心を燃やせ ~その炎、本当に安全ですか?~「組織を変える安心安全な心の燃やし方」
熱い想いが組織を変えられる。本当にそうだろうか。
私自身、エンジニアマネージャとして、組織変革に取り組んでいる。熱い想いを持って取り組んできたが、たびたび心も体も疲れ果てる。本当に自分は取り組んでいけるのだろうか?これをできるのは自分ではないのでは?そう感じていた。
先日(2023/4/17)「ゆるふわスクラム輪読」でFEARLESS CHANGEの読会に参加して、その答にたどり着けた気がするので、得られた学びを残し、自らの記憶から無くさないようにしたい。
心を燃やせ
心を燃やすことの美徳
みなさんご存知、鬼滅の刃、煉獄杏寿郎の有名すぎる言葉です。
映画や漫画でこのシーンに涙した人も多いでしょう。私もそのひとり。
心を燃やした杏寿郎の想いは自らが燃え尽きるほどの熱い想い。そして、燃え尽きるその炎はとても美しい。
煉獄杏寿郎だけではない。情熱を持ってスポーツに取り組み、そして手に入れる勝利は美しい。たとえそこで燃え尽きたとしても。
人々、特に日本人はその燃え尽きる儚き美しさに何か心惹かれるものがあるのでは無いだろうか。そこに美徳を感じているように思う。
組織や文化を変える情熱
組織を変える情熱の視点で考える。
組織を変えるためにも、もちろん情熱は必要だ。情熱こそが人の原動力なのだ。そして、その情熱を周囲の人々に伝播すること、それが大切なのだ。
長期にわたって組織や文化を変え続ける人々
世の中には、長期に渡って組織や文化を変え続ける人々がいる。アジャイルやスクラムの文化を日本に浸透させるためにRSGTなどのカンファレンスを主催し続ける方々、JTCを変えるために頑張っているfukabori.fmで有名なiwashiさん、e-sportsの素晴らしさを伝え続けている中島賢一さん、彼らは途方もない長い期間活動し続けている。
そして、そんな人達との出会いが私を焚き付けるのです。「心を燃やせ」と。
組織を変えるために燃えさかる炎を保ち続ける難しさ
最近私のRSGT2023で燃えた組織を変えたい、高らかに燃え上がった情熱の炎は小さくなりつつある。たった3ヶ月。短っ。
組織を変えるために心を燃やそう。情熱は熱ければ熱い方が良い。熱い炎は周りを巻き込み、さらに大きな炎となる。私はそんな期待をしていた。
RSGT2023で燃え上がった「組織変革」への想い。しかし、ひとたび少しの障壁に出会えば、その炎は簡単に小さくなる。歯を食いしばって前を向こう。そのために、カンファレンスやコミュニティに参加し、焚き付けられる。そしてまたすぐに小さくなる。そんな3ヶ月だった。
短い期間で情熱を燃やしては、炎を小さくして、を繰り返している私。一方で、長期に渡って組織や文化を変えることに情熱を持って取り組み続ける人々。
私と彼らの違いは一体なんだろうか。なぜ、彼らは長い時と共に燃え続けられるのだろうか。
燃え上がる炎で組織を変える難しさ
ここで、燃え上がる炎で組織を変える難しさについてお話ししたい。3つのポイントにまとめた。
燃え上がる炎は尽きやすく、継続が難しい
1つ目は、ここまでも何度か出てきている、継続の難しさである。炎を大きく燃やすためにはたくさんの燃料が必要だ。同様に、人間も同じだ。大きく燃えさかる炎のような情熱を心に焚き付けるためには、相応にエネルギーが必要だ。そして、尽きるのは簡単だ。カンファレンスなど熱量もらってきても、組織は理想論や、先人の知恵を繰り返すだけでは変わらない。だから、簡単に障壁にぶち当たり、火の勢いはあっという間に小さくなる。そして、心も体もあっという間に疲弊するのだ。
燃えさかる炎が人を避ける
燃えさかる炎は危険だ。熱すぎる炎は人を遠ざける。同様に、組織を変えたいと熱くなっている人に近づきたいだろうか。
人は時に熱くなりすぎている人のことを、狂信的と判断する。狂信的な宗教論者に付いてくる人は果たしてどれだけいるだろうか。
反対勢力に火消しされる
身近に火事が起きていたら、人々は火を消そうとする。それは、組織において、変革を起こそうと心を燃やしている人を、危険人物として扱われることと似ている。
人々の嫌うのは変化だ。変化を起こす、燃え上がる心は簡単に火消しに会うのだ。
組織を変革する安心安全な心の燃やし方
燃え尽きないように細く長く燃える
組織を変革することの重要性の1つ目は前述のように情熱を燃やし続けることだ。
FEARLESS CHANGEの読書会で「情熱を燃やし続けるのが難しい」ということを話した。それに対し、ことねさんの好きなコミックの言葉で、燃え尽きないように細く長く燃える、というような言葉があると教わった。
「細く長く燃える」というこの言葉は私としては大きな衝撃だった。
『そうか・・・、これだ。これが私に足りなかったことなんだ。』
私の中で整理した「細く長く燃える」ことの重要なポイントをここに書いておく。
情熱を細く長く燃やすことで、持続させやすくなる
情熱が小さくなっても、「消えてるんじゃない、小さく燃やしているだけ」と自分自身が認識することが大切
大きく燃やすためには、カンファレンスなどに行って、たくさん熱量をもらってくる必要がある。一方で、細く長く燃やすためには、小さなふりかえりや、小さな感謝などの少ない熱量で足りる
カンファレンスで大きなエネルギーをもらった時こそ、ゆっくり使って長く燃やす
ガスバーナーの空気調節ねじ、ガス調節ネジのように、きちんと管理し、時によって炎の大きさを調節することもまた大切
小さく美しく炎でも周囲を燃やすことはできる
組織を変革することの重要性の2つ目は周囲のメンバーを巻き込むことだ。
小さな炎は周りを燃やすことができないのか。答えは簡単だ。小さな炎も周りを燃やすことはできる。どんなに小さくても、その炎は確実に燃えているのだ。
燃え広がり方は、燃えさかる炎よりも遅いかもしれない。しかし、燃えさかる炎で燃え移った炎は、やはり大きく燃える。危険な炎を伝播させるのではなく、小さな炎を少しずつ伝播することが大切なのだ。
あえて言えば、それが健全な組織の変化なんだ。
まとめ:小さな炎で「心を燃やせ」
組織や文化を変革するためには、長い時間をかけて広めていかなければいけない。
組織の変革をもたらすための情熱を大きな情熱を燃やして、つらい、しんどい、と感じている方がいたら、ぜひ、この「小さな炎で『心を燃やせ』」を胸に刻んで欲しい。
共に組織に変革をもたらしていきましょう。
参考資料
iwashiさんのRSGTクロージングキーノート
とにかく前向きラジオで話をしましたー
とにかく前向きラジオ ep58「おーのAさんが悟った。心を燃やせ~その炎、本当に安全ですか?~
noteの記事書いてる途中で収録に参加して、話してきました。
公開されるまでにnoteの記事が間に合いませんでした。。。
ことねさんのガンスリンガーガールに関するtweet
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