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【#ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第32節 松本山雅FC戦

akira(@akiras21_)です。
2000円で買えるからといってなかなか侮れない、そんな「SIMPLE2000シリーズ」はなかなか好きでした。

【前節の振り返り】

【vs松本 前回対戦の振り返り】

大津パイセンのゴリゴリドリブル突破はめちゃくちゃアツかったですね。ということで今節のメンバーは以下。

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スタメンは変更なし。サブからは杉本大地と李忠成が外れ、代わりに中林洋次と、負傷離脱から復帰した渡辺晧太がメンバーに入りました。おかえり!

いよいよ終幕へのラスト3!張り切って参りましょう!

ざっくり総括:“1点差”をどう見るか

よっしゃ勝ったぞおおおおおお!!!!!

スタッツの上では完勝でしたが、最終スコアは1-0。シーズンもここまで来たら何より結果なのは言わずもがなとして、この点差をどう捉えるかというのは人によりけりです。

個人的にはもっと点を取れたと思います。いくつか惜しいシーンが実際にありましたし。どれもあとちょっとのところで入らなかっただけにかなりもどかしく、かつ1点差という特に緊張感の高まるスコアだったので、次の1点をひたすら待ち望んでいた人も少なくないのではないでしょうか。

今回はちょっと趣向を変えて、久しぶりに試合全体をさらっと振り返ってみたいと思います。

で、結局松本はどうしたかったのよ①

まずは松本の狙いをざっくり整理してみましょう。松本は攻守に共通して「トランジション命」でした。そうです、切り替えです。ゴール裏にいるとよく聞くアレです。

なぜ切り替えが大切なのか?というと、松本がそれ相応のリスクを負っていたからです。ここでいう“リスク”とはすなわち失点の可能性。攻撃を最大化するために守備を削ったようなイメージです。

具体的にどんなことをしたかというと、松本は最終ラインを高めに設定しました。そしてボールを奪ったら即カウンター…という、ある種分かりやすいやり方を採用。サクッとボールを前線に渡すために奪う位置を高めにしたかったわけで、つまりマリノスとやってることは同じです。アプローチというか、応用のしかたの違いです。

ただ、ここで出てくるのが質的優位性の存在。俗に言う「個の力」というやつです。

で、結局松本はどうしたかったのよ②

「マリノスつよーい」(CV:玉乃淳@ワンダーランド)という言葉に集約される今節の陣容を相手に、松本からすれば守備の枚数を減らすだなんてとんでもない!という状況。ということで、「最後は絶対割らせるな」という意思表示のごとき5バックを敷きました。

また、より効果的にボールを奪うために、

・2トップはマリノスCBからパスコースを消す
 =ビルドアップを塞ぐ
・中盤3枚のうちサイド寄りの選手がマリノスSBにプレッシャーを掛ける
 =サイド攻撃のスピードアップを防ぐ

といったやり方を補助的に採用。ボールが端っこに行けば松本のサイドバックをはじめとした守備陣が数的優位となり、真ん中に寄ってもやはり数的優位を保つことができます。

これじゃいかん!とマリノスが攻撃に枚数を割けば、そのぶん守備に対するリスクを強いることになります。そう、それこそが松本の狙いです。

センターバックが一番後ろ、サイドバックが偽サイドバック化して中盤に厚みを持たせ、その前方にアタッカー陣が構える陣形となれば、松本としてはボールを奪ってすぐ浮き球のロングフィードを出す。状況次第でFWとGKの1対1を作り出せる可能性があるわけです。

そこで点が決まれば、あとは同じことを繰り返して、時計の針が少しずつ圧をかける展開に持ち込むことができる…と。松本のゲームプラン、とってもシンプルで現実的。それゆえ、崩れるときもシンプルに現実を叩きつけられた格好となりました。先制点のシーン、試合開始から2分弱のことです。

個の力を警戒して、個の力に沈む

松本DF高橋諒とMF杉本太郎が挟み撃ちしようとしたタイミングで仲川がカットインを選択。このあと松本はバイタルエリアに人数を集めてスペースを埋めに行きますが、一方でエリキがじっとして動かず、裏を狙う素振りを見せます。

横山やすしがメガネ、メガネ言うみたいに松本守備陣(GK含む)があやふやなところでいよいよ仲川、仲川、仲川の左足ーーーッ(CV:下田恒幸)。松本が警戒していたマリノスの「個の力」をふんだんに活かした、まさしく技ありゴールでした。ゲット(CV:倉敷保雄)。

机の角に足の小指を連続でぶつける

開始早々弾みがついたマリノスはお得意の「ガンガンいこうぜ」を発動。緩急つけたビルドアップで徐々にプレーエリアを高くして、縦のコースが見つかればサクッと偽サイドバックの2人がスパーンと縦パス。そこから一気にスピードアップするまではおそらく松本の想定内だったとして、苦しんだのはその先に待ち構えていたマリノス両ウィンガーの「個の力」こと質的優位性でした。

