっちゃまのお母さんと電話を切って、お店の方からもお気になさらずと言っていただいたところでなんと、私は高熱を出した……。
 知恵熱である。
 さすがに自分でも思うよこの頃には、ズレてるって。
 だが知恵熱なら下がるだろうと高を括っていたら、深夜になっても熱が高くて苦しくて眠れない。
 午前一時頃汗を拭いて水分を補給して、逡巡の末私は救急病院に電話を掛けた。
 時期的に、知恵熱ではなくインフルエンザの可能性もあると思ったのだ。
「自力で移動はできますが、伺っても大丈夫でしょうか」
 熱が出た時間と症状を、問われるままに説明した。
「そんな風にきちんと症状を説明できるインフルエンザの患者さんいないので、明日まだ熱が下がらなかったら明日来てみてください」
 そんな理由でインフルエンザじゃないとかある?
 軽い風邪自己負担議論マジ危険よ! 誰が判断するっちゅう話ですよ。
 翌日、熱は下がったが知恵熱だったのかなんだったのか、その熱が引き金となってか私は全身で風邪の人となった。
 鼻をかんだ弾みでそれが右耳に回り記憶にある限り初めての中耳炎になりながら、一応昨日電話した救急病院を訪ねた。
 問答無用でインフルエンザ検査をされて、陰性と出る。きちんと説明できたからかな。
 この病院は以前、血液採取の看護師のおじいちゃんが私のとっても血を抜きにくい血管を見て、
「へいへいへいへい!」
 と、自分を鼓舞するために両手で両足をバンバン叩いた病院で、恐らく草野球をやっているのであろうそのおじいちゃんのせいで私は採血のときに笑い死にそうになった。
「うーん。昨日突然熱出たの。周りにインフルエンザの人いない?」
 陰性だとて油断はできぬと、内科の先生が問診する。
 この内科の先生には以前、麻疹の抗体検査をしてもらっている。そのために採血したのは草野球をやっているビビりのおじいちゃんで、問診を先生に受けたのは数年前だがその記憶が鮮明に蘇った。
 私はこのとき、むきになって四軒病院に電話して麻疹の抗体検査を受けた。
 理由は流行していたからで、麻疹は妊婦さんが感染したら胎児に大きな影響を及ぼす。
「私子どもの頃麻疹やった?」
 何故、私は母に訊いてみたりしたのだろう。
「覚えてないわ」
「ですよね。母子手帳ある?」
「なくしたわ」
「デスヨネ!」
 ヘソの緒も結婚指輪もなくした母である。
 やったかどうだかわからないのに、当時の麻疹の最先端流行地関西に行く用事があり、抗体検査を受けて予防接種を受けようとした。
 しかし大流行中なので、ワクチンがないとどの病院でも断られる。
「でも私、結構人と接するのに関西に行くんですよ……」
 地元福島県の病院で、それは受けとけという案件ではないかと電話を掛けまくり、
「小児科さんならきっと」
 と言われて小児科に電話するも、
「これは子どもの分のワクチンです!」
 子どものワクチンを奪おうとした人となって断られる。
 やっとこの病院がワクチンもあるし抗体検査もすると言ってくれたので受けて、ピッチャービビってるのおじいちゃんに血を抜かれてこの医者から宣告されたのだ。
「普通、麻疹の抗体は8以上ないといけません」
「そうですか」
「あなたの場合96あります。だから大丈夫!」
「え!? それ多過ぎないですか? 私ジャストナウ麻疹なんじゃないんですか!?」
「周りに麻疹の人いますか?」
 このセリフで、麻疹のときの医者だと記憶が蘇ったのである。
「いませんが……」
「麻疹って苦しいんだよ。覚えてる?」
「いいえ。覚えていないからこうして抗体検査を受けたわけです」
「僕、子どものころ姉がなってねえ。当時バナナがとても貴重だったんだけど、麻疹になった姉だけバナナを食べさせてもらっていて。それがとても羨ましくて僕も麻疹になりたくて、姉にたくさん近づいたらちゃんと麻疹になってね」
「それは何よりです……」
「ものすごく苦しくて後悔したよ! でもバナナはとてもおいしかった……」
「そうですか……」
 人の話によると世の中にはそんなに変でもない医者もいるという話なので、私も一度はお目に掛かりたいと願っている。願ってるんだよ心から。
 この医者に風邪認定して貰ったものの、恐らくは人生で初めての結構酷い中耳炎になったので、仕方なく私は四時間待ちの耳鼻咽喉科御殿を詣でた。
 麻疹は忘れていたものの、私は子どもの頃の記憶は割とある方なので、中耳炎は多分初めてなのだと思う。
 右耳が八割聞こえず詰まっているという状態が、半月以上続いた。
「薬が効かなかったら、鼓膜にメスを入れる手術をします」
 初回、御殿先生に菩薩の微笑みで言われて、
「ひー! 鼓膜にメスを入れるだなんてそんな痛そうな物騒なことをよくも菩薩の微笑みで!!」
