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最小の彼方。

担任教師が保健室を出た後も特に変わった様子はなく相変わらず

喉の蛇はうねうね動いている。

養護教諭との会話も必要なこと以外はあまりなかった気がする。

名前を聞かれたり、クラスを聞かれたりといった感じ。

どうせ受けもしないのに時計の針をちらちらと気にする。

もうすぐで始まる。

このタイミングで本当に受けなくていいかの確認があったと思う。

そこでも担任教師に聞かれたとき同様曖昧に答えた。

チャイムがなった。

YouTubeとかで調べたら一番上に出てきそうな無個性な音。

自分たちの通っている学校のチャイムが普通と思うのは全国共通だと思う。

皆が一斉に問題用紙と解答用紙をめくりシャーペンを握り、なるたけはやく

名前を記入している姿が想像できた。

全問題をサッと見渡す者や一問目に突進するかの如く勢いよく

問題に取り組む者、誰かに教わったのか自分で考えたのかはわからないが

要領よく問題を解くためにあえて順序を無視する者、いろんな人がいる。

テストを嫌がる人は少なくないが、始まってしまえばそんなことを微塵も

感じさせない目に変わる。

だんだんとチャイムの音が小さくなっていくのを、まだ聞こえる、

まだ聞こえるといった感じにどこまで音が聞こえるか耳に全神経を

集中させ聞き逃さない遊びは誰もがやったことがあると信じている。

完全に音が消える一歩手前、いや半歩手前、0.1mmでも近くへ。

そんな辿り着いたところで何も起きないようなものを追いかけ続けていた。

半年しか着ていない硬い制服で寝転ぶのは、折り目が所々に刺さり

お世辞にも心地が良いとは思えない。

靴下を履いたままベッドで寝転ぶのも違和感がある。

時計の針が「3」を過ぎた辺りで、養護教諭から再び確認があった。

「今ならまだ間に合うよ。」

何に間に合うのか。

教室に帰れる時間か?テストの回答の時間?

それとも人生か。

今まで歩んできた人生を今ならまだゲームオーバーにならないで済むのか。

これを逃すとContinueを選択できなくなる。

当然教室へ戻り回答する時間だ。人生などという大それたことではない。

あのときは。

今は違う。今まで歩んできたデータでのエンディングは諦め、

新たなセーブデータを作り、違うエンディングを見ることになった。

人生ってマルチエンディングなのかな。

誰かが僕の諦めたエンディングをプレーして見てるのかな。

もし僕を操作しているプレーヤーがいるならそいつは上手とは言えないな。

修行してくれ。eスポーツの世界は厳しいぞ。


今思うと、この辺りが物語の重要な分岐点だったのかなと

思ったり、思わなかったり。       なんてな。








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18歳。いつか19歳になります。 noteに自分の体験談や考えをほぼ毎日書いてます。何か反応をもらえると嬉しいです。 【twitter】https://twitter.com/qSWaNGop
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