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【自治トピックス】No.1

 11月25日に福島県の浜通りを歩いた。JR双葉駅の傍らにあるモニタリングポストは0.278マイクロシーベルト。原発事故直後ならゾッとした数値だが、今ではすっかり慣れてしまった。常磐線の全線開通で双葉駅にも特急が停まるようになったが、ここから乗車したのは私一人だった。

 週初めは最近の地方自治や地方政治、地域の話題などを報じた記事をピックアップしていきたい。言うなれば、スクラップブックのようなもの。肩の力を抜いて、お付き合いいただきたい(いつまで続くか分からんが)。

任期満了に伴う鹿児島市長選は29日投開票され、無所属新人の元鹿児島県議下鶴隆央氏(40)が、前副市長松永範芳氏(63)=社民推薦、元市議上門秀彦氏(66)=自民推薦=ら新人3人を破って初当選した。投票率は38・16%。自民は7月の県知事選に続き、県都の市長選でも敗れた。

 鹿児島のお国事情なのか、それとも地方の閉そく感がそうさせているのか、知事選に続いて自民党が担いだ候補が敗北している。新市長は、下鶴隆央元県議。HPでマニフェストを読んだら、これがなかなかエモい。

 なにより40歳という若さは最大の売り。若干、〝維新〟っぽいにおいがするのが気になるが、マニフェストには時代の潮流に乗った公約を並べている。

【No.5】市長給与を50%カットします。
新型コロナで厳しい状況にある市民の皆様とともに歩み、新型コロナ対策の先頭に立つ姿勢を示すとともに、新型コロナ対策の財源に充てるため、自らの給与を50%カットします。

 この辺りは、〝維新臭〟がプンプンする。けれど…

【No.62】手話言語条例の制定
手話言語条例を制定します。
【No.75】同性パートナーシップ
速やかに同性パートナーシップ宣誓制度を導入するとともに、生活上必要な効果が得られるよう、市の制度改正に加え民間事業者等へも啓発や協力要請を行います。
【No.89】データに基づく政策立案(EBPM)を推進します
今後急速に進む少子高齢化・人口減少・扶助費の増大に対応するには、データに基づき成果志向型の、根拠ある緻密な政策が求められます。市役所全体にEBPMの考えが浸透するよう取り組みます。

 これからの姿勢に注目。

5選を目指す現職の古田肇氏(73)と元中央官僚で新人の江崎禎英氏(55)の支持で県議団が二分され両氏とも推すと決めたことから、県連として選挙対策会議を開くことができず、推薦や支持などの判断ができないとした。
野田会長は、いわゆる「古田降ろし」として新人の擁立に動いたベテラン県議の動きを「長老支配政治」と批判。県内の複数の業界団体がいち早く現職支持を表明したことについては「長老支配政治を変えたいと願う人たちの声だと受け止めている」との見解を示した。

 一人を選ぶ首長選で、地元県議団が二人推薦するという大草原。昔、都議選でも経験した。某市長選で、地元選出の都議が二人の陣営の出陣式に出席していて、どちらも当選を呼びかけるというへんてこな光景を目撃した。なんとも、平和な政争だ。

 会議終了後、取材に応じた立民県連合の渡辺嘉山代表は、出席者から野党第1党として独自候補の擁立や、特定候補への推薦を求める声が上がったと明かした。一方、選挙まで日にちが迫る中で、「(自民党が)割れている今はチャンスではあるが、独自候補の擁立を決めるのは難しい。推薦にも意見があり、自主投票はやむなしと判断した」と述べた。

 そして、保守分裂に対して、迎え撃つ国政野党はというと、対立候補を立てられず。これで〝政権交代〟とか言っているのだから、これもまた大草原。

立憲民主党の福山哲郎幹事長は29日のNHK番組で、新型コロナウイルス特別措置法の改正案を近く国会に提出する考えを明らかにした。都道府県知事に緊急事態宣言の発出権限を与えることが柱。知事が飲食店などに営業自粛を要請した場合の補償について、国の財政支援を裏付ける内容も盛り込むとした。野党に共同提出を呼び掛ける。

 法案を出すのは自由。だが、この議論はもはや半周遅れという気がする。

名古屋市の河村たかし市長は26日夜、市内の錦三・栄地区を対象とする愛知県の営業短縮・休業要請について「(業者が)かわいそうだ。基本的に賛同できない」と不満を示した。観光需要喚起のため市が独自に発行する観光クーポン「シャチ割」は継続する方針。

 政令市の権限を持ちながら、この体たらく。まるで他人事だ。イデオロギーを優先して広域自治体との対立を招くと、引っ込みがつかなくなって、肝心なときに何もできない。

佐竹知事は「地方の人間は東京との間の往来が多い。秋田県でもほとんどが東京で、東京の状況が非常に大きな影響を与える」と話しました。その上で、政府が札幌市と大阪市を目的地とする旅行を除外している「Go Toトラベル」で、2つの市を出発地とする旅行の自粛も呼びかけていることをめぐって、「われわれが東京の人だけをお断りすることはできない。東京の扱いを早めに判断してもらいたい。本当は、東京も大阪市や札幌市と同じような扱いをするべきではないかと思う」と述べて、東京の扱いについて早く結論を出すべきだという考えを示しました。
「国にいくつかの意見照会をしていて今もやりとりが続いている状況です。それらを踏まえてからで、今、鋭意検討している」