 と怯えたものの、たった一週間で私は八割聞こえない状態に限界を迎えた。
「ちゃってメス入れて手術しちゃってください! 今!!」
 御殿先生に、この場で切ってと手術を要請する。
「短気を起こさないで? 落ちついて、よく見て?」
 菩薩の微笑みで、御殿先生は私の聴覚検査のグラフを二つ重ねた。
「少しずつだけど良くなってる。治りに入ってるっていうことだよー。お願い短気を起こさないでー」
 あやされて帰宅するも、その後二週間右耳はよく聞こえなかった。
 怖いなと思ったのが、その状態がずっとストレスなのではなく自分が慣れていくことだ。なるほど老人性難聴のお年寄りが気づかなかったりするわけだと、体感で納得した。周囲が気づかないと進行してしまう。
 八割聞こえない状態から半月以上経って、まだ詰まっているものの大分聞こえているという実感を持ちながら、また御殿を訪ねた。
 繰り返すがここは四時間待ちだ。
「うん。大分聞こえるようになったね」
 聴覚検査のグラフを見て、菩薩は微笑んだ。
「九割聞こえてるって言ってあげたいところだけど、八割聞こえてるよ!」
「花丸の花びらじゃないんだから、そこは言ってあげたいとか言わないで正確を期してください!」
 とは、虚しいので言わなかった。
「花粉症なんだね。薬欲しい?」
「もちろんです」
「どれくらい欲しい?」
「ありったけください」
 なんてどれくらいとか訊くんだよと、菩薩から薬を貰って帰宅する。
 そうこうしているうちに、原因不明の胃痛に悩まされるようになった。
 厄払いに行けとそろそろ言いたくなるところだと思うが、残念ながら歳だと思う。ストレス事案もあることはあった。
「思えばくそじじい(唯一私にこんな言葉を使わせる地元の内科医)と大喧嘩してから胃カメラを飲んでいない。早三年かも」
 そのくそじじいとの大喧嘩は、確か「帰ってきた海馬が耳から駆けてよく4」の後書きかなんかに書いてある。
 私が転院のための紹介状を求めている最中に、ブチ切れて近くにいた看護師さんに私のカルテを投げつけたので私そこでブチ切れた。ねえ野蛮過ぎない? 現代なの?
 私も驚きの大喧嘩をしてしまい、「くそじじい!」と言わんばかりの勢いで診察室を出たら待合室に叔父がいた……。あ、このとき私はまた小池百合子のことを書いている。今月号でも謝るよ! 私は浅はかな人間でした。ごめんなさい。
「そもそも胃痛にならないので胃薬が家にない。というか一点がずっとじくじく痛い。普通に考えて潰瘍かもしれない。胃カメラを予約しよう」
 私はそのくそじじい(書いてて結構抵抗あるんですよ。でも彼のことは他に呼び名が思いつかない)に紹介された大病院の消化器科で、肝臓の血腫の経過観察をしている。害のない血腫だが5センチあって(でかいよね)、7センチになったら取ると予言されているのだ。
「すみません。胃が痛くて、胃カメラ飲みたいんですけど」
 電話を掛けると、受付の方が言った。
「予約が取れるのは五月です……」
 そのときはまだ三月の頭だ。縁起でもないがそれこそ消化器系の何かだったら、二か月過ぎたら私がいない可能性だってある。
「内科で予約取れるか訊いてみますね」
 受付の方も二ヶ月後はと思ってくださったのか、内科に訊いてくれた。
「すみません内科も五月までいっぱいで。外科に訊いてみましょうか」
「あの……大丈夫です。よそを訊いてみます」
 何処まで行くかわからないと思っていたのと、私はこの病院からよそに血腫の経過観察ごと移りたいと思っていたことを思い出した。
 これもその後書きに書いたが、この大病院の医者がまた大概で私はぷんすか怒っているのである。
 だが一応くそじじいの名誉のために書き添えると、次の検診でこの大概な医者の態度は激変していた。私がカチコミに行ったときはテコでも謝らなかったくそじじいだが、多分大病院の方に何かしら言ってはくれたのかと想像する。そしてカチコミの翌年から、それまで来なかった年賀状がくそじじいから来るようになった。
「手打ちのつもりかな、これ」
 年賀状を見ながら呟いたものの、くそじじいは多分謝ると死んじゃう病気なのだ。だが恐らくたくさんの患者を診ているので、腕がいいというか目が利くから血腫も見つけてくれた。
 だから先日母が、
「足が痺れて死んじゃう! きっと消化器の何かよ!!」
 と騒ぎ出したときに、
「くそじじい腕はいいからくそじじいのところに行ったら? 怖いなら私ついて行くよ」
 そう親切に言ったのに、くそじじいとの顛末を知っている母には、
「あんたについてきてもらうなんて真っ平ごめんよ!」
 激しい拒絶を受けた。
 そんなわけで大概な医者もまともな問診をするようになったが、地球にはもっとマシな対応の医者がいる筈だと私は転院を希望していた。
