Catskillの呪縛

最悪の幕切れ

 最悪のシーズン最終日だった。
 良いサイズを掛けたのだが取れない。5xの結び目から切れた。
 3ヶ月狙い続けていた鱒が出た。12時過ぎ、水面下に魚体全体が浮いてくるのが見えた。しかしマシュマロピューパ #10を大鱒が咥え損なった 。その3時間後、もう一度同じ鱒が、荒瀬が爆発する位の出方で毛鉤を襲ったのだが、焦った合わせで、早すぎ、強すぎで鉤掛かりしなかった。
 夕方、ベタベタの水面、バンクギリギリで静かに、吸い込む様なマッチ・ザ・ハッチの良いサイズ。立ち位置を変え、クロスダウンで流し込むも最後の肝心な所でフライがスライド、手前の岩の小さな出っ張りがラインを邪魔するのだ。翌日も一度だけトライする事が出来たが、又も毛鉤には何事も起こらずポイントを流れすぎた。
 最後にもう1匹、春に良いサイズが着く、瀬のポイントでいいサイズ発見。これが最後のチャンスだと、2分ほど投げ続けたら出た。上手く乗った!!と思ったら違う手応え。同じポイントで出たのは先ほど見えた50cmアップのレインボーではなく、この川では狙っていない25cmのアマゴちゃんだった。
 最後に出たのはため息と立ちくらみの疲れだった。
 ・・・・・・・・・・ミスの連続、原因は・・・・・思い当たる事があった。
 あ〜あ😩 10日前までのCatskillのマッチ・ザ・ハッチが原因だ! あ〜あ😢

Catskillの名手

 9月12日までCatskillのBeaverkill 川でマッチ・ザ・ハッチの釣りを名手John Shanerのガイドで釣った。
 その時のJohnのキャストと釣りが凄かった。
 ライズまでの距離は私のものとほぼ同じ、8m~10m。しかしその釣りレベルは全く次元の違う、只々見惚れる、ヨダレものの妙技だった。
 リーダーはJohn自作のノッテッドリーダー、先端ティペットは6x。全長がなんと18'。結んでいたのは#18の細身の黒いビートル。この繊細な仕掛けで、良いサイズのライズを待ち続け、数あるライズの中から選んだ魚に、バックキャスト1回。ラインはゆっくりだが力のあるループが伸びてライズの筋に乗った。そのまま毛鉤が自然に流れた。ドラグは一切なく1m流れ切ったが水面に変化は無かった。Johnが毛鉤を静かにピックアップ、そしてバックキャスト1回、先ほどと同じ5cm幅の流の筋に、全く同じスポットに毛鉤をそっと落とした・・・・・いや表現が違う・・・落としたではなく毛鉤を指で摘んで置いた・・・の方が近い。毛鉤が流れに乗って流れた。2秒ほどして鱒の口先が静かに毛針と接触、毛鉤が水面から音もなく消えた。開いた鱒の口が毛鉤を咥え、水中に戻るのがはっきり見えた。魚が水中に消えたのを見計って、Johnがゆっくりとロッドを立てた・・・そこでやっと水面が暴れた。
 魚が現れて水中に消え、水面が暴れるまでの長〜い1秒、そこに見た魚の咥え方の自然さは非常に新鮮な1秒間だった。
 毛鉤を10m先の狙ったスポットに5cmと違わずに正確にキャスト出来、なおかつ本物の虫の流下と同じ様に、魚のライズ地点まで自然に流す事が出来れば、魚は毛鉤を咥えても、それを本物の虫としか意識していない様に思えた。

