見出し画像

本と私だけの世界

本を読むのが好きだ。映画も好きだが、本には敵わない。

物心ついた頃には既に、家の廊下にずらっと並んだ本を片っ端から夢中になって読んでいた。薄暗い灯とひんやりとした木の心地よさ。目が悪くなるからと怒られようが、その廊下を離れなかった、いや離れられなかった。その後メガネをかけることになったことは、遺伝のせいにしておく。

本は私の良き理解者でもある。

集中すると何も聞こえない、落ち着きがなく授業中に机の下に潜ったり歌ったり。感情的でわがままと言われることもしばしばあった小学生時代(今でもか)。人と円満な関係を築くのが苦手で、どこにいても居場所を見つけるのに苦労した。

そんな時に私の友人となったのが、本に出てくる登場人物たち。「赤毛のアン」シリーズに登場するアンシャーリー(eをつけてね)はわたしの分身のような存在だった。現実を逃れるかのようにどこまでも広がる想像力。止まらない会話。彼女の人生は、私に「それでもいいんだよ」「いつかきっと幸せになれるよ」と語りかけてくれているようだった。

違う世界にどっぷりと浸かるわたしには、誰の声も聞こえなかった。

ああ、私の周りにじわじわと膜がはっていくような、あの感覚。背中に翼が生えて、どこにでも飛んでいけるような高揚感。

本は想像を邪魔しない。得られる情報が(基本的には)活字だけだから、自分勝手な方向にいくらでも広げていける。

映画も大好きだけれど、自分のイメージと少しでもずれたときのあのモヤモヤとした感情は、学校の授業やテストを思い出させる。現代文の授業で詩の解釈をしたときに、先生に違うと言われたこと。自分勝手に想像できない窮屈さ。映画は正解を提示しているわけではないけれど。

白と黒から成る本の世界から、色が溢れだす。あの感覚は何にも代えがたい。

わたしの小さな世界を広げてくれてありがとう。

#本 #大学生 #自粛生活  


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?