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「子宮頸がんワクチンは女性のみが当事者である」という誤解を救いたい

まさかの救いたいネタ。まずは結論から。

【結論】

「子宮頸がんワクチン」の接種により感染を予防できるウイルスは、子宮頸がんの他に、男性に多い中咽頭がんなどの原因であり、男女ともに罹る尖圭コンジローマの原因である。
男性がこれらのウイルスの感染を予防することにより、ワクチンを接種した男性自身の感染症を予防する効果と、その男性から他人に感染させることを抑える効果が期待できる。
したがって「子宮頸がんワクチン」の当事者は、性別を問いません。

【誤解をしている例】

子宮頸癌枠珍について、女性なら誰しも自らの問題にもなり得る

https://archive.ph/mTOvB

当事者でも無い男性

https://archive.ph/mTOvB

とのこと。

「>RT」としている元ツイートはこちら↓

ツイート内の記事はこちら↓

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/5510?layout=b

魚拓:https://archive.is/yDn1a

【結論の根拠】

・がんの原因となる(高リスク群の)HPVは、15種類以上あると知られており、16型・18型をはじめ、31.33.35.39.45.51.52.56.58.59.68.73.82型が存在する。

国立感染症研究所/ヒトパピローマウイルス感染症の概説
https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/hpv_2011.pdf

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・高リスク群のHPVは、子宮頸がんのみならず、男性のがんの原因にもなる。

海外がん医療情報リファレンス/ヒトパピローマウイルス(HPV)とがん
https://www.cancerit.jp/1035.html

米国では、高リスク型HPVは女性で全てのがんの3%を、男性で全てのがんの2%を引き起こします。

ちなみに、男性のがんリスクが高いHPVも、16型と18型だそう。

・低リスク群のHPVのうち、6型・11型は尖圭コンジローマの主な原因である。尖圭コンジローマは男女ともに罹患する。

国立感染症研究所/尖圭コンジローマとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/chlamydia-std/392-encyclopedia/428-condyloma-intro.html

尖形コンジローム(Condyloma acuminatum)は、ヒトパピローマウイルス6、11型などが原因となるウイルス性性感染症で、

※感染症法の改正(2003年11月5日施行)に伴い、同法で「尖形コンジローム」とされていた疾患名は「尖圭コンジローマ」に変更されています。(2013年6月11日追記)

厚生労働省/性感染症報告数(2004年~2019年)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html

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・いわゆる「子宮頸がんワクチン」は、ターゲットとしている型のHPVの感染を防ぐ。

日本産科婦人科学会/子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

新潟県で行われている研究では、ワクチンを接種した20歳~22歳の女性においてHPV-16型・18型(HPVワクチンによる効果が期待される型)に感染している割合が有意に低下していることがすでに示されています。

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「子宮頸がんワクチン」には、対応する型の種類の数によって、2価と4価と9価のワクチンがあり、日本国内で定期接種の対象として承認されているワクチンは2価と4価です。

国内で承認されているHPVワクチンは2価と4価の2種類があります。2価ワクチンは子宮頸がんの主な原因となるHPV-16型と18型に対するワクチンです。一方4価ワクチンは16型・18型と、良性の尖形コンジローマの原因となる6型・11型の4つの型に対するワクチンです。

承認にあたっては、当然ながら安全性と有効性は確認されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000679682.pdf

HPVワクチンは、子宮けいがんをおこしやすいタイプであるHPV16型と18型の感染を防ぐことができます。そのことにより、子宮けいがんの原因の50~70%を防ぎます※1。
※1 ワクチンで防げるHPV16型と18型が、子宮けいがんの原因の50~70%を占めます。

HPVワクチン(サーバリックス®)の接種により、自然に感染したときの数倍の量の抗体を少なくとも9.4年維持できることがこれまでの研究でわかっています※2。
※2 ワクチンの誕生(2006年)以降、期待される効果について研究が続けられています。

海外や日本で行われた疫学調査(集団を対象として病気の発生などを調べる調査)では 、HPVワクチンを導入することにより、
子宮けいがんの前がん病変を予防する効果が示されています。また、接種が進んでいる一部の国では、まだ研究の段階ですが、子宮けいがんを予防する効果を示すデータも出てきています。

接種が原因と証明されていなくても、接種後に起こった健康状態の異常について報告された場合は、審議会(ワクチンに関する専門家の会議)※において一定期間ごとに、報告された症状をもとに、ワクチンの安全性を継続して確認しています。
※厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会等

【なぜ「女性のみ」だと思われがちなのか?】

視点を変えて、なぜ「子宮頸がんワクチンは女性のみが当事者である」と誤解されがちなのかを考察していきます。

「子宮頸がんワクチン」という名称そのもの

当然、子宮は女性特有の臓器であるため、子宮頸がんは男性には関係ないと考えるでしょう。

HPVと子宮頸がんの関連性が強く、他のHPV関連がんやHPV感染症が相対的に注目されにくい

https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html

子宮頸がんは、日本全国で1年間に約11,000人が診断されます。

https://ganjoho.jp/public/cancer/mesopharynx/index.html

中咽頭がんは、日本全国で1年間に約1,800人が診断されます。中咽頭がんと診断される人は男性に多く、女性の5倍近くにのぼります1)。

https://ganjoho.jp/public/cancer/vagina/index.html

腟がんは、新たに診断される人が、日本全国で1年間に約350人と少ないがんです。

https://ganjoho.jp/public/cancer/vulva/index.html

外陰がんと新たに診断される人数は、1年間に腟がんと合わせて100万人あたり約5~10人です。

なお、陰茎がんの統計は見つけることができませんでしたが、希少ながんであるとされています。肛門がんについては、おそらく大腸がんの一部でカウントされているためか、個別の数字を見つけることができませんでした。

以上のように、診断ベースの数として子宮頸がんが年間1万人オーダーなのに対して、その他のHPV関連がんは年間100人~1000人オーダーかそれ以下のようです。

(2021年5月現在)「子宮頸がんワクチン」の定期接種の対象が女性のみ

予防接種法などの法令により定められていて、公費負担でワクチン接種ができる定期接種の制度がありますが、「ヒトパピローマウイルス感染症」(=子宮頸がんワクチン)については、12歳~16歳相当の女子に限られているため、これも一つの要因であると考えています。

【専門家の意見と有言実行】

Q.

HPVワクチン
男もオススメって聞きました
子宮ないのになぜ効果あるんですか?

A.

HPVは子宮頸癌だけではなく、陰茎癌、肛門癌、中咽頭癌、外陰癌、膣癌なども引き起こし、男性でも癌をおこします👶なので意味があります。また集団免疫効果や相手にうつさないために感染しないことも大事ですね。

#HPVワクチン 9価の3回目を打ちました👶これで完了。2価も打っていましたが追加でね。日本でもはやく男女ともに打てるようにならないといけませんね。

<参考リンク>

https://minpapi.jp/human-papillomavirus-vaccine/

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