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クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

タランティーノのワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドを見たよ。

まあ最初に爆音音楽&爆裂ドライブの時点でテンションマックス、その後はハリウッドのマジックが詰め込まれた至福の映画体験でタランティーノ様本当にありがとうございました、、

舞台は1969年のハリウッド。主人公は、テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、リックを支える付き人でスタントマンのクリス・ブース(ブラッド・ピット)。

この二人が、

「兄弟以上妻未満」の熱い友情

で結ばれてて、そりゃもう泣けたね。リック・ダルトンはテレビの西部劇で人気になったが、”映画にキャリアを移そうとして”失敗。いまではヒット作もなく、ベタベタな悪役やパイロット版などに出演してなんとか豪邸での生活を維持しながら食いつないでいる。

なので、リック付きのスタントマン、クリス・ブースにも仕事がない。だからクリスはリックのアシスタントとして、飲酒運転のしすぎで車が運転できなくなったリックの代わりにドライバーをしたり、テレビのアンテナを直すなどしてリックから雇われている。

リック・ダルトンはもうすっかり

自身を無くしている。

「俺はもう駄目だ」って毎日弱音を吐いている。そんなリックを励ますのもクリスの仕事だ。パイロット版の撮影にビビるリックに、「お前はリック・ダルトン様だ。それを忘れるな」と励ます。

それでも撮影の前日、プレッシャーから死ぬほどマルガリータを飲みまくって二日酔いで死にそうな体調のクリス。セリフを飛ばしてしまい、醜態をさらす。。な、情けない、、

そんなクリスのもとに、ヨーロッパのプロデューサーがやってくる。「君にぜひ会いたい」というプロデューサーは、リックに話す。

「いいか、君のキャリアについて話そう。今や君のキャリアは、君より若い、これから売り出すスターに撃たれる悪者の役だけだ。そういう若者がたくさん出てくる。君にできるのは撃たれ続けることだけだ。それでいいのか?イタリアに来れば、君が主役の映画を作れるぞ?」

プロデューサーの言うことは真実だ。だからこそリックは深く傷つく。彼が思い描いていた「ハリウッドで映画スターになる」夢はもう叶うことはない。残された選択肢は、ハリウッドにしがみついて落ち目になるか、イタリアに行ってクソみたいなマカロニ・ウェスタンのヒーローになるか..

この

中年のキャリアの悩み

がもう刺さりましたね。刺さって刺さって刺さりまくった。

リックが、監督の要望に答えて「ベッタベタの悪役」の演技をするんだよね、、それがもう泣けて、、

「かつては無限の可能性があったはずの自分。もう選択肢がなくなったように思える」
「自分がもう”用済みの役立たず”のような気分になる」

これはつらいですよ。それで、キラキラ輝く若手がバンバンデビューしてくる。もうたまったもんじゃない。

この映画にも出てくるんですよ、アンファン・テリブル(恐るべきこども)が..彼女の名前はジュリア・バターズ。なんと10歳の新星。まるで二十歳みたいな落ち着きと存在感。ディカプリオが完全に気圧されています。

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などなどまあこの映画、美の化身みたいな美女とイケメンがわんさか出てくるんですが、ヒッピーの女の子が天使みたいにかわいかった。まあカルト教団の一員なんですけど、、フリーセックスで、脇毛を剃ってなくて、未成年。このヒッピー村も怖かったですね〜

で、この映画の核になっているのは「シャロン・テート事件」。そう聞いて思い出すのは、「『ローズマリーの赤ちゃん』で世界を席巻していた天才監督ロマン・ポランスキーの妻・シャロン・テート(何してた人かは知らん)がカルト教団チャールズ・マンソンファミリーに惨殺された」というざっくりした情報のみ。シャロン・テートがどんな人だったのかも知らないし、興味もないし、この映画がなければ永遠に彼女のことを知ることはなかったでしょう。

シャロンはこの映画では、天国から降りてきた美の化身といった感じで、天真爛漫で、映画館に入って自分の出演したシーンでお客さんが笑っているのを見てガッツポーズするような、本当にキュートな女の子。タランティーノがシャロンについて調べたときも「彼女は天使のようだった」という意見しか出てこなかったそうで、本当に輝くような女の子だったらしい。でも今では彼女の女優としてのキャリアも人格もすべて忘れられ、「カルト教団に殺されたかわいそうな人」になっている。そんなシャロンに人格を与えたタランティーノにありがとうと言いたい。

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そんなシャロン・テートを、タランティーノは文字通り「墓から救い出した」んですね。もし、今シャロン・テートのドキュメンタリーが作られても絶対見ないでしょう。興味ないから。そんな風に、忘れ去られていくシャロンをタランティーノはこの映画で、映画のマジックで助け出したわけです。

デス・プルーフで、殺人鬼に殺されるためだけにキャスティングされる女の子を救ったように。

ジャンゴで、奴隷だった黒人たちを救ったように。

イングロリアス・バスターズで、ヒトラーを殺したように。

これは、映画にしか出来ないマジック。本当に涙が止まらなかった。

で、これはタラちゃんの「ROMA」だそうですが、自分の国に才能ある監督がいるとこういうのが観れるというのが羨ましい。

昭和とか平成ノスタルジーが詰まった面白映画見たいけど日本でやれる監督いるのか?映画予告編でスターウォーズとかターミネーターに混ざってクソ日本映画の予告やってて恥ずかしかった。これがあのジャック・ニコルソン&モーガン・フリーマンのハートフル・ストーリー『最高の人生の見つけ方』を天海祐希でやりましたというどういう神経してたらそんなクソ企画思いつくんだというクソ映画でほんとにもう死にそうだった。もう企画思いつかないんなら映画作るのなんかやめれば?演技も棒読みで、日本が誇る大女優がこれですか、、?あああ恥ずかしい。

まあ日本にはどうせキュアロンもタランティーノもダニーボイルもケンローチもポン・ジュノもいねえしよおハハハ

と、褒めるところしかないワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドはかなり見る人を選ぶ。三時間あるし。後ろのカップル
女「何が何だか全然わかんなかった。ブラピの顔だけが良かった」
男「そ、そうかな〜?😅結構面白かったけどな〜?😅」
となっていた。彼氏よ、見たい映画があるのはわかるが他人を巻き込むな

あとこの映画で知ったのは「ハッシュ」はクーラシェイカーの曲ではないということでしたw

ずっとオリジナルだと思ってたwwwそのまま死ぬとこだったww

ということでワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド、めちゃくちゃオススメです!


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