【森の家11】〜「石場建て」を残すために今の自分にやれること〜
森の家を手に入れて半年が過ぎた。初めての夏は、蒸し暑さとの戦いだけでなく、伸び盛る雑草や急な雷雨、ヤマビル、マダニ、アブやハチ、それにマムシや猛毒のヤマカガシとの格闘だった。
エアコンもシャワーもない現場で迎える夏の暑さは、キツくなかったと言えば嘘になる。汗だく泥まみれになるたびに、早く涼しくなってくれ〜と叫びたくなると同時に、いつか電気が通り、水が通り、家が直り、ゴロンと横になれる床ができ、トイレがあり、シャワーが浴びられるようになる日が切実に待ち遠しくなった。土埃にまみれ、疲れた顔で見張りを続けてくれているワンコも、来年の夏にはヒンヤリとした清潔な土間で寝息を立てていることだろう……という妄想ベースの目標が今の私を支えているが、この暑さの中での作業はあまり捗っていない。
なるほど、物件探しをしていた頃、時折目の当たりにした「購入したはいいが、改修しきれず頓挫した古民家」の持ち主たちが、夢にまで見た田舎暮らしをどのように諦めていったかが少しは想像できた。雑草伸び放題の広い山林にボロボロの古家を手に入れて、夏の厳しさを知った今思うこと…。いつか現実に直面した時に後悔するのではないか、という購入前に抱いた不安は、この半年でどうなったのか?
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