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善意という名の魔物。

早退することを決めてからそんなに時間がかかることなく

僕のサッカー部の大きめのリュックと着替えの入ったやや丈夫な袋の荷物が

保健室に届いた。誰に届けられたかははっきりとは憶えていない。

多分担任教師かテスト中は暇な先生が届けてくれたのだと思う。

教室に到着してから何一つ鞄から取り出すことなく、ただ寂しげに教室に

放って置かれていたから荷物をまとめるのは容易だったはずだ。

それでも感謝はしていた。

それから母親が到着するまでは特に目立ったことはなかったと思う。

少なくとも記憶にはない。

文字数稼ぎのために少し書き足してもいいが、無理はしないでおこう。


思ったよりも早く母親が来客用玄関にやってきた。

ちょうど自分が頭を向けている方向に来客用玄関があり、普通に

保健室に入ってくると思っていたから少し不意を突かれた気分になった。

本当に顔も浮かばないくらい憶えてないが、母親が到着したことを知らせに

誰かが入ってきた。荷物を持ってきてくれた人と同一人物だろうか。

到着したことを保健室全体に聞こえるように報告し、養護教諭はそれを

通訳者が翻訳して伝えるかのように僕に向かって反復した。

僕は教室に誰か入ってくる時点で察して、ゆっくりと体を起こしていた。

頭に上った血液がつま先に向かってサー、サーと鼓動と同じリズムで

鳴らしながら下っていく。下っている最中は身動きが取れない。

頭が呆然とする。立ちくらみに近い感覚だ。でも全く違う気がする。

座ってしばらくして鼓動のリズムが小さくなり、頭が少し宙に浮いたような

感覚になり一瞬でもとに戻る。相対的に重たく感じる。

もとに戻った辺りで母親の到着を知らせてくれた先生がやさしく

「来客用玄関の方が近いから、靴取りに行ってあげようか?」

あ、そうしてもらおう。

と思った瞬間に理由ははっきりしていないが口にしてはいけない気がした。





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ありがとうございます!!
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18歳。いつか19歳になります。
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