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チームのアウトカムを出すために、同僚の成長支援に自ら取り組んだ話

Gaudiy HR/PRチームの加藤 燦(あきら)です。
2024年3月にGaudiyに入社してからあっという間に半年が経ちました。

前職からずっと採用をメインに担当していますが、スタートアップで働くのは今回が初めてです。ビジョンの実現に向けて、熱量の高い仲間とともに、全力で走り続ける。そんな「コトに向き合える環境」で、目の前の仕事に没頭し、心を燃やし続けられています。(入社エントリ参照🔥)

この半年は、採用の成果を出すことに加えて、個人的な裏目標を一つ掲げていました。
それは「チームメンバーの成長を支援すること」です。

はじめにお伝えしておくと、私は現在、チームマネージャーの立場ではありません。また、マネージャーに「メンバー育成よろしく!」と頼まれたわけでもないです。ただ、コトに向き合う環境の傍らで、自身の成長について思い悩む仲間がいることに気づき、自らメンターを買って出ました笑

その同僚に対する「伴走型の成長支援」が、自分自身にとっても学びが大きかったので、このnoteに一連のプロセスをまとめてみたいと思います。
以下のような方々に参考になるかと思いますので、よければご覧ください!

  • メンバーの育成に悩んでいるプレイングマネージャーの方

  • 未経験から業務をキャッチアップする同僚が近くにいる方

  • メンターになったけど成長支援の仕方がわからない方


スタートアップで「個の成長支援」は難しい

本題に入る前に、そもそもスタートアップで「個の成長支援」をすることの難しさについて、簡単に触れたいと思います。

私は、Gaudiyが3社目になります。50人規模の会社で開発ディレクターとしてキャリアをスタートさせた後、人事に転身し、2社目の500名規模のベンチャーでは一貫して採用領域を経験してきました。その過程で、新しいメンバーのメンターになることも多くありました。

当時の苦い思い出として、自分自身が複数のプロジェクトを持ちながらプレイングにコミットしていると、結果的にメンバーのサポートに手が回らず、放置状態になったり、上手くコミュニケーションを取れなくなってしまったことがありました。。。

ベンチャーやスタートアップのような急成長企業では、事業や組織の変化に適応しながらスピーディーにアウトカムを出すために、各メンバーが自律的に動くことが求められます。そのため、どうしても「個の成長」や「成長支援」の優先度が下がりがちです。(というか、それどころじゃない。)

特に、多忙なマネージャーや役職者は、メンバーよりも多くのことに対処せねばならず、「経験から学んでもらう」「やらせてみて覚えてもらう」というスタイルに頼ることが多くなってしまいます。結果的に、成長が個人任せになっていることも多いです。

「現場で学ぶ」という考えは、スタートアップにおいては一見理にかなっているように思えますが、実際には、単に「やってみる」だけでは効果が上がらないこともあります。そして、メンバーが迷ったりつまずいた際に、適切なサポートやフィードバックがないと、そのまま学びが深まらず「できる仕事」をやるのみになってしまい、お互いが不幸な形になることも少なくありません。

Gaudiyで直面した課題

「わたし、これからどうしたらいいんだろう。」

これは私が入社してまもない頃、同じ採用チームの同僚であるNamiさんがポロッと口にした言葉です。
ちょうどその頃、GaudiyのHRチームも、まさに個の成長支援の壁に直面していました。

当時のHR(採用領域)の体制はこのような形でした。会社としての役割はあるものの、各自プレイヤーとして複数のポジションを担当しながら、採用業務にコミットしていました。
※ 一部業務のみ業務委託の方にサポートいただいていますが、外部の採用支援(RPO)を導入していません。

チームの思想としては、双方向のマネジメント(ピアマネジメント)の考えを元に、全員が互いに弱みを補完しながらも、個の強みを活かすことを目指しています。しかし、現実には、経験豊富なメンバーに業務が集中し、経験の浅いメンバーの業務範囲が狭くなる、という課題がありました。

