AV新法問題、映画業界ハラスメント問題

ここ最近AV新法の話題と映画業界ハラスメントの話題を同時並行で追っていて、いろいろと分からなくなってきた。裸の仕事に矜持を持ってる女性もいれば、強要されて傷つきトラウマになってしまう女性もいる。そのどちらも厳然たる事実であることを認識したうえで、なるべく誰も不幸に陥らないような社会の仕組みを作れないものなのだろうか?性に対する意識が人によって違う、多様であることを前提として、最適解を探っていく方向で議論が進められないものだろうかと。

中島哲也監督の映画に出演しヌード強要の被害を受けた女性の文章を読んだが、心が痛む内容だった。何より、性被害者は告発すれば自分自身が傷つくことになると書きながら、それでも告発せざるを得なかった心境を思うとかなり辛いものがある。

勿論園子温の件もこの件も全てが本当の話なのか私には判断できないし、これはこれで慎重に向き合うべきところもあるかもだが、しかしここまで女優サイドからの告発が相次いで出てくる状況ははっきり言って異常である。よっぽど業界全体として根深い問題を抱えてるんだろうと思わざるを得ないのである。

一方でAV新法の件では、AVが絶対的に悪であり性暴力である、出演してる女優は可哀想な被害者であると言わんばかりのAV新法反対派の主張に対し、当事者である多くのAV女優から反発が相次いだ。近年の大手メーカーではコンプライアンスがしっかりと機能しているらしく、出演強要やNGプレイ強要といった被害は、少なくとも私は受けていないという女優側の主張が多く見られた。もっとも、戸田真琴さんが「現役女優の声がこれまでAV業界によって精神的・身体的苦痛を経験した人や被害を訴えている人の苦しみを踏み躙るものであってはならない」と真摯な発信をしている通り、これも一面だけを見て性急に結論らしきことを言うべきではないだろう。

個人的には、AVを視聴していながら女優を蔑むような発言をする人たちをどうにかしてほしいと思うのだし、また女優がその仕事を引退しセカンドキャリアを歩む時に、AVの過去が不利に働くような社会であってほしくない。フェミニズムがそういう方向性で闘ってくれるならば、その部分については積極的に賛同できるのに。そんなことを思うのだった。とにかくまだまだ改善を促すべきところ、アップデートすべきところはたくさんあるのではないだろうか。

不幸になる女性を減らしたい、その思いさえ合致していれば、今対立している者同士が共闘できる局面ももしかしたらあるかもしれない、希望的観測ではあるが。

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