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アルセーヌ・ルパン『赤い数珠』-全員に動機とアリバイがある場合、犯人は誰?ある城館で起こった密室殺人の謎-

(Spoiler Alert!ネタバレ注意!)

みなさん、こんにちは!

今日は、準アルセーヌ・ルパンシリーズのうちの1作品である『赤い数珠』をご紹介したいと思います。

本作品は、アルセーヌ・ルパンは登場しませんが、ルパンと同じ作者のルブランが手掛けた、本格ミステリの物語です。
 
密室殺人が物語のキーとなるので、「冒険」よりも「推理」や「謎解き」に主眼が置かれています。
 
そのため、主に情景の描写や人々の会話から犯人を推理していくことになります。

私は個人的に、アガサ・クリスティーの作品と似ている気がしました。

物語の登場人物や作風などが、クリスティーのそれに似ているのです。

今迄、ルブランの”冒険ミステリ”、あるいはルパンの”痛快ミステリ”に慣れ親しんでいた人は、あれ⁉と思うかもしれません。

それでは早速みていきたいと思いますが、アルセーヌ・ルパンやフランスの旅、謎解きや推理・探偵小説がお好きな方は、拙著とYoutubeもあわせてご覧いただけると嬉しいです。

https://www.amazon.co.jp/dp/B08WHNCLH3

 https://www.youtube.com/channel/UCJLOYQcaT1uWCdOOZKjplig

ある日、ドルサック伯爵の城館でパーティーが催され、占いで盗難事件と殺人事件が予告される。
 
そして、その占いの通り、本当に数十万フランの株券が盗まれ、伯爵夫人が殺される。

殺された伯爵夫人の傍には、血に染まった数珠があり、夜のお祈りの時に犯行が行われたようだった。

このドルサック伯爵は、妻がいながら、クリスチアーヌという人妻に恋していることが冒頭から伺える。
 
しかも、思いを寄せているクリスチアーヌに対して、かなりしつこい!
 
クリスチーヌも結婚しているし、伯爵に興味ないので、「あんたに興味ない」って、はっきり言ってるのに、この伯爵は彼女も自分のことが好きだと思いこんでいる・・・。
 
伯爵の傲慢さとしつこさに、読んでいて腹が立ってきて、私がクリスチアーヌよりうんざりしてしまった・・・。

現代だったら、ストーカーで逮捕されているでしょう。

その後、株券を盗んだ犯人は、クリスティアーヌの夫ではないかと、伯爵が予審判事の前で言う。

しかし、クリスティアーヌの夫(ベルナール)は、伯爵が自分の妻に思いを寄せているのに気づいており、以前から伯爵はベルナールを仕事で陥れようと画策していたのだった。

株券を盗んだのは誰なのか?

そして、伯爵夫人を殺した人物は株券を盗んだ人物と同一人物なのか?

館内の部屋の位置関係や情景、そして登場人物の会話を注意深く読んでいれば、犯人はわかるのではないかと思います。

因みに、犯人は私が最初から思っていた通りの人でした。

謎を解くポイントは、冒頭から描かれている登場人物の愛憎関係だと思います。
 
 ルブラン後期の作品で、1934年に発表されたようですが、私はルブラン執筆初期から円熟期にかけてのの「冒険ミステリ」のほうが、やっぱり好きかな・・・。
 

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