【ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第16節 松本山雅FC戦

akira(@akiras21_)です。
ブールーウーノメンデース!

【前節の振り返り】

・追いつかれ勝ち越すも、終盤に崩れ逆転負け。単独2位浮上のチャンスを逃す
マルコス・ジュニオールがイエローカード2枚で退場、今節出場停止
・チアゴ・マルチンスが頭部にダメージを負い、前半終了時に交代

ざっくりこんな具合でした。1週間前に日本平で味わった大きな失意を払拭すべく、ホームの日産スタジアムで迎えた松本山雅FC戦のメンバーは以下。

[4-1-2-3]
GK:朴一圭
DF:和田拓也、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン
MF:喜田拓也、山田康太、天野純
FW:仲川輝人、エジガル・ジュニオ、遠藤渓太

[SUB]
杉本大地、栗原勇蔵、広瀬陸斗、大津祐樹、中川風希、李忠成、山谷侑士

クリリンの出場停止に伴い、「マルコス・システム」を封じられたアンジェ・ポステコグルー監督はインサイドハーフを2枚並べる4-1-2-3に回帰することを選択しました。バック・トゥ・ベーシック的な。知らんけど。

AJ10の相棒に抜擢されたのは、今季リーグ戦初出場かつ初先発となる山田康太。先日のU-20ワールドカップで4試合に先発出場し、世界を相手に手応えを得て帰ってきた“ハマのプリンス”が満を持して日産スタジアムのピッチに足を踏み入れることとなりました。

それじゃ、今節も元気にいってみよう!

ほんのりのほほん、だるま屋どフリー

もうね、ビックリするほど追ってこないんですよ、山雅が。一応喜田へのコースを消したり、CBがCBに横パス出したらFWが寄せてきたりとかするんですけど、なんていうかハメようとしてる感じではなくて、ごくごくベーシックなやり方というかそれ以上でもないというか。

とかなんとか言ってたら、あれ背後取らせちゃったっけダーッと行かれてもうどフリーさ、っていうだるま屋感溢れるカウンターを初っ端から食らっちゃったりして。うん、やべーなって思いましたよ。

松本は5-3で守ってくるんですが、特徴的だったのがラインの高さ。固めてはいるけど引こうとはしないんですよね。むしろちょい高いぐらい。あとボールがある方のサイドに寄ってって、反対側はわりかしどーでもいいみたいな陣形を敷いてきます。最初のうちはなかなか苦労していて「最終ラインはハーフウェーラインまで上げた、斜めのレイヤースキップパスのコースも空いてる、ただそこに出してもその先になかなか進めない」みたいなシチュエーションに陥りがちでした。ほんのりのほほんとやらされてる感

そして5分1秒頃、田中隼磨のクロスがチアゴの足に当たって軌道が変わったのをさりげなーく足で防いで本日1パギ目を記録。ひょー。

そろり そろり(CV:和泉元彌)

と、何とも言えない感じで苦戦してたところを打開したのは7分35秒ごろからの一連の流れ。右サイドでAJ10、ワー坊あたりでパス交換しつつ、ボールを徐々に左サイドへ。その裏でAJ10はポジションをじわじわと内に絞っていきます。

左サイドでボールを保持して惹きつけつつ、ティーラトンが畠中に戻すとAJ10までの斜めのパスコースがガラ空きに(7分48秒ごろ)。AJ10は後方から(エドゥアルドかな?)のタックルをあっさりいなし、そのまま反転したら今度は右サイドでどフリーになっていた仲川へグラウンダーのパスを供給。仲川のシュートは残念ながら守田達弥に防がれるも、プレスを惹きつけつつ中央を経由した崩しで突破の糸口を見つけ出しました。

その後も畠中からの縦パスでスイッチを入れようと試みるんですが、雨でピッチやボールの感触がいつもと違ってたせいかどうもドンピシャで合わずにボールロスト。

松本の精度があまり高くなかったが故に助かってましたが、「別に奪われたところであんま怖くねーし」なんてタカをくくって、後々豆鉄砲を食らうことになろうとは知る由もなかったのです。

急がば回れトランキーロ

えーっと、前半残りはだいたいこんな感じです。松本の守備を概説すると、

・全体的にボールサイドへ寄っていく
・2トップ以下の5-3は基本崩さない
・サイドに追いやったら5バックのサイド担当と3センターのサイド担当でボールホルダーを挟み込む
・でもガツガツ奪いには行かない