経験の浅いメンバーの状況を少し補足すると、採用未経験でGaudiyに入社し、ちょうど1年が経つ頃でした。その間、前職の経験を活かして大型の採用プロジェクトの進行マネジメントを担ったり、他のHR担当者がリードする職種の採用をサポートしたりして、一定の「できる業務」は増えたものの、これ以上の成長が見えづらい状況に陥っていました。本人としても、「私が貢献できることは何があるのだろうか。。。」と悩んでいた時期でした。

そのタイミングで私が入社し、前述の本人の不安を耳にしたわけです。

伴走型の成長支援

そこに自分が加わってまず思ったのは、業務の全体感を学ぶ機会が不足しているということ。もちろん全員が忙しいのは理解しているし、チームのアウトカムを最大化するために個々の強みを活かす体制にしたいのもわかる。けれど、それを理由に成長支援を放置するのは違うのではないか?という危機感をもちました。

そこで「ただ業務を任せて成長を期待する」のではなく、「成長支援を通じてメンバーの能力を引き出す」ために、いくつかの具体的な取り組みを始めました。

具体的なアプローチ方法は後述しますが、今回取り入れたのは、従来のように「やらせて学ばせる」アプローチではなく、支援する側も同じ経験を積みながら支える『伴走型の成長支援』です。
そのポイントとしては、以下の3点があります。

  1. 具体的な経験を提供し、支援者も同じ経験を重ねること

  2. リアルタイムでのサポートを行うことで、経験を通じて学びを深めること

  3. どのような経験を積めば成長につながるのかを支援者が考え続けること

こうした考えを軸に実践した、具体的な5つの取り組みを、次からご紹介していきます!

具体的な取り組み:成長支援を実現するための実践プロセス

1. 成長の鍵は「経験」にあり:業務経験のリスト化

事業状況の変化も著しく、スピードが求められる環境下において、業務に必要なスキルを分解してメンバーに教えていくのは現実的ではありません。そこで、まずは業務を「経験」という単位で整理し、どの経験が成長に必要かをリスト化しました。

このような育成リストを作る場合、一般的には「経験」ではなく「習得スキル」を軸にすることが多いと思います。しかし今回、なぜスキル習得を軸にしなかったかというと、必要なスキル単位で業務を分解してしまうと、スキルの習得は、①連続的に成長していくため時間がかかる②身についたかどうかの判断が難しい、という2つの観点からスピード感が求められる環境においては、不向きであると考えました。

一方で、経験したかどうかを主軸に置くことで、機会をスピード感を持って提供しやすく、経験を積んだかどうかの判断も付きやすい。そのため、業務をしながら成長を支援するうえで「経験」を軸にリスト化をおこないました。

実際に業務経験のリストを作成する時は、現場で業務を担当する私自身が作成しました。理由としては、なるべく具体的で細かく業務を分解できたほうが、次のステップの「業務レベルの認識をすり合わせる」プロセスが円滑に進みます。そのため、リストをつくる支援者が業務理解が浅い場合は、チーム全体で意見を出し合ったり、具体的な業務を知っているメンバーを巻き込みながらリストを作成することが効果的です。

💡 ポイント
・スキルではなく、成長に必要な「経験」をリスト化すること
・各業務を具体的なステップに分解し、未経験のメンバーでも取り組みやすいように作成する

2. メンバーとの認識のすり合わせ

業務経験リストが完成したら、次はメンバーとの認識のすり合わせです。このステップでは、単なる「評価」をおこなうわけではなく、メンバーの自己認識理想状態のギャップを埋め、どのような経験を積むべきかを共に考えることを目的としています。

特に重視したのは、メンバーを評価するのではなく、あくまで本人の成長を支援するという前提です。そのため、「〇〇さんはこれができていないからやりましょう」という指示型のアプローチでは一切しませんでした。代わりに、「経験の有無」「一人で遂行できるのか?」「注力していきたい経験はなにか?」の項目を業務経験リスト内で自分自身を自分で埋めてもらいました。

