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ドライブ・マイ・カーを観て苦しんだ話

映画「ドライブ・マイ・カー」を見た。アカデミー賞の他にも海外で絶賛されているすごい評判の映画だ…


第87回ニューヨーク映画批評家協会賞では、日本映画として初めて作品賞を受賞したほか、ロサンゼルス映画批評家協会賞全米映画批評家協会賞でも作品賞を受賞。第79回ゴールデングローブ賞では非英語映画賞(旧外国語映画賞)を受賞、日本作品としては『』(1959年、市川崑監督)以来62年ぶりの受賞となった。第94回アカデミー賞では、2009年の『おくりびと』以来となる国際長編映画賞を受賞した。Rotten Tomatoesでは、98%が本作を支持。平均評価は8.7/10。

なので「見なくちゃなあ」という

義務感

のみで鑑賞した…そもそも僕は80年代以降の邦画(アニメ映画とシン・ゴジラとか除く)がめっちゃ苦手で、人生でできる限り見ないで生きていきたい。しかもドライブ・マイ・カーは3時間もあるんだよ。これは一人では受け止めきれない…と思って、お二人をお誘いして3人でAmazonのウォッチパーティで見ることにした。

この映画、村上春樹の同名小説である「ドライブ・マイ・カー」より主要な登場人物の名前と基本設定を踏襲+村上春樹の小説「シェエラザード」「木野」にアントン・チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』の台詞とか濱口竜介監督のワークショップとかが織り交ぜられた内容なのであんまり

村上春樹節は感じない

のだ。僕はそもそも村上春樹作品は大好きで、一番好きなのは短編集で『神の子どもたちはみな踊る』で、『レキシントンの幽霊』も好きだし、紀行文の『遠い太鼓』はめちゃくちゃ良くて、長編も『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』とかはすごく好きなんだ。海辺のカフカのナカタさんはいいぞ。善性の塊みたいな人間だ。

で、短編集がいいのは、村上作品で問題とされる「女の存在意義が母か性欲の対象か物語を進めるファンクションでしかない」という欠点があんまりないことで、『1Q84』だとそこが改善されててすごく良かった。

みんなが初めて手に取ってしまう『ノルウェイの森』とか『スプートニクの恋人』とかは絶対におすすめしない。「なんじゃこのクソ小説はーーーーー」となって焚書したくなるからやめた方がいい。『神の子どもたちはみな踊る』は本当にいいぞ。みんな読んでくれ。

ということで『ドライブ・マイ・カー』の原作なんだけど、読んだ感想はまず「この人‥才能枯れちゃったのかしら‥」ということだった。めちゃくちゃなからっぽだった。プロットもレトリックも空虚で自動書記かなんかじゃないかと思った。村上春樹の出がらしだった。静岡県民に出がらしを出すとキレられるらしいがこれを読ませたら切れると思う。

まあそんな背景があり、さらに不安だった映画『ドライブ・マイ・カー』なんですが、

もう開始一分ですでに辛いんだよな〜〜〜〜〜〜〜〜

この人めちゃくちゃに怖かった

■ドライブ・マイ・カーで見られるもの

1.日本の演劇調の棒読み(演劇の台本なんだそうです)
2.これいらねえだろうという直接的な濡れ場の描写
3.台詞のせいだけではない俳優の棒読み

これが続くんだよおおおおお3時間んんんん


しかも前半、村上春樹原作と全然関係ない

無駄な濡れ場

ばっかりで目が潰れそうになった。邦画は乳首を出さないと死ぬのか?「乳首を右回りに回して」くらい気の利いたこと言えよ!!!

映画の前半は、村上春樹映画とはほとんど関係ない。関係ねーじゃねーかよおおおお。原作では主人公が今までの経緯をとつとつと車という密室の中で話すという構成が良かったのだが、それが全部「絵になって」動いているので情緒もへったくれもなんもないんである。

そんでやっとこさ後半、村上春樹原作になってくるのだが、オープンカーがセダン?に変更という謎改変がされており、原作でオープンカーの設定がすごくよくて、この運転手の女の子が喫煙者で、幌を開けてるときだけタバコを吸うのとか良かったんだよな。でもセダンなので映画ではそういうのはなかった。

で、映画では抑揚を欠いた声で台詞を読み上げることで抑えた感情を示していたり各国からオーディションで選ばれた俳優がそれぞれの役を自国語で演じるなどのかたちで「ディスコミュニケーション」や「自分の大きな感情を抑えること」などが描かれるのだが、その過程に至る

・つらすぎる棒読み
・人間の時間が無限にあると思っているかのようなのんびりとした演出

とかでめちゃくちゃにつらい3時間だったな…アベンジャーズもザ・バットマンも体感5分くらいだったのに…青山真治のユリイカ(4時間)もこんな長くなかったぞまじで本当に辛い長い長い長すぎる。ドライバーの女の子の扱いもなんかこう、都合の良い感じに描かれてたし、最後も結局女に手取り足取り助けられてなんかこうモヤモヤすんなーーーーーーーってずっとモヤモヤしながら「早く終わってくれ」「誰か助けてくれ」と叫んでいた。

まあノルウェーの森の映画もすごかったな…卒業制作だった…

その点、「抑えていた辛い感情が最後に噴出する」のだと、アルフォンソ・キュアロン監督・脚本・共同製作・共同編集の『ROMA/ローマ』の方が五千億超倍すんばらしかったのにオスカー取れなかったんだよな!!!これはおかしい!!こっちに取らせてくれ!!Netflixにあって本当に静謐で感動的で素晴らしいからみんな見てね。

ちなみに、3人で見始めたドライブ・マイ・カーですが、お一人は仕事の電話で中盤くらいで退出、もうお一方は「ちょっと離れます」でしばらく戻ってこず、「一人で見るのがつらすぎる」となってちょこちょこ早送りしてたらログが残ってて二人にバレて責められました。でもこれ2倍くらいで観ていい映画だと思うよ…


ということですが

好きな人はものすごく刺さるけど私のように辛くて瀕死になる人もいましたというお話でした。もう聞きたくない…タイトルすらも…本当につらかった…もういやだ…80年代以降のアニメと庵野・樋口真嗣以外の邦画はもう観ない絶対観ない

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