といった具合。10分48秒ごろにはプリンス山田のゴールポスト直撃弾など惜しいシーンもありましたが、何をどのように食らっても松本はやり方を変えません。

ここでひとつ、AJ10のポジショニングに関して『Sports Graphic Number Web』の記事からボスのコメントを引用したいと思います。

 5月のJ1最優秀監督に選ばれた53歳の戦術家は、天野のポジションを下げて中盤を逆三角形から正三角形気味に変更。その理由をこう説明する。

「前半の問題は選手がポジションに固執したようなところにあった。私たちのフットボールに、選手の決まった立ち位置は存在しない。また前半は動きが足りなかった。松本が引いて守ってくることがわかっていたから、うちの選手は前目で攻撃をしたかったのだろう。だが、前に入るのが早すぎたんだ。

 天野純には1試合あたり、50~70本のパスを出してもらわなければならない。しかし今日の前半は10本ほど。その理由は前に行こうとしすぎたからだ。だからそこを修正した。

 繰り返すが、このチームには選手それぞれの決まったポジションはない。我々のシステムは常に動き続けるものだ。サイドバック、センターバック、MF、FW、そしてGKも動かなければならない。ナンバー10も、ナンバー6もない。マリノスでプレーする選手なら、ボールを持った瞬間に(指をパチンと鳴らして)、スペースを探して、そこへ動かなければならない」

このコメントが示すようなシチュエーションが、15分30秒ごろに見られました。

前述の通り松本は固めてるんだけど攻めてこない、ボクシングでいうところのクリンチみたいな状態で、AJ10は松本のDFライン〜MFラインの間に位置取ってるんですが、ボールが左サイド付近にあるため松本のブロックも合わせて左サイドへ。

なかなかボールが前に出てこないんでAJ10はいっぺん下がって受けに行く素振りを見せるものの、ボールホルダーの畠中は松本のファーストディフェンダーが付いてこないのを見切っていたのか、後ろに回ってボールの逃しどころとなっていた喜田に横パス。

ここでAJ10が残っていれば喜田から縦パスが入ったかもしれないのですが、すぐ近くにワー坊も寄ってきていたのを見て、AJ10は前進することを選択。そして再びDFライン〜MFライン間に収まるものの、シチュエーションは振り出しに戻ってしまいました

ボスが言う「天野純には1試合あたり、50~70本のパスを出してもらわなければならない」というの達成するためには、当然ですが同じだけの回数ボールに触れなければいけません。その点、AJ10が取ったライン間ポジショニングはボールの位置を考えるといささか高く、またコースも防がれていたため、ボスの目には「前に行こうとしすぎた」と映ったのではないかと思われます。

ただ、さっきの惜しい流れのときみたいな動きをしていたのも事実なので、なんていうかAJ10もAJ10なりに焦れてたんだと思います。まだまだ15分も経ってないんだからトランキーロ、あっせんなよ

一方で、焦らずに蹴ったフリーキック(17分45秒ごろ)は4分の1個分だけ枠を外れるという結果で超惜しかったです。座って観てたのに思わず席立ったもんあの時。ていうか俺が焦ってどうする

おや? まつもとやまがの ようすが ・・・

焦るな、といえばパギとチアゴの交錯もありましたね(25分36秒ごろ)。あとワー坊の惜しいシュート(35分35秒ごろ)。だいたいそんな感じで前半が終わりまして、ここから先は後半のお話となります。

この日の中継を担当した中田浩二解説員が後半の入り方について所見を述べてるそばから、松本がハーフウェーライン付近で得たフリーキックを放り込みでスタートさせるという展開に。あれ、松本どうした…?

それどころか、エドゥアルドがタッチライン際でボールを受けると、内にポジションを取っていた高橋諒がハーフスペースランニング。その後高橋はエドゥアルドからボールを受けつつそのまま突破してクロス、みたいな攻め方まで披露。なんか急に前目からアグレッシブになったような…

その後もしばらく松本ペースでしたが、松本のボールロストから自分たちのペースを取り戻したマリノスは、ひとまず松本をハーフコートに押し込めた上で相手を殴り続ける体勢に移行。が、これが不発で再び松本が試合のペースを握ります。

一体何が起こったのかと言われれば、松本のボールに対する関与意識が明らかに高まったということでしょう。守備のやり方やラインの高さは変わってないんですが、選手一人一人が球際で激しく競り合うようになり、ボールを奪ったら縦につなぐ意識が強くなっていました。なんなら裏抜けだって狙ってたぐらい。なんや前半はネコ被ってたんかって。

それでもマリノスは徐々に自分たちのペースを回復しようと努めます。55分ごろからボールを握る時間が少しずつ増え、プレーエリアも少しずつ高めに。なんならチアゴがハーフスペース駆け上がっちゃったりしてね。今更驚きもないんですが。

とはいえ試合の流れはやや膠着気味でした。そこでボスはプリンス山田に代えて大津祐樹を投入。これが試合の分かれ目となります。

1点目:大津祐樹を止めないで feat. 勢い任せのエジガル・ジュニオ

とはいえ、この後しばらくは松本ペース。マリノスは何度か突破の糸口を見出しますが、ゴールを決めるまでには至らず。反面松本はここで試合運びを当初のやり方に戻し、じわじわとプレーエリアを上げてセットプレーでの得点を狙います。

実際、決勝点につながるビルドアップの直前は松本のフリーキックで、宮阪祐樹がゴール右上の隅を狙って蹴るも上に逸れてマリノスボールになりました。

さてお待ちかね!