仕掛けの変更

 このJohnの妙技を見てしまった次の日、私はリーダーシステムを変えた。
 4xリーダーに5x、6xティペットで全長15'弱だった長さを、全長18'は私には無理だったので16'半程に変えた。この日BeaverKillの上流部プライベートエリアで釣った。サイズにして25cm~40cmのレインボーとブラウンがうじゃうじゃいた。私が川に立った時、既に流はボコボコのライズだった。毛針はJohnの情報で黒いビートルの#18。自分で実際のライズ現場を見ても同じ判断。しかし私は敢えて同じ陸生昆虫扱いのフォームアントの#18を最初に結んだ。ライズの中から良いサイズを選び、16'半の仕掛けを投げた。 
 初めての長めのシステムでも、事のほか上手く毛鉤が狙いのスポットに入った。毛鉤も自然に流れて魚が咥えた。水面が爆発した。30~35cm弱の黒い影が水中を走った。パーソナルロッド 7'6" #4  2pc のNew HEX 764が撓った。魚の強さはまあそこそこ、20秒程で魚がこちらを向いた、寄せにかかった。魚がもがいた、それでも764の敵では無かった。強引に寄せたらフックが外れた。あまり感情は湧かない位のサイズだった。
 次を狙おうとしたら、ライズが全く消えていた。バンクで見ていたJohn達のバンクサイドまで、下がってライズの再開を待った。
 川は周りの樹々が作る影よりも水面に写る緑の眩しさを感じる森の中の陽性の鱒川だった。流は浅く、小さな丸石が水底に広がっている。先ほど立ち込んだ岸から10m, 川中央で深さ30cm,一番深い所で、対岸ギリギリで1m程だろう。
 対岸壁下、バンクの窪みギリギリのライズがやはり一番良いサイズだろう事が予想出来た。

Beaverkillのプライベートエリア

 10分ほど待つと再びライズの輪が現れ始めた。良いサイズを見つけキャスト。
しかしドラッグで出ない。するとラインのピックアップで全てのライズが消える。再び待つ。5分でライズがぽちぽち。だが、一旦ライズが納ると次のライズが更に神経質なものに変化するのが分かる。この繰り返し。
 この後2時間程同じ場所で釣り続けた。結果25cm~35cm,最大で40cm弱(のサイズだったと思う)の鱒が8回毛鉤に出た。中の5匹をフッキングした。
 しかし5匹全て、取り込み中にバラした・・・・・・・・・・・・
 今シーズン最後の2日間のホームリバーでの失敗はこのBeaverkill 川のミスを引きずっている・・・そう考えると失敗の要因が府に落ちた。

原因発見!やっぱり悔しい!! 

ホームリバー で使ったロッドもBeaverkillで使ったロッドも同じNew HEXA 764 。
 Catskill旅前にこのロッドで、ホームリバー で50~60cmの大鱒を数取って楽しめた。使い心地良く、何の違和感もなく手にしっかり馴染んでいた。しかしBeaverkillでのバラシとミスの連続が、帰国後のホームリバー でも続いている。
 そのミスの現象はフッキングの甘さという点で共通している。ロッドは同じ、合わせのタイミングや強さも同じ、変化したのはリーダーの全長。ホームリバー の2日間のミスの連続時、現場でのストレスで思考・判断能力が落ちていたのだと思える。シーズン最後の2日間を冷静に振り返る、リーダーの全長を長くした事により、合わせの力を毛鉤まで上手く伝えられていなかったのが全てのミスと繋がった。リーダーの長さを長くした時に、764 HEXA 2pc のティップTop付近とグリップ上の付近を気持ち細くしてやると、私の合わせと16'半の仕掛けとのバランスが良くなり、全てのタイミングが少し遅れることでフッキングが遅くなり、毛鉤の食い込みが深くなるはずだ。

若い相棒がシーズン最後に取った唯一の良型

 最後の釣りから3日、悶々としていた気持ちに一つの整理がついた。来シーズンまでにピンポイントキャストと合わせの強さの加減を、又練習する。 
 名手John Shanerの釣りを見て、釣りスキルの差を実感した。
 フライフィッシングの繊細さと楽しみを又新しく見つけた。 
 大鱒釣りを少し自慢げに語っていたアキマルだけに、このJohnとの力量の差が悔しい。 
 悔しいのがもう一つ。
 今回Catskill旅で意図的に川周り、流れの中にゴミを探した。しかし悔しいがCatskillの銘流ではゴミを見つける事が出来なかった。 
 帰国後のホームリバー には普通にコーラの空き缶やビニール袋が水草と一緒に揺れていた。 それが又悔しい😢

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