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和田誠さん「装丁物語」

和田誠「装丁物語 」(白水uブックス)

1997年に発行され、2006年に白水社Uブックス化された本。

普段の、気楽におしゃべりするような感じで、装丁デザインについてのあれこれを1冊ずつ丁寧に語ってくれます。

1つずつの本への解説は短いですが、どんなことを考えながらそのデザインをしたのか、作家や編集者のこと、彼らとのやりとりなど、デザインの現場の様子、創作の風景が垣間見えて面白い。
谷川俊太郎、ジェイムズ・ジョイス、丸谷才一、ダシール・ハメット、阿刀田高、村上春樹、ニール・サイモン、つかこうへい、山本容子ーー。

基本的には、ロットリングで線画を描いて、あとは色指定で印刷の段階で色をつけるという手法が多いそうですが、時によって、グァッシュ、リキテックス、油彩、色鉛筆、フェルトペン、エアブラシ、銅版画、コラージュ、芋版など、驚くほど多彩で様々な手法を使われている。
ベニヤや石ころに描いて写真に撮って、それを装丁に使ってみたり、実験的なことを面白がって楽しんでいたりもする。

作品作りやデザインというのは、本当に自由でいいんだと、自分も見習いたいなと思わせられた部分でした。

なにより和田さん自身がデザインすることを本当に楽しんでいる様子が伝わってくる。それが読んでいて楽しく、励みにもなります。

仕事というのは、人に喜んでもらうことが基本だとしても、なにより自分自身がそれを楽しめること。どちらが鶏か卵かというぐらい、それは大事なことなんだと思う。

残念ながら和田さんは、2019年の10月7日にお亡くなりになった。83歳。
病院のベッドでは、大好きな映画のDVDを観ていたそうです。

ちなみに和田さんは、装丁に使う写真は自分で撮ることが多かったそうです。
イラストレーターであり、装丁家であり、映画監督であり、エッセイストであり、作詞や作曲、落語原作にも取り組んだ、本当にスーパーマンのような人だったという印象です。


○「装丁物語」和田誠

20200725_01_和田誠「装丁物語」

現在は絶版になっていますが、amazonで今見たら、中古なら、499円から買えるようです。

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