 この囲み取材、必要だったかい?(苦笑)

 幸いなことに、東京の感染者数は連日400~500という高水準だが、そこから突き抜けるような状況ではない。都民や事業者の独自の対策が功を奏しているのか、それとも別の要因なのか分からないが、3連休の影響が出始める今週末くらいの数字が一つのメルクマールになるだろう。

県は、イベントのチケット代などを割り引く「Go Toイベント」の新規発行を、来月2日から一時停止するほか、県内を旅行する県民を対象に独自に行っている割り引き事業も、一時停止することを決めました。

 コロナ感染の拡大が要因だろうか、イルミネーションが始まった江の島の人出も少なく感じた。

 (大阪府 吉村洋文知事 11月26日)
 「大阪市民は270万人いらっしゃる。移動するのを全て止めるというのは、僕はちょっと違うんじゃないのかなと。今、緊急事態宣言の状態ですか?と言われたら、僕はそうではないと思います。」 

 そもそも、緊急事態宣言って移動を全て止めることではないんだが。国は緊急事態宣言を行うが、とこまで移動を止めるのかを決めるのは知事の責任。吉村知事の言い方は、僕はちょっと違うんじゃないのかなと。

 それにしても、大阪はのんびりしている。そのうちピークアウトするさという投げやりな態度が見え隠れする。

 小池知事は「東京に住む皆さまの同胞は大切な都民。都の対策を進めていく上で、皆さまの協力が必要」と述べ、感染防止策などを自国民に周知するよう呼び掛けた。

 これも、知事が出てくる必要あった?(苦笑)こんなの、局長マターだよね。

日立市内で三十日から始まる自動運転バスの実証運行は来年三月五日までの間、中型バスがおさかなセンターとJR多賀駅前間約九キロを往復する。バスは一日四往復で、うち一往復はJR大甕駅西口まで。十二月四日までは無料だが五日からは有料。利用には事前の予約が必要となる。

 街中を自動運転って大丈夫かと思いきや、BRT専用レーンを使うのだそうだ。事前予約が必要なバスって、果たして使い物になるのかどうか。それよりも、小型のタクシーを自動運転にした方が効率が良いし、本数をランダムに増やせると思うが。

調査に反対する水産加工業吉野寿彦さん(60)によると、13日に文献調査への応募の是非を問う住民投票条例案を否決した町議会の信を問うためで、有志らと団体を設立し、年明けにも始める。請求には町内の有権者数の3分の1の署名を1カ月以内に集める必要がある。

 町議会をリコールしても、同じ人が当選するんじゃね?

東電も柏崎刈羽原発の再稼働に向けた準備を着々と進めつつある。10月末には原子力規制委員会が保安規定の変更を認可し、7号機の国の審査は終了した。年内には安全対策工事が終わり、21年4月には原子炉を起動する前の検査も完了予定だ。21年6月にも、7号機は技術的に使用可能な状態となる。

 柏崎刈羽原発は2007年の新潟県中越沖地震で停止したので、福島第一原発の事故とは別枠で考える必要がある。ここから送電される電気の大半は東京を中心とした首都圏が消費する。2012年に同原発の再稼働を問う都民投票の条例案が都議会に直接請求されたが、否決された。原発の停止から13年間、地元がいまだに原発がないから経済が停滞しているという認識のままでいるところが、つくづく変われない人たちだなと感じる。10年以上、あんたがたは何をやっていたの?

行本市議は取材に「思わず口にしてしまい、市長に申し訳ないと思っている。言葉遣いに気をつけたい」と話している。

 女性職員にうんこを投げつけて、全国に岡山県赤磐市の名を広めた功労者。

 失礼ながら、初めて知った自治体だ。市内に鉄道駅はなく、JR山陽本線瀬戸駅からバスで10分だそうな。

 赤磐市は、「人権尊重都市宣言」を行っている。これが名文なので、ぜひお読みいただきたい。

私たちは、日本国憲法により、一人ひとりかけがえのない存在として尊重され、健康で豊かに幸せな生活を営むために欠かすことのできない基本的人権が保障されています。
しかしながら、価値観の多様化や急速な社会情勢等の変化により、新たな人権問題も発生しています。
人権が尊重される社会の形成を目指して、すべての市民が人権尊重の意識をもちながら、たゆまぬ努力をしていく必要があります。
よって、ここに基本的人権の尊重を市民全体の目標とし、一人ひとりが人権を尊重することの大切さを認識し、将来にわたり心豊かな潤いあふれる住みよいまちとなるため、赤磐市を「人権尊重都市」とすることを宣言します。

ちなみに、行本市議は2017年の市議選では最下位当選だったとさ。

 最後は海外の議会の話題。

台湾の中央通信社によると、騒ぎは蘇貞昌(スーチェンチャン)行政院長(首相)による質疑応答を阻止するために起き、一部の議員は一時、殴り合いも演じていた。議会に相当する立法院で撮影された映像には豚の内臓が議場の床や一部議員の服を汚す場面も収められていた。
今回の衝突は蔡総統が今年8月、添加物のラクトパミンが入った餌で飼育された米国産の豚肉輸入を来年1月1日から解禁すると発表したのがきっかけ。ラクトパミンの使用は中国や欧州連合(EU)を含め多くの国で禁止されている。

 日本のゆるーい国会を見ていると、目が覚めるような乱闘劇だ。

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