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忙しくない意味。#01 【長めにつぶやく雑記帖】

いま忙しい人もいるけれども、
予期せず時間ができた人も
きっといて。

私は良くも悪くも後者なもので、
いいのかなあ、と思いながら過ごしてる。

時間がある。
考えることに費やす時間まで。
正直、ずっとほしかった。
それはものすごくハッキリした確信なのだけれど、
口に出してみると、なかなか後ろめたい。

もちろん、この先の補償はまったくない自営業者の身なもので
いつ何時どうなるかはわからないし
緊急事態宣言が出てからは、めっきり依頼も減っている。
ありがたいことに、そんななかでもお仕事をくださる方の
気持ちに応えられるよう、誠心誠意やる。
そのうえで、ちゃんと考えたり、本を読んだりもできるいま。

体調が悪い人のこと、亡くなった人のこと、失業した人のこと、
最前線で治療に当たってる人のこと。
考えない日はないな、ってことにも気づかされる。

それを「後ろめたさ」に変換してる自分って
どれだけエゴイスト? と情けなくもあるけど、
せめてこの「考える時間」としっかり向き合って
頭の中の古いものをいっぱい捨ててやる、とけっこうマジメに思ってる。

私にとって、忙しいのはラクだった。

がんばってる感味わえるし、世の中に必要とされてる感じもするし、
やったぶんだけおカネも入ってくる。

でも横須賀に来て、生活を少しだけスローダウンしてみて
「がんばる」という一種の思考停止に陥ってたことにも気づかされた。
※前にORDINARYの連載で、そのことにちょっと触れてみた。

世の中ごと、これまでの働き方の仕組みが変わるかもしれない、いま。

ゆるやかに戻っていく未来はあるのかもしれないけれど、
来月「はい、これまでどおりですね」とはならない、きっと。

これまで身につけてきた「仕事を円滑に進める」ための
テクニックや経験みたいなことはきっと、
これからも仕事を続けるうえでまだまだ必要になるし、
引き続き力になってくれると思う。

でもそれはあくまで、枝葉のハナシ。

「いま」見つめなきゃ、というのは、もっと幹とか根っこのところ。
「さて、これからどんな価値観で生きてく? 自分」みたいな。

新しいうねりのなかでも「責任持って人生楽しんでやる」とは
決めているのだけれど、それってある意味
働き方、ペース配分、スケジューリング、オン・オフの考え方
ぜんぶを刷新することになる可能性アリ事象。

多少の指針は持ってたはずなのに
こういう出来事が起こってみると
ちょっと足もとグラついてる感じもした。
根が張り切れてないんだな、きっと。

子どものときは、揺らがない生き方を持った
大人になりたかったのに、これですよ。

「忙しい」を言い訳に、目先のあれやこれやに流されて
布団から出たくない朝みたいになってたら
まさかのウイルス大流行にワッシと捕まれ、
「目を覚ませ!」とガシガシ揺さぶられてる、そんな気分。

今後の世の中の動向はもちろん注視しながら
前向きに大人の対処を考えていくつもりなんですけど、
波だけ見てても航海にはならない。
天気が荒れようと、目的地は見失わないよう
ここでしっかりルートを見直そう。

もっと強い根を張りたい。
そんな時間がいま。武者震い。

ゆらゆらと、でも熱を持って考えてる折、
ふとFacebookを見てたら、もう10年以上通っている書店
ブッククラブ回』の投稿に
夢枕獏の『羊の宇宙』の一節が出てきた。

「どうして、速いっていうことは、意味がないの」

「違うよ、意味がないんじゃなくて、それほど意味があることじゃないって言ったんだよ」

「だから、それはどうしてなのかな。例えば、車なら、街まで早く行けるじゃないか。刈り取った羊の毛を、街まで運ぶのに、倍以上も早く行けるだろう?そうしたら、その余った時間を他のことに使えるじゃないか」

「わかってないんだな、お爺さん」

「何がわかってないのかな」

「たとえば、これまで、街まで、馬で行って、帰ってくるのに、一日かかってるんだ。それを、車で半分のスピードでやれるようになったら、どうだと思う?」

「一日に一度、街まで出るとして、半日時間が余るんじゃないのかい」

「違うよ。その人は、一日に、二度、羊の毛を車に積んで、街まで出かけてしまうことになるのさ。余った時間に、働いてしまうんだよ。速くなるということは、時間が余ることじゃなくて、もっと忙しくなるということなんだ。」 - 夢枕獏 - 『羊の宇宙』


速くなりたくてもなれないいまだから、意味について考えよう。ちゃんと。

そして、考えるだけで満足して終わり、にならないよう
書き残しておこう。


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フリーランスで執筆をしています。北海道出身。2018年秋、思い立って東京を離れて横須賀を拠点にしました。雑誌・書籍・ウェブ・広告分野のお仕事を中心に活動。家族は夫と雑種犬。https://www.take-root.jp/
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