 もう一つの大きな病院の消化器科に電話すると、半月後に胃カメラの予約が取れた。
「自分で胃カメラ予約するなんて、なんて大人になったんだろう……」
 取れたら取れたでブルーになってみる。
 当日、こちらも待って待って待ちまくる大病院で、私は何故なのか福島県なのにめっちゃ大阪弁のDr.に、まずは問診を受けた。
「胃が痛いん?」
「すみません半月前予約したときは痛かったんですけど、実は今は全く痛くないんです。でも一月以上痛かったので、一応検査を受けたいと思いまして」
 なんか胃痛は去っていたが、三年飲んでいないので大人は胃カメラを飲みに来た。
「ふーん。エコー見るでー」
 Dr.は隣に研修医を置いて、エコーで私の腹を隈無く見始めた。
「え!? 何この肝臓にある黒い影!!」
 Dr.は経過観察中の血腫を発見するなり、奇声を上げた……。
「それは……経過観察中の血腫です」
「あーびっくりした何かと思った」
 あの、それ、私今日初めて発見されたとしますよね。某病院でなんか激しい薬を入れて激しい検査を受けてMRIで悪性ではないと確認済みなものの、私それ今日初めて言われたら肝臓癌だと思って死ぬほどビビるよねDr.……こっちがびっくりしたわ! 無神経な人ね!
「でかくない?」
「5センチあると言われました」
「あー、そっからは大きくなってないな」
「7センチになったら取ると言われています」
「なんで?」
「え?」
「某病院A先生?」
「そうですが」
「うちなら7センチになっても10センチになっても15センチになっても取んないけどね。なんで取んのか今度A先生に訊いてみよー」
「どういうことですか……? こちらでは取らないんですか?」
「うん。いや肝臓はA先生の方が専門だから、だから訊いてみんの。楽しみやな」
 そう……楽しみができてよかったね……。
「あんな、ここ。頑張ってもこの臓器半分しか見えへんから、あきらめてな」
 そしてDr.は、私の体で研修医に現代医療の限界を教えたりする。
「胆嚢にポリープあるけどこれ何?」
「何って……それは仰せの通り十五年くらい前からあるポリープです」
「経過観察してんの?」
「存在を忘れてました」
「7ミリあるけど。これは1センチになったら取るよ。悪性化する可能性あるから」
「マジスカ」
 そして私は無神経なDr.の手を離れて、技師の元に送られて胃カメラを飲んだ。
 胃カメラの技師の人にしかその機会は巡らないが、私が胃カメラを飲んでいる姿は相当おもしろいようなので技師のあなたにその機会が巡りますように。
 私は好きで胃カメラは飲まない。当たり前だ。でも飲まないとと思える程には大人になったので、本当はかなり嫌だけど無になる努力をする。
 何も考えない。
 何も見ない。
 何も感じない。
 無。
 私は無。
 その無の私は相当おもしろいらしく、以前の看護師さんも最後にはとうとう噴き出したし、今回の技師さんも耐えられずに声が笑っていた。
「すごくきれいな胃です。きれいなピンク色ですよ……っ……」
 私の胃を褒め称える声が震えている。
 完全におかされ終わった人となって、私はまたDr.の問診を受けた。
「きれいな胃や。なーんもない。血液検査も全て正常値。何が不満や」
「胃が……痛かったので予約をしたわけです」
「なら胃薬飲みや。出しとくから」
「あの」
 予約したときは痛かったけど今はもう痛くないって、私言ったじゃんばか……。
 しかし、胃カメラ飲み終えた私は反論する力がない。
「あとポリープ、半年後に。けど消化器やから、肝臓とまとめといた方がええで。あっちかこっちか。どっちかにせえや、ややこしいから」
 私は消化器の主治医を変えたかったという記憶が、無駄に残っていた。
「そうしましたら肝臓も今後はこちらでお願いします」
「悪性ちゃうんは間違いないんやな? そしたら肝臓もこっちで見たるわ」
 あなたさっき、肝臓はA先生の方が専門と言いましたが、本当に15センチになっても取らないあなたで大丈夫なんですか私。
「まあ、でも私、念願の消化器科の主治医の変更ができたわけで……」
 胃カメラで朦朧としていた頭が段々とはっきりしながらの帰路、私は思った。
「新しい消化器科医、あの無神経なDr.に……したかったかな? 私」
 ねえ。
 地球には本当に、普通のやさしいお医者さんが存在するの?
 何処にいるの?
 ネズミの国? 夢の都?
 多分私は前世で医者にかなり残虐な蛮行をしたのだろうと、陰謀論から前世妄想まで、大変脳内の忙しい花粉の私だった。

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