電動アシスト自転車
後輩の先生が電話で学習相談を受けていた。
その中で、実にうまい例え話をしているな、と思わず関心することがあった。
「お母さん、知らず知らずのうちにお子さんを電動アシストのついた自転車に乗せていませんか」
この例え話を聞いたとき、だいたいどういう相談を受けているのかが想像できた。
私たちは、子どもが「わからない!わからない!」を連発しているとき、その「わからないこと」を説明してしまうことがある。
子どもが悩んで苦しんでいる姿を見ているのがつらいからかもしれない。
こういうとき、たいていは一緒に問題を読んで、丁寧に図や絵を描いたりして、一生懸命にわが子のために説明をする。
すると子どもは、「うんうん、なるほど!」といって、今まで癇癪をおこしていたのが嘘のように笑顔になる。
笑顔になったわが子を見て、私たちは「よかった!」と思う。
これは家庭だけでなく、個別指導の塾などでも見られる傾向だろう。
でも、これで本当に学習効果はあるのだろうか。
よくよく子どもとのやり取りを振り返ってみると、一生懸命考えて、わかりやすく説明して、頭をフル回転させているのは、教えている私たちだ。
子どもはただ説明を聞いているだけのことが多い。
説明をしている私たちほど頭は使っていない。
この状況を、後輩の先生は「子どもを電動アシスト自転車に乗せていませんか」と言ったのだ。
電動アシストは、急な坂道もぐんぐん登っていってくれる。
これほど楽なものはない。
でも、脚力は落ちる。
楽だけど、体力の自信もなくなる。
これは勉強にも同じことが言える。
私たち大人のアシストがあると、確かに勉強も楽だ。
しかし、アシストの多い勉強では力は伸びない。
子どもが自分の能力に自信を持って、勉強ができるようにするには、すぐに電動アシストに乗せてしまうのではなく、まず自転車の乗り方(勉強の仕方)、急な坂道の登り方(わからない問題を解決していく手順)をアドバイスしてあげることが大切なのだと思う。
みさわ
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