ポーンと浮き球でプレスをかわしにかかるマテウスに注意を奪われてると、ひっそり高橋の裏から現れる仲川がガシガシ走ってきたり、マリノスはとにかく徹底的にサイドから集中砲火。おまけにあえてのU字パス※で松本守備陣を延々とスライドさせたりと、地味ながら確実に体力を奪う大人なサッカーを展開。

※U字パス
サイドバック→センターバック→センターバック→サイドバック…というふうに、最終ラインでU字を描くようにパスを回すことを指す。
今節のマリノスのように相手を動かすときだけでなく、反対にパスコースがなく攻めあぐねている(=ボールを持たされる)状態で発生することも。

松本からしてみれば、机の角に足の小指を連続でぶつけさせられるようなもんです。こうなれば試合は完全にマリノスペース。とはいえ、なかなか決まらぬ次の1点。マリノスがマテウスに代えて遠藤渓太を投入したところで、松本も次の一手に出ます。

切り替えと「切り替え」の息切れ

まずは阪野豊史に代えてイズマを投入。デカい。ゴツい。ピーター・ウタカをスケールアップしたような印象でDGPと揃ったらどう見ても前線のターゲットです本当にありがとうございました。

そのおよそ10分後、今度は中盤3枚の中央として走りまくっていた藤田息吹に代えてお掃除ロボットばりに中盤で動きまくるパウリーニョがピッチ内へ。そしてパウリーニョが入ったと同時に、

FW:イズマ、永井
MF:高橋、パウリーニョ、岩上、杉本
DF:水本、飯田、橋内、田中

という構成に変更。3-5-2から4-4-2にチェンジしました。が、守備の役割に大きな変更はなく、それどころかそれまで以上にハッキリとサイドハーフ(高橋、杉本)はマリノスSBを捕まえに行き、センターハーフ(パウリーニョ、岩上)はマルコスを封じに行きました。

これを受けたマリノスは、次のような剥がし方を試みます。

①ティーラトンが上がって杉本の注意を惹く

②ティーラトンが上がった分スペースが生まれるので、これを扇原が使う

③扇原は一旦畠中に戻す

④畠中は斜め向かいの喜田へとグラウンダーの鋭いパスを供給

このあと喜田がティーラトンに出したところで杉本のプレスに遭いロストしてしまいますが、この一連の流れを皮切りに相手のマークを引き連れてスペースを作る動きがそこかしこで見られるようになりました。松本がシステム変更によってタスクを明確化した分、その裏も突きやすくなったというわけですね。

この後は大津の二度追い三度追いが見られたり、フィニッシュ以外は上出来な遠藤のプレーが見られたりと押せ押せだった一方で、「最終ライン4枚+センターハーフ2枚の計6人で守りつつ、サイドハーフと2トップは前目に残す」という割り切った配置を採った松本がボールを奪うと即縦ポンという半ばオープン気味な展開になった時間帯も。実はこれ、冒頭で触れた「トランジション命」を自ら打ち消しにいったと言い換えることもできるんです。

ただ、その頃にはもう松本はほとんどのメンバーがヘトヘトになっていました。あのU字パスがこうして効いてきたわけですね。そしてそのままスコアは動かず試合終了。

おわりに:シンプルに勝ちたい

首位・FC東京も3位・鹿島アントラーズも引き分けたため、1ポイント差でありながらも今季初めて首位に立つこととなりました。ええ、実感のなさが全てを物語っています。今の位置がどうこうではなく、最終的にどの順位で終わるかがポイントだというのがそこかしこからひしひしと伝わってくるからです。

とはいえ、数字の上では次節でシャーレを追いかけるタイトルレースが終わる可能性まで見えてきました。そう、開幕2連勝で乗りに乗ったところで力の差を見せつけてきた川崎フロンターレを相手に、しかも敵地・等々力で優勝を決められる可能性が見えてきたのです。

こうなるとどうしても意識しちゃうもんですが、個人的にはそれ以上に「3節にして突きつけられた課題と力量差に、これまでの積み重ねをもって正答を叩きつける時が来た」という思いがあります。いわゆるライバルだからではなく、優勝が懸かってるからというだけでもなく、シンプルに我々のサッカーで川崎フロンターレを倒してこそ、今シーズンをこのサッカーで過ごした意義、カタルシスが得られるものだと考えているんです。

だから、2019シーズン第33節・川崎戦はシンプルに勝ちたいです。今節ナベ・コウタが帰ってきたように、みんなが復帰を待っていたエジガル・ジュニオの状態も次戦までには整っていることでしょう。ボスがどのようなメンバーを組むのかを含め、我々サポーターは静かに、しかし確実に胸の内に秘めたる想いをたぎらせながら待つことにしたいところです。

みんなで優勝しようぜ!

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