そのうえで、「あなたが理想とする△△の状態に近づくためには、今どのような経験が必要だと思いますか?」「この中で一番経験を積んでいきたいことは何ですか?」という問いかけを重ねながら、自己認識を深めてもらいました。
あくまでこのコミュニケーション内においては、メンバーが自分の目指す理想を達成できるよう伴走する役割に徹しました。これにより、主体性を引き出しながら、成長への意欲を高めることを目指しました。

💡  ポイント
・業務経験リストを埋めるのは必ず本人がやること
・支援者は、評価者ではなく、本人の成長を支援する役割に徹するマインドを持つこと

3. 経験の優先順位と関係者との連携設計

次に重要だったのは、どの経験を優先して積むか、そして誰と関わりながら学んでいくのかの設計です。2で本人の自己認識を深めてもらったうえで、支援者とメンバーがどの経験を優先的に積むべきかについて意見をすり合わせます。これは、メンバーの意欲(will)と現状の経験のギャップを踏まえた上で、早い段階で積んでいける経験から着手するための計画を立てるプロセスです。そのため、時間軸(例:3ヶ月間)を決めつつ、注力していく経験の優先順位付けをおこないます。

その際、支援者側が考えるべき重要なポイントとしては、「できること」と「やりたいこと」のバランスを考慮することです。メンバーがすでにできることから手を付けるのではなく、理想像に近づくために必要な新しい経験に優先的に取り組むようにしました。しかし「やりたいこと」の業務の難易度が高い場合、躓いてしまう可能性もあるため、早い段階で成功を実感できる経験を選択することも重要です。

また、経験優先順位を決める別のポイントとしては、関係者の多さ・複雑性にも着目していました。関係者が多く、関係性が複雑な業務ほど、調整業務が発生し、経験の積み上げに時間がかかることもあるため、組織の内側にエネルギーを使う必要があったりと、本質的な経験と学びを得ることが難しくなってしまいます。
そのため、今回の採用領域を例に出すと、下記のように大きく3つのステップに分けながら経験業務の優先順位付けをおこないました。

  • STEP1:候補者に関わる業務(1人 対 メンバー)

  • STEP2:社内の採用関係者との業務(5人 対 メンバー)

  • STEP3:社外関係者との業務(20人 対 メンバー)

経験すべきことにいかに集中できるか?を軸にして、優先順位付けを支援することで、本質的な成長機会を提供することができます。

💡 ポイント
・「できること」と「やりたいこと」のバランスを考慮する
・成功しやすい経験から着手し、早期の成功体験を得るよう工夫する
・関係者の多さ・複雑性を踏まえた優先順位付けを意識すること


4. 一緒に同じ経験する伴走型の成長支援

「経験していくことがリスト化できた!では、いってらっしゃい!」では、意味がありません。ここからが本題です。先述のとおり、未経験者がただ経験を積むだけでは、その経験を正しく内省し、学びに変えることが難しいという課題があります。どんな教訓を得るべきかが見えないままでは、経験を重ねても成長にはつながりません。これが、私たちのチームが直面していた壁でした。
そこで、ただ任せるのではなく、「伴走型の成長支援」を導入しました。伴走とは、単に見守るのではなく、支援者もメンバーと一緒に同じ経験を積むことを意味します。

この考え方は、ハーバード大学教育大学院のカート・フィッシャーが提唱した「ダイナミックスキル理論」(※1)に基づいています。理論によると、他者の支援を受けることで、人は一人で行うよりも高いレベルの能力を発揮できるとされています。これを「最適レベル」と呼び、支援者と共に取り組むことが成長を加速させる鍵になります。

https://coaching-labo.co.jp/archives/5507 より引用

つまり、支援者がメンバーと成果を出していくための経験を共に積みながら、今まで体験できなかった大きな成功体験を作ることに注力していきました。
私自身も1ヶ月~2ヶ月間は、メンバーと一緒に棚卸しした業務を行っていました。Gaudiyはリモートワークが中心ではありますが、バーチャルオフィスのツールなどを使い、自分自身がまずは業務のやり方を見せながら、一緒の業務に取り組みながら手法や考え方を伝えていきました。

