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書店員という仕事

大好きな本と共に過ごせる時間。それはとても幸せな時間。書店員になって大好きな本を間近に接しながら穏やかな気持ちで日々が過ぎていってます。もちろん優雅な仕事ではないので体力勝負なところもありますが、とても充実した毎日を送っています。

書店で働き始めて自分の棚というのを持ち始めてしばらくたった時のこと。「この平積みしている本を整えるとき、田植えに似ているな」と思いました。新しい本を平積みにするとき、期待をして本を置いて売れるかどうかそわそわします。そこにポップを書いて推してみたり、Twitterに載せて発信してみたり、様々な工夫を重ねて「この本が上手く育ちますように」と見守る。お客さんの近くでこそっと手に取られるのを見てドキドキしながら、そのまま手の中におさまってくれると、ほっとした気持ちといってらっしゃいと見送る気持ちが混ざってほわっとした温かい気持ちになります。数々ある本の中から、購入される本たちを眺めていると流行の本(新刊・話題書・メディア化)が多く売れるという事実はあります。けど、少なからず「この作者が好きだから」「ポップを見て気になったから」「店員さんにおすすめしてもらったから」等の気持ちで購入していただけると、嬉しさが何倍にも膨れ上がる。それで「この仕事をしていて良かったなあ」と私の心の幸福度は格段にあがるのです。

辛いことは、体力仕事なこと、本を読みすぎて猫背の深刻化、腰と肩こりが治らない・・・等々いろんなことがありますが、結局のところお客さんが楽しそうに本を見てくれたり、「ここにならあるかもしれない」と思って書店に訪れてくれたことが嬉しいのです。ましてや電子書籍が発展するこの時代に本というものを求めて購入してくれることは微笑ましくあります。私は年齢は若いのですが、スマホを見すぎると目がつらいな・・・と思うことが多いので本が好きです。スマホのように明るくないし、電波も発信してないし、手軽に持ち運びもできるし、現実で辛いことがあっても本の中に入り込めば自然と消化できるし、気持ちを持ち上げてくれたり寄り添ってくれたりするところも凄く好きです。

このところ書店で人をあまり見ることが無くなってきてしまったように感じます。皆さん忙しかったり、疲れていたり、スマホをいじっている方が楽しいと感じる人が多かったり・・・。一呼吸おいて、ウィンドウショッピングのつもりで書店へ立ち寄っていただけたらなあなんて思いながら、明日も書店でお客様をお出迎えする予定です。

さて、今日も本を読んで寝ます。明日ご来店されるお客様が一人でも多く本と出会えますように。

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