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フルダイブまでの道

目次
・はじめに
・フルダイブの定義
・必要な技術と課題
・解決策
・マイルストーン
・おわりに

はじめに

こんにちは。SandBoxの菊地です。
今回は、「フルダイブまでの道」と題して記事を書いていこうと思います。

自身の現状の考えを残しておきたいというのと、フルダイブ作りたい!と思っている方に少しでも参考になれば良いなという想いで書くことにしました。

また、この記事では論文や技術書などの紹介は殆どしません。
専門的な話は極力省いて、シンプルに課題と解決策をまとめるのが目的です。需要あれば、論文紹介などは別枠でやります。

フルダイブの定義

”脳と機械が相互通信を行い現実と見分けられないレベルの世界に行くこと”
と考えています。

順番としては
①バーチャルな世界に行ける

②超絶リッチな体験ができる

③現実と見分けがつかない
だと思っています。

今過ごしている世界のように、五感は自然に感じられ、身体を好きなように動かせて、今いる世界が一瞬どっちなのか分からない、という世界です。

これまでのVR(HMD)では、
①はクリアしていて、②に向かっていると思います。
触覚や嗅覚のデバイスはその最たる例です。

今後も解像度はさらに上がり、ハプティクススーツなどもできて、より没入感がある体験になっていくのは間違いありません。

ただ、それでもやっぱり現実にいる感覚というのはあると思っているので、
脳をハックしようという方向性は必要だと感じます。

そこで、視覚や聴覚などを通じて情報を認識するのではなく、
直接的に脳内に送るというアプローチが出てきます。

現状のVR(HMD)と脳の研究が融合するときは必ず来ると信じています。

必要な技術と課題

フルダイブが達成される大きな条件として、
「脳と機械の相互通信」があることは前述の通りです。
今回は、倫理や社会の話は一旦置いて、相互通信に絞って書いていきます。

・脳と機械の間で相互通信させることができるデバイスが無い
元も子もない話なんですが、通信デバイスが無いです。
通信するうえで重要なのは、脳内にある”個々”の神経細胞(ニューロン)と
やり取りをしなければいけないということです。

脳内には1000億個以上のニューロンがあると言われています。
その1000億個を個別に管理してあげないといけません。

現状でも脳内にチップを埋め込んで、電気信号を流すようなことがありますが、3x3程度のマス内で明るいか、暗いかなどの大まかな情報しか与えることができません。

これは個別に刺激できていないというのが大きな原因のひとつです。

・どのニューロンを刺激すればいいのか分からない
例えば、映像を見ているとき。
視覚を担当するニューロンが特に活発に働いています。
ただ、どのニューロンなのか?というのは全然分かりません。

活動している大まかな場所は分かります。
ただ、1000億個もあるニューロンのどれなのか?は不明です。

仮に相互通信のデバイスができたとき、刺激を送る場所が分からなければ、フルダイブは完成しないので、こちらも大きな問題です。

逆に上記の2つがクリアされれば、グッと近付きます。
どうバーチャル空間を作るか、メンテナンスはどうするか、倫理的には大丈夫か、など他にも問題はありますが、基礎技術としては完成といって問題ないと思います。

解決策

まずは前者の相互通信についてです。
僕が考えているのは、”ナノマシン”での解決です。

血中を通過できる、微小のチップを注射して脳に送り込み、
それぞれのニューロンを管轄するという方法です。

現在は、癌細胞の撃退といった分野で主に研究されています。
薬剤をナノマシンに装備させ、血中を巡りながら癌細胞を倒す。
というコンセプトですね。

これが完成すれば、理論的には癌の転移は無くなるでしょうし、患者さんの負担も非常に少なく済みます。

これを僕はフルダイブに応用できるのではないかと考えています。

従来のチップを埋め込むという方法は、障碍を持った方には有益な方法のひとつです。それはマイナスな状態から脱する可能性があるからです。

健常者の場合、埋め込み手術のあと、逆にマイナスになる可能性があります。脳は非常に繊細なので少し傷がついてしまっただけで、何かしら起こります。(最悪、半身麻痺とか…)

よって、なるべく負担やリスクを減らさなくては、
使用する決断ができません。

現在、ナノマシンの課題は”給電”です。
赤外線や電磁波を使用して、給電や通信を行う場合、
レーザーや信号処理回路の消費電力がボトルネックとなるようです。
(脳内は光が散乱するため)

ただ、集光させることができれば、安全な出力範囲内で必要なエネルギーを賄えるかも、という感じです。

現在の集積回路技術でサイズは問題ないものが作れます。
ナノマシンを異物として認識する、免疫系に関しても、
超音波やナノバブル等を使い、クリアできるということです。

こう考えると、実用までは意外と近いのかもしれませんね。

次に、どこを刺激すればいいのか。
こちらのほうが課題だと思っています。
SandBoxとして取り組んでいるのも、この領域です。

現状のあらゆる測定技術は、
個々のニューロンを観測することはできません。

ゆえに、ハードウェアのブレイクスルーは勿論ですが、ややアバウトな情報でも良いから、”データを集める”ことが大切だと考えています。

ハードウェアの発展に合わせながら、データ数をもって、少しずつニューロンのネットワークや活動パターンなどの規則性、特徴などを取り出していき、最終的にニューロンを観測できるようになったとき、有益なものになるように準備をするというアプローチです。

ハードウェアに関しては、
NIRS(脳血流の測定機器)やTMRセンサー(磁気)が発展してきています。

NIRSに関しては、長らく集光が課題でしたが、光のある特性を利用して、パターンを学習させ、集光が出来るようになったという話があります。

TMRセンサーについても、メガネに組み込めるぐらい小型化が進んできており、脳波よりも良い精度で活動を取れる日も近くにきています。

マイルストーン

様々なバックグラウンドの人にお会いしていくなかで、フルダイブというゴールまでの解像度が少しずつ上がってきました。
前述のような関連分野の発展は、着実に進んできています。

ここからは僕の勝手な予想で、
どういう形で今後進んでいくのか書いてみます。

2019年〜2021年(第一次ブレイクスルー)
新測定技術を持った、ハードウェアがリリース。
脳波に代わる、手軽で精度の良いデバイスが出てくる。

2021年〜2023年
ナノマシンの給電問題が解決。
臨床、医療の現場で一部実用化。

2023年〜2025年(第二次ブレイクスルー)
家庭に脳波計が少しずつ入り込み始める。
今まで測定が困難だった日常生活でも測定できるようになり、様々なアプリが開発される。参入企業も増加。

2025年〜2030年
健常者の間でナノマシンを体内の一部に入れる動きが出てくる。
ナノマシンによって、バイタルチェック、電子マネーの利用など。

2030年〜2035年(第三次ブレイクスルー)
個々のニューロンを観測できる技術が完成。
脳の解明が一気に進み、一部の脳ハックも実現。

〜2040年
フルダイブ技術の確立

おわりに

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
2018年最後の日に、お酒を飲みながら勢いに任せて書いてしまったので、
少々読みにくいところがあるかもしれませんが、ご容赦ください。

まとめると、

確実にあの世界には近づいているよ!!

ということです!!

僕の知識が間違っていたり、
追加情報などお持ちの方いれば、ぜひ連絡ください。

僕が親しくさせてもらっている人たちが書いた記事も共有しておきます。
併せて読んでみるとまた違った視点が得られると思います。

また来年もよろしくお願いいたします!

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