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ピアノがやってきた!②

ピアノが来る事になったそもそもの話はこちら

心筋梗塞のカテーテル処置から回復へと向かうベッドではネットが数少ない友達であり、世の中への扉だった。街角ピアノのYouTubeサイトが楽しかった。日本でも最近見かけるようになった、駅などの公共の場に置かれ「我こそは!」と思う者が一曲披露できるアレだ。そこで目にしたのは、実にいきいきと楽しそうにピアノを演奏する東西老若男女。ほとんどは上手くは無い。しかしその表情はプロミュージシャンでもなかなか得られない至福の演奏のものだった。それは40年以上前にハノン大帝に打ち砕かれたピアノへの想いを一気に思い出せるのに充分だった。「いつか弾きたい、ショパンを街角ピアノで!」

いうは易し。ピアノという楽器はハードルが高い。ピアノはでかい、重い、高いという三重苦に加え、「近所迷惑」という現代社会では重罪にも値する大きな音を出す。40年ぶりの下手な演奏ならなおさらだ。そこで入院のお友達、ネットに相談する事10分。たちまち答えが出た。電子ピアノを買え、と。しかし15年以上前の知識しか持たぬ身には電子ピアノは『偽楽器』にしか思えなかった。音は誰が聞いても「電子ピアノ」でしかなく、プラスチックの軽〜い鍵盤、工具のフットスイッチみたいなサステインペダル。いやだ。だがネットはさらにたたみかける、古い思い込みは捨てよ、と。そこで開いたヤマハのサイトには別世界が広がっていた。

サイトからは演奏デモの動画が見られる。もちろんステレオだ。いい!これはまさにヤマハコンサートグランドの音。問題解決、電子ピアノを買おう。しかし大変なのはここからだった。なんでも比較倒してからでないと決められない性格。よく言えば慎重派と言えるが、一般的には優柔不断の方が通りがいい。

ピアノといってもメーカーがいくつもあり、それぞれ特徴が違い好みが分かれる。電子ピアノなら大して違いないだろう、だって電子だから。と思ってた。しかし違うのだ。その音はリアルのグランドピアノからサンプリングされた音源なのだ。そのメーカーの一番高いグランドピアノと、大人の事情たっぷりの海外の有名グランドピアノの音なのだ。

候補となったのは4つ。条件は音が良い事、ピアノ以外の音も楽しめる事、据置型ではない事。

①ヤマハP515  搭載リアルピアノ音源は2つ。ヤマハCFXとベーゼンドルファー インペリアルだ。CFXは3歳から親しんで来たヤマハサウンド。輝きのある中にも柔らかさがあり、まるでブルゴーニュ グランクリュだ。ベーゼンドルファーは少し暗さ、重たさはあるがやはり唯一無二の音色。ワインでいえば熟成したバローロ。ヤマハと正反対を組み合わせているのが面白い。

② カワイES8  搭載リアルピアノ音源は2つ。シゲルカワイのEXモデルと5モデルだ。自社の大きさの違うピアノを2つも入れるところに自信と誇りを感じる。サウンドはカワイ 独特のメローで歌うような心地よい音色だか、好みとは少しズレる。

③ カシオ 搭載リアルピアノ音源はベヒシュタインだが、これがついているモデルは予算オーバー。かと言ってメーカーイチオシのプリヴィアS1000ではちょっと物足りない。

④ ローランドFP90  カシオ同様リアルピアノは作っていないため科学的に分析された生音に近いピアノの音色との事。

入院中にこの4つを徹底的に比較し、決定する話はまた次回に。


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