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飲食店の未来

コロナ禍により世界が変わると言われています。
確かに変わるでしょうし変わらざるを得ない部分も沢山あるでしょう。飲食店の未来も当然変わってくるものと思われます。

外出自粛に伴ってテイクアウトやデリバリーの需要が高まり、その気軽さから今後もこれで良いじゃないかという声も聞こえます。
しかし、飲食店にとってテイクアウトやデリバリーはあくまでサービスのひとつであり、元々がテイクアウトやデリバリーをメインと考えて作られたお店でなければ利鞘は少なく、全てのお店がテイクアウトやデリバリーをメインに方向転換していけるようなサービスではありません。
何もやらないよりはマシという程度でしょう。

確かに今は外食もままならないご時世です。
しかし、外食という文化は消えません。
それを求める人が多くいるからです。

外出自粛要請を受けて僕も家で自作のカレーを食べることが増えました。
僕はミュージシャンですが音楽で食えるようになる前は飲食店でアルバイトをし、調理に当たっていました。調理師免許も持っていますので元プロと言えなくもないのですが、そんな僕でも自作の料理を美味しいと思えません。
物理的にではなく精神的に美味しいと思えないのです。
これは何故なのかという話をTwitterでしたところ、福岡の名店KALAのマスター、通称ボスから「料理とは相手の手間を食べることなので自分の料理は美味しくないんだ」とリプをもらい、ハッとしたわけです。
(さらにボス曰く「自分の料理はオナニーみたいなもんだからなw」とも続き、このあたりの色々はFacebookに例え話として書いたのでお暇な方はそちらもどうぞ。ちなみに冒頭の写真はそのKALAのミールスです。最高です。)

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2594175434171508&id=100007372301273

閑話休題。
外食とはつまり味を楽しむのみならず、手間を味わうものであり、作り手の想いを味わうものであり、食べる為に作られた空間を楽しむものです。
外食産業ピンチの中、高級店ですらテイクアウト対応している所が少なからず出てきました。
もちろん美味しいです。一流の素材を一流の技術とセンスで調理するのですから。
しかし、どう考えても物足りません。
味や手間や想いまでは味わえても、空間を味わうことができないからです。
内装や皿や盛り付けに込めた想いまで味わうことができないからです。
テイクアウトでは盛り付け方法も制限されてしまいますからね。

食べる際に一言、料理について説明してくれる。その料理の起源だったり素材について、あるいは調理法について。
それを聞くことによって想像力が膨らみ、味覚も鋭敏となり、美味しさのレベルは上がります。

食べ方を教えてくれる。
それによって自分では知らなかった新しい食べ方ができ、当然味も変わり、やはり美味しさのレベルが上がります。

高級店だけではなく、カウンターのみのカレースタンド的なお店でもそういうサービスをしている所があります。

そのような説明をせずとも、シェフが一皿一皿丁寧に盛り付けている姿を見るだけでも楽しいものです。
期待が高まります。
そしてその盛り付けの中で見えた小さな工夫の答え合わせを食べながらできるという楽しさがあるのです。

味以外にもこういう楽しさが沢山あり、だからこそ美味しく感じるわけです。

外食は避けるべきだという意見ももっともです。
ですが、混雑するスーパーで食材を買うよりも、客がほとんどいない飲食店で1人食べる方が安全ではないでしょうか。
当然、食べる為だけに電車やバスに乗って飲食店に行くことは避けるべきでしょう。
しかし、食材を買いに行こうと思ったスーパーが混雑していたなら、その近くの空いている飲食店で食べるという選択肢はあって良いと思うのです。
テイクアウト目的でお店に行き、空いていたならイートインするという選択肢はあって良いと思うのです。
食べて美味しければそれを食べ終わった後でマスクをしてお店の方へ伝える。
さらにテイクアウトして翌日また食べるようにすれば良いのです。
それがお店の力になるでしょう。

まずは近所の好きなお店に行ってみてください。
中にはテイクアウトのみに切り替えたり、休んだりしているお店も少なからずあるでしょう。
しかしイートインを続けているお店には、続けなければならない理由があるのです。
そしてそのようなお店は人一倍予防に努めているはずです。
中にはそうじゃないお店もあるかもしれません。どう見ても予防が甘いと思ったなら利用しなければ良いだけの話。
ちゃんと予防していることがわかり、他に客がいなければ、そこで食べていっても良いと僕は考えます。

飲食店はしばらく厳しい状況が続くでしょう。
しかし、味以外の楽しさがある限り外食文化は消えません。
そして味以外の部分もしっかりとできているお店が生き残っていくでしょう。
あとはコロナ禍が落ち着くまでどうしのぐか。
僕は微力ながら食べて支えたいと思います。
飲食店の皆さん、本当に厳しいご時世ですが僕には皆さんが必要です。
皆さんの料理と、想いを味わうことが生き甲斐です。
僕以外にも同じように考えている人は少なからずいます。
ですからどうぞ挫けずに、何とかこの苦難を乗り越えていってくださいね!

そしてこの長い文章に共感してくれた方は、ご近所のお店を支えてください。

一日も早く今までのように外食を楽しめる日が戻ってくることを祈りつつ、筆を置きます。

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