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赤い縄で縛られた恋

私ほど運がよくて、運の悪い女はいないだろう。

かつて私と付き合った男は、みんな出世した。

最初は「うだつの上がらないサラリーマン」だったのが、急にモテるようになり、やがて他の女と結婚する。

そして、私の恋は終わりを迎えるのだ。

彼らが、今、どこで、どうしているのかは
知らない。興味もない。

ただ、私を振って結婚したのだから、幸せにやっていてほしいとは思う。

最後の恋が終わって、もう男は要らないと思うようになってから10年…。

思いもしない所で、新たな恋を拾った。

彼とは、生い立ちも生活環境も全く異なるのに、何故か似ている部分が沢山あった。

外見の話ではなく、もっと奥の部分
感性や価値観、美意識…そういったものが
ピタリと一致した。

不思議な縁もあるものだと感じた。

初めて彼と会ったその夜、
私は赤縄で縛られた。

もともと緊縛に興味はあったのだが、実際に体験するのは初めてのことだった。

内心、とても緊張していたが
何故か態度は落ち着いていた。

私の身体に一回二回…と巻き付けられていく赤縄。

私の身体に結界が張り巡らされていく感覚を覚えた。
と同時に、何か憑き物が落ちたような気がした。

私は悟った。
過去の恋が今、やっと終わりを告げたのだと。
自分では完全に忘れたつもりでいたのに、
本当は全然、吹っ切れていなかったのだと。


初めての緊縛体験を終えて、私達は抱き合いキスをした。
文字通り、ただお互いの身体を寄せあっていただけで、セックスはしていない。

大の大人が一晩中、
ただ身を寄せあい、キスだけしていたのだ。
それが、この上なく官能的で背徳的で
エロティックだった。
その日から私達は付き合うことになった。

最近、彼の運が上向いてきて
彼自身もそれを実感しているようだ。

私は不安に駆られている。
また、過去の恋愛と同じことになるのではないかと…。今のところは、漠然とした焦燥感のみだが…。

私の勘は、よく当たるのだ。
とくに悪い予感ほど…。

もし、この恋を失ったら私は生きてはいけない。

あの夜、私は赤縄によって
身も心も絡め取られてしまったのだ。

なんて運命なのだろう…。

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美しいものが好き。 官能的な美や刹那的な美に心が惹かれます。 感性が独特でリア友は少ないです。 現実と虚構のはざまを反映した作品を投稿しています。
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