また、メンバーが新しい業務に挑戦する際は、リアルタイムでのフィードフォワード&フィードバックを心がけていました。人間は忘れっぽい生き物ですので、週に数回、1on1やMTGの中で通じて進捗確認を行いつつ、3日以内にフィードバックすることで、学びのサイクルを短くすることが重要です。
そして、成長を支援する上では、感情面のサポートも含めた1on1の実施(※2)が欠かせません。新しい経験を積み重ねていくと学びやプレッシャーで心身ともに疲弊していきます。週1回ぐらいの頻度で、業務相談ではなく、モヤモヤすることや悩みを拾い上げるようなコミュニケーションを取り入れました。

「伴走型の成長支援」では、支援者も同じ経験を積みながら成果を出さなければならないので、普通にプレッシャーでした。しかし、支援者も一人ではなく、二人三脚で行うからこそ、本来よりも高い能力レベルで業務に取り組むことができ、共に良い成果を出すことができました。

💡ポイント
・支援者も一緒に経験する「成長支援」をおこなうことで、成長がより促進する
・リアルタイムでサポートする仕組みや機会づくりが重要
・1on1で感情面も含めたサポートを行い、成長の過程でのプレッシャーも忘れずに


5. 自律を促すための「任せる」タイミング

十分な経験を積んだ後は、メンバーに業務を任せ、支援者は見守り役に回ります。この段階では、メンバーが主体的に行動できるよう、支援者は状況に応じたフィードバックを提供することが求められます。

  • 成功時:さらなる応用スキルや知識を伝える

  • 失敗時:一緒に振り返り、新しい学びのパターンを見つける

また、一定期間が過ぎ、当初の業務経験を積めてきた段階で振り返りをおこなうことをおすすめします。今回は、3ヶ月が経った段階で、業務経験リストをもとにした振り返りを行い、メンバーの成長を可視化してみました。すると、3ヶ月前の自分よりも「できるようになったこと」「できると思っていたけどまだできていないこと」が明確になり、自律的に次に取り組むべき課題が明確になります。何よりも、過去の自分よりもできることが増えているだけでも、モチベーションのアップにも繋がります。

💡ポイント
・定期的な振り返りを行うことで、前回からの差分を可視化できる


最後に

この一連の取り組みを通じて、「何を経験するか」を明確にし、支援者も共に経験することが、メンバーの成長支援において重要であると実感しました。
一緒に走り抜いたチームメンバーのnamiさんが今回の取り組みについてのアンサー記事を作成してくれるそうなので、ドキドキしながら待ってます 笑
---12/18追記---
アンサー記事をnamiさんが書いてくれました!こちらもぜひご覧ください😀


今回はあくまで支援者側の立場で書きましたが、誰しも支援される側に立つことがあります。成長支援はマネージャーや上司だけの役割ではなく、本来同じ会社やチームで働く仲間として、役職や上下関係にとらわれず、全員が双方に支援し合える環境をつくることが、目指す世界への近道だと私は思います。
そして、最終的に、成長支援は単なるスキルアップではなく、人間関係の深化と信頼の構築につながるものだと信じています。

これからも「一緒に走る」姿勢を大切にしながら、チーム全員で未来に向かって進んでいきたいと思います!

PS.
オンボーディングの取り組みや成長支援について多くの方と情報交換したく、ぜひお話させてください!

そして、多くのポジションで絶賛採用中なので、エントリーをお待ちしております!

Appendix

※1 「ダイナミックスキル理論」について詳しく学びたい方は、ぜひこちらをご一読ください。

※2 一般的に業務の中で、感情を扱う機会は少ないかと思いますが、個人的には信頼関係を築くために重要なことだと考えています。(いつかnote書きたいなー。) 私自身は、NVCの考え方を軸に、1on1を行うようにしています。興味がある方は、こちらの書籍がおすすめです!


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