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蘖 hikobae

今日は2021年2月3日、立春。
脳出血発症219日目のオット『マッキー』の様子と現在の私の気持ちを記します。
同じ病気を抱える脳出血当事者、または家族の方が読んでくれるかもしれないので、包み隠さず正直に書きたいと思います。

最初に今回の結論を言っておきます。
明るい話ですよ〜〜♪

マッキーデータ

56歳/自営業/カメラマン/グラフィックデザイナー
2020年6月30日午後10時頃、左被殻出血発症。
発症後直ぐに救急搬送され処置を受ける。出血量としてはさほど多くなかった。
「病状としては軽症、麻痺は重症」←コレ医師の言葉通り
実は脳出血は2回目。1回目は47歳の時で反対側の右被殻出血。今回とほぼ同じくらいの出血量ながら、麻痺は残らず5日で退院した経緯がある。

◎急性期病院(17日間入院)
右手全廃。右足膝上わずかに感覚があり、少しだけ膝が曲げられる。失語症、構音障害あり。
◎回復期病院退院(7月17〜12月28日165日間入院)2動作歩行が可能になった。しかし歩行スピードは10m25秒(横断歩道を青信号でギリギリ渡れるくらい) 右腕は顔のあたりまで上げられるようになった。指は握ることはできるが、広げるのは困難。失語症はほぼ回復したが、話を始める時の一言目が出にくい。構音障害、感情失禁、軽い記憶障害がある。
◎自立支援センター入所(1月18日〜現在)
回復期病院とは少し違うアプローチで、理学療法( PT)作業療法(OT)言語療法(ST)心理、体育などを月〜金で受け、週末は帰宅する。

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回復期病院退院から支援センター入所までの3週間

年末に回復期病院を退院し、1/18の入所までの約3週間を自宅で過ごしました。
今でこそ言えますが、、、とても大変でした。とても。
のんびり二人で過ごす様子をSNSやブログに載せたいなぁ。。。なんて考えてましたが、甘かったです。まったく!!出来ませんでした。

まずマッキーの体調が安定しなかった。我が家はマンションですが、病院に比べると寒暖差があるので〝寒暖差アレルギー〟のような症状が出てしまったのです。体力筋力が相当落ちていたのだと思います。そしてやはり脳に損傷を受けているからでしょう、環境の変化(慣れてしまった病院との差)に戸惑っているようでした。しきりに「まだ慣れない、まだ慣れない、」と言い、すごく疲れてしまうようでした。

ご飯も食べにくい物が多く、私も準備はしていたものの、あれもダメ、これもダメが続き、オットとの食事を楽しみにしていた私は心が折れそうでした。たくさん話がしたいのに構音障害のために会話が続かない。マッキーは必要以上には喋りたがらず、何を聴いても「うん」‥肯定「ううん」‥否定 で会話終了。そして、こうなるとマッキーの表情はみるみる暗くなっていくので(黒ずんでいくというか、、)処方された安定剤を飲む。という日が続きました。

あとでわかったのですが、マッキーは喋りたかったのです。説明したかったのです。でも言葉が出ない、頭の中では文章はできているのに口からは出せない。マッキーも心が折れかけていたんです。

マッキーの号泣

帰宅から2週間が経った頃、あるきっかけでマッキーが号泣しました。猫をケージに入れようとしてチャレンジしたものの、全くできなかったのです。(我が家の猫2匹は夜ケージの中のベッドで寝ます)代わりに私が入れて、さあ私たちも寝ましょうとベッドに入ったところで、マッキーが激しく泣き始めてしまったのです。

「できない、何もできない、」と叫び、嗚咽しながらマッキーはこう言いました。
「自分の体と思えない!!」

当事者にしかわからない辛さをひしひしと感じ、マッキーのそんな姿を見ると、私も胸が張り裂けそうになりました。一緒に泣いてあげるのも家族の対応だったかもしれませんが、湧いてきた私の気持ちは違ったのです。

ツマの鬼発動

「今まだ出来ないことを嘆く暇があったら、自分の体を知り、リハビリについて勉強し、実行することに時間と力を注げ!!!」と懇々と説得しました。入院中からのマッキーのリハビリに対する姿勢に不満を持っていた気持ちが溢れてしまい、かなりキツめに言ってしまいました。。。。ハタ!!と思ってマッキーを見ると、何とマッキーは硬直し、目は瞬き無く見開き、左手がブルブル痙攣状態になっていたのです。慌てて「にいさん(マッキーのこと)!にいさん!にいさん!」と呼びかけ、強制的に体を起こすと正気に戻ったのか瞬きをし、硬直が緩みました。。。

ツマ「大丈夫?病院行く??」
マッキー「うん、ううん、」

ショックでした。。大量の情報は脳が処理できず、体が対応できないのです。
私も言い過ぎましたが、これがマッキーの今の体なのだと理解できました。

マッキーの号泣、硬直、ツマの鬼発動、何だか辛いお話になってしまいそうですが、この夜がきっかけとなり、私たちは良い方向に進むことができそうなのです。

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マッキーは次の日から、ストレッチを自主的に始め、リハビリの本を読み学び出しました。昨晩硬直しながらもツマの気持ちは受け止めてくれていたのです。ツマはそんな姿を見て、とても嬉しい気持ちになったのです。
それ以降、マッキーは安定剤を飲むことは無くなり、支援センターへは笑顔で入所していきました。ツマは毎日良い気分で過ごすことができています。

あの夜のお互いの爆発が、どん底の地面の到着だったのかなと思います。
私たちは手を繋ぎ、マッキーは左足で、私は右足でその地面を蹴ることができたようです。一人ずつではなく二人で蹴ったからこそ浮き上がって行けそうな気がしています。まだまだいろいろあるのは覚悟の上です。

蘖 ひこばえ

『蘖』とは切り株から生えてくる勢いのある新芽のこと。
マッキーの幼馴染みである小林氏『斧を振り下ろす』の記事を読んで、私の切ったマッキーの切り株からきっと生えてくるよ!!と励まし教えてくれていました。

まだか、まだか、と待っていた時はなかなか生えてこなかった蘖ですが、
ここに来てやっと芽を出してきたようです。
まだ小さな芽ですが、勢い良く伸びていくと思います。成長を見守っていただきたいと思っています。

今日は立春。新たな年の始まりですね。
良い風が吹きますように!(ナウシカか!^^)
この記事を読んでくださった皆様にも良い風が吹きますように!!



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