見出し画像

言葉の緩衝材。

典型的な中年太り体型の担任教師が少々驚いた様子で保健室に入ってきた。

ホームルームでは僕の姿はあったのに突然どうしたと言った感じに。

僕は「突然じゃねぇよ。」と心の中で愚痴みたいなもの漏らした。

それと同時にそう思われても仕方ないなと悟ったように少し下を向いた。

担任教師は紺色のジャケットをマントのように前裾部分を広げて

後ろに払い、両手の拳を腰に当て、足を肩幅より少し広く開いて

僕のことを心配げに見ていた。

昭和のヒーローを思わせるような感じだ。だけどかっこよくは見えない。

胸を張ってないせいか。

時計の針は「10」にちょうど重なったくらい。

担任教師は「テストどうする?」と質問してきた。

自分で決断するのが苦手な人にとっては意地悪な質問に思える。

はっきりと「無理です。」とは答えられなかったと思う。

因みに担任教師はとても温厚な人柄だ。指導が厳しい教師ならもしかしたら

「やります。」と答えていたかもしれない。過去にそういうこともあった。

「熱中症になる前に、異変を感じたら先生やコーチに言いましょう。」

なんてできるわけねぇ現象とでも言っておく。

このことについての愚痴は一旦置いておく。

「我慢すればできるな」と思われないように症状を隠すことをやめ、

「ちょっと無理っぽいです。」みたいな感じで答えた。

この場合「ちょっと」も「っぽい」も意味を持たない。

言葉の緩衝材みたいなものを付け加えるのが癖になってる。

はっきり言葉を伝えられないことも多々ある。

担任教師は当然だよなといった感じで「そうか」と一言。

しばらく時は止まってないが沈黙があり、養護教諭に軽く会釈をして

担任教師は保健室を後にした。

担任教師が閉める保健室の引き戸が本当に最後の鉄扉が閉まるような

感じに当時は感じなかったが、今はそう感じる。


テスト開始まであと約6分。

期待されても僕が数学のテストを頑張って受ける感動ストーリーはない。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがとうございます!!
5
18歳。いつか19歳になります。 noteに自分の体験談や考えをほぼ毎日書いてます。何か反応をもらえると嬉しいです。 【twitter】https://twitter.com/qSWaNGop
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。