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声をかけてみたいけど、まだ勇気ないわ

家をでてすぐの大通りを右に曲がって2つほど先の角に彼はいる。夕ご飯の後に散歩に行くとそこですれ違うのだ。昼間はいない。

私が散歩に行く時間、大概彼は歩道の掃除をしている。ほうきで履いて、小さな塵取りを使ってごみをビニール袋に入れて、そばのバス停にあるごみ箱に捨てる。おかげでそのあたりだけ歩道がやたらきれいなのだ。大通りに面して、タイヤのお店とパーティーレンタルのお店がある。彼が掃除を始めるのはだいたいタイヤの店が閉まる間近頃から。パーティーレンタルのお店はいつ開いてるのかよくわからん。お客さんがお店の中にいるの見たことないし、たぶん注文(?)はオンラインが多いのではないかしら、と勝手に想像している。お店自体は貸すもののディスプレイをするため、という感じで、結婚式やアウトドアパーティーをするときに使うテーブル、いす、新郎新婦が指輪の交換をするときに見かけるアーチやら、巨大レモネードのディスペンサーやらポップコーンマシーンなんかが並んでいる。

多分、彼はそのパーティーレンタルのお店の軒先に寝泊まりしていると思う。けれど昼間はお店やお客さんの迷惑にならないように、荷物をきっちり整えて、どこかへ行ってるようなのだ。そして泊めてもらう条件として、お店の前の通りを掃除しているのだろうか、とこれも勝手に想像している。

どこかで働いているのだろうか?

彼がせっせと掃除をしている間、しかも律義にマスクまでして、もう一人バス停に座っている人がいる。彼は掃除を手伝うわけでもなく、ただ煙草を吸ってるだけだ。なんだけど、ちょっと遅い目(8時半とか)にパーティーレンタルの前を通ると、二人して寝床を作ってくつろいでいる。だったらこの掃除をしている彼は自主的にやっているんだろうか?

今日も通りかかったら掃除をしていた。話しかけてみようかな、と思いつつ、向こうは話しかけられたくないオーラをだしているので、ってそう見えるだけなのかもしれんが、声をかけずに通り過ぎる。

いつか声をかけてみようか。とりあえずは、昼間どこに行くの?って聞いてみたい。


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