季節のこと
馬鹿に笑うから、マジメに考えるのでしょうか。
真面目に笑うから、バカに考えるのでしょうか。
話に花を咲かせた酔いに限って、
上から見下ろす私がふと私の肩を叩きます
私は振り返って、酔いを醒ましていきます。
独りになりたい宵に限って、
そばで見届ける誰かがふと私の肩に触れていきます
振り返った先の友の笑顔で、宵は明るく赤らんでゆきます。
だから、冬の隙間風に過ぎた夏を思い返して、
そうして遠い夏に今日を思い返すでしょう。
彼がめずらしく愛をささやいたから、私は照れくさそうにそっぽを向くのでしょう。
私がめずらしく涙をためこんだから、彼は精一杯におどけてみせるのでしょう。
人が笑わせるその裏には憂いがあって、人の憂いの裏には誰かを嗤ってごまかす自分もあることでしょう。
四季をめぐるように裏の裏を何周も駆けぬけたあとに、
そこにはなにもないことに気づくでしょう。
だから、そこに種を蒔くことを知るのでしょうか。
それだから四季は巡ることをやめずに彼や彼女もここにいるのでしょう。
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