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【あき はやおの芸術に乾杯】第4回 「芸術に乾杯!チャイコフスキーの舞踏会」

「あき はやおの芸術に乾杯」

ーーーこの番組はあき はやおがステキ(素敵)な芸術を求めて世界中をめぐる旅番組。

を妄想して綴ります。ーーー

第4回「芸術に乾杯!チャイコフスキーの舞踏会」

ロマン派の作曲家、チャイコフスキーの話題ですが、今回は音楽会ではなく、舞踏会。
チャイコフスキーのバレエ作品についてお話出来ればと思います。

チャイコフスキーのバレエといえば、三大バレエと呼ばれる「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」ですね。
作品、音楽をご存じなくても題名は知っている方も多いのではないでしょうか。

チャイコフスキーの代表的な作品でもあり、バレエ作品の中でも代表的なものです。日本では毎年いたるところで何度も上演されている人気作品です。特に「くるみ割り人形」は年末の「第九」同様、冬の定番催しです。

にも関わらず、第1作目の「白鳥の湖」の初演時はチャイコフスキーに二度とバレエ音楽を作らないと思わせたほど酷評を受けてしまい、結局生前に再評価されることはありませんでした。

これは、当時のバレエ音楽の"当たり前"のせいです。当時のバレエは単に女性ダンサーの曲線美やそれが織りなす優雅なポーズを生かすことが重要視され、音楽はただのBGM。飾りでしかなかったんです。物語(内容)ももちろん重要ではなく、優雅な踊りが華やかに羅列されたものが親しまれていました。

それに対してチャイコフスキーの音楽はあまりにも絶対的で、難解な作品に感じられたのでしょう。
音楽以外にも理由がありました。
衣装や装置は貧弱で、振付師や指揮者も芸術的な才能に豊かな人ではなかったそうです。更に主役のオデットを踊ったバレリーナも全盛期を過ぎたダンサーだったそうです。
そんなことが重なり、「白鳥の湖」の初演は失敗に終わったのです。
でも、チャイコフスキーは自分の音楽のせいだと自分を責め続け、自作の「眠りの森の美女」まで約10年もバレエ音楽は作曲しませんでした。

何がものを創り上げるとき、他人の評価というのは、良くも悪くもまとわりついてくるものです。かと言って、自分勝手な作品を作り続けることもきっといいことではないでしょう。
それが趣味ではなく、しっかりとした信念の元、誰かに伝わって欲しいと願う作品なのであれば。
仕事か仕事でないか、この場合関係はないでしょう。仕事だから"やらなくてはならない"と産み出された作品は産まれた後に進化することはないように思います。
本当に"想い"がこもった作品というのは、作品自身が自分の足で立ち上がり、自ら前に進んでいくものだと思います。
だから、バレエ音楽をちゃんと音楽として素晴らしいものにしたい、バレエを総合芸術として成立させたい、そんなチャイコフスキーの想い「白鳥の湖」にはこもっていたんだと思います。だからのちの素晴らしい振付師や指揮者、ダンサーたちにより、今の評価にまでなったんだと思います。
個人的に(しごく個人的に)言って、チャイコフスキーよりも前のバレエ作品はつまらなく見えます。もちろん、これは作品としての"バレエ"が観たい、作品としての"音楽"が聴きたいと思って観ているからです。
当時の貴族のように"綺麗な女性の踊りが見たい"と思って劇場に足を運んでいないからですよ。
「白鳥の湖」の物語の中の優れたダンサーさんたちは、ただの踊り手に留まらず、きっと一人の"役者"です。

再評価の後、「白鳥の湖」は多くの作品に影響を与えました。その中の一つに私は映画音楽があると思っています。

10年の時を経て産み出された、この後の「眠れる森の美女」と「くるみ割り人形」これらの作品についても語りたいところですが、長くなるのでこの辺で。

私のこの拙い文章で、少しでもチャイコフスキーの作品にに興味を持って頂けたなら、CDショップへでも出掛けて、チャイコフスキーの作品を手にとってみませんか。今の時代、YouTubeの検索でもいいかもしれませんね。でも、やはり多くの人の手によって創られた、劇場での公演に是非出掛けて行ってほしいものです。こんなご時世ですが、そこから先、たくさんのことが見えてくるかもしれません。

それでは、あき はやおは一足お先に、チャイコフスキーの世界に出掛けてきます。どこかで出会えたら、「芸術に乾杯!」と一緒にお酒でも飲みましょう。

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