宮阪のシュートが外れたところで、パギはいつも通り素早いリスタートを選択。それまでしきりに攻めていた左サイドへと開いた畠中にボールを出し、畠中は遠藤にボールを預けます。

パスを受けた遠藤は田中隼磨を背負うようにして反転し、その先にいたティーラトンに出そうとするも、これはクリアされてやり直し。ならばと今度は最終ラインを経由して右サイドへ。いわゆるU字パスの要領でスルスルっと仲川まで通しつつ、内と外の出し入れを織り交ぜながら再び左サイドへ。

そうこうしているうちにティーラトンがハーフスペースに走り込む余地を見つけ出し、スプリントを開始。これを目視していた田中は遠藤をマークしていましたが、一瞬迷いながらもティーラトンの攻撃を塞ぐべく、遠藤からマークを外しました。

そして、これを待ってましたと言わんばかりに畠中は遠藤へとやや長めのパス。そしてティーラトンが駆け抜けたために大津の前には広いスペースが生まれていました。ここで大津はまず遠藤に近寄るようにダッシュしつつ、直前で相手ゴール方向へとスイッチ。

畠中からのパスを受けた遠藤はしばらくボールを保持して田中のマークを惹きつけつつ、大津が今井智基と藤田息吹の間(いわゆる「エントレリネアス」)に入り込んだところで、田中のわずかに横を抜けていくパスを供給。大津は今井のプレスを体で受けながらゴールライン際までドリブルを敢行します。

さて、大津のドリブルは今井、藤田の他に松本CBの飯田真輝をも惹きつけていたため、ゴール前はエジガル、仲川とエドゥアルド、高橋の2対2に。大津がラインを割るギリギリのところで折り返す体勢を見せると、エジガルはエドゥアルドに体を預けるようにして体を反転します。

これを見た仲川が一瞬だけ後ろに引くと高橋がこれに釣られ、シュートコースが僅かに出現。この好機を逃すことなく、エジガルは反転の勢いそのままに、弾道を低めに抑えてシュート。79分40秒にしてこの日最初の、そして唯一のゴールを生み出しました。

完全に余談ですが、個人的にはゴール決めた後にエジガルと大津が肩を抱き合いながら「うおおおおおおおお!!!!!!」ってアツくなってたのにメチャクチャ心が震えました。そりゃそうなるよなオイ!

おわりに:案ずるな、山田康太

得点後には田中がどフリーでシュートを放つ場面があったりしましたが、主審の最低基準がフィジカルコンタクトに対して比較的寛容ということもあり、危なげなくクローズまで進行。特にアディショナルタイムに入ってからは時間消費に重きを置いた試合運びに切り替えていました。前節・清水戦の反省がさっそく活きてますねぇ。

といった具合に無事終了のホイッスル。連敗しないことが大事です。メッチャメチャ大事。

…えー闇営業とかなんとかはさておいて、ここらでひとつ山田康太のお話を。

U-20ワールドカップで得た手応えを活かしきれず、本人としても出来に不満があったのか、交代した後にベンチからぼやーっと戦況を見つめる姿がDAZNでも何度か確認できました。前日までのコメントでは「世界」を意識したものが散見されただけに、彼がベンチで見せた姿は微かな哀愁を誘うものでした。

この日の山田康太は活躍と評するには及ばずとも、しかし堅実なプレーを見せていましたし、相手の出方が窺いきれないという難しい試合展開の中、エントレリネアスを意識した動き出しなど、とてもよくやっていたと思います。むしろここから先こそが大切になってくるのではないでしょうか。

世界は上でも下でもなく、前にあります。だから、我々サポーターは彼を後ろから支えていきたいものですね。知らんけど。

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さーて、来週のサザ…ざっくりレビューは?

モンバエルツです。実はこのたびオーストラリアで監督をやることになりまして、横浜とマンチェスターで培った知識を存分に発揮しようと、今からワクワクしているところです。7月上旬から早々に現場に入る予定なんですが、メルボルンに四つ葉のクローバーはあるんでしょうか…?

さて次回は、

「三好お疲れよくやった、寄り道しないで帰っといで」

「ドキッ!勝ち点差3の首位攻防戦(ポロリはダメよ)」

「マリサポレビュー シーズン前半戦特別編」

の3本です。

来週もまた見てくださいね〜!ジャン、ケン、ポン!

ンフフフフ(CV:中澤佑二)

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