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「ビジュアルノベルゲーム」の勉強会

 昨日、NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)が主催する『SIG-GS 世界のビジュアルノベルゲームは今。第3回「ビジュアルノベルゲームの過去・現在・未来」(7/1)』に参加して参りました。

 https://www.igda.jp/?p=9836

 今日テレビアニメや劇場アニメの原作にもなり、大勢のファンを獲得してアニメ業界やオタクビジネスの要のひとつとなっているビジュアルノベルゲームが、どこから生まれて、いかにして発展して、今日の形になったのか、ということを学んできました。

 今回初めてこのような回に参加したのでとても緊張したのですが、とても有意義な時間を過ごすことができました。

 2時間の講義を丸々語ってしまうと、かなりの長文となってしまうので割愛いたします。簡単な概略だけまとめたいと思います。

 前半はスライドを写真で取らなかった上に、今回の講義ではかなり内容が濃かったために、うろ覚えのところがありますので、もし講義の内容とずれていたら申し訳ありません。また、別のところから画像を引用いたします。

 講師のフリーライターの『福山幸司』氏がいずれ今回の講義の内容をまとめたものをどこかで掲載する予定らしいので、そのときにまたご紹介できればと思います。

 福山幸司氏が出演されているIGNJapanの動画


■アドベンチャーゲームの原点は宝探しゲーム?

 そもそも現在の『CLANNAD』『逆転裁判』『Fate』など全てのアドベンチャーゲームはどこで誕生したのでしょうか?

 元々はアメリカで誕生したテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』がすべてのテレビゲームやゲームブックの始祖であり、そこから『ウィザードリィ』や『ウルティマ』といったRPGや、今からお話しするアドベンチャーゲーム、ゲームブックなどに派生していきました。

 その中でも、アドベンチャーゲームの始祖は1976年の『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』というゲームが上げられます。
 これは広大なダンジョンを探索して宝箱を持ち帰るというゲームなのですが、パソコン上ではテキストしか表示されません。

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 今日のゲームのようにビジュアルがあるわけではなく、全てテキストのみで描写されます。そのテキストをゲームブックのように進めていくことによって宝を取り尽くして遊ぶゲームなのだそうです。

 ただ、当時はパソコンは冷蔵庫2台分のように大きなものでしたので、今日のゲームのイメージからとはほど遠いようなものだったようです。また、テキストしか表示されないので、マップなど当然あるわけもなく、プレイヤーが自主的にマップを作成するなどの手間があったようです。

 この『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』から『アドベンチャーゲーム』という名前が生まれて、その後パソコンの発展と共に映像がついたり、宝探しが犯人捜しに変わったり、単純な宝探しからストーリー性のある作品に変化するなどさまざまな形に分岐して発展していきます。

■日本への伝来

 その後欧米で人気のアドベンチャーが日本へとやってきました。
『ドラゴンクエスト』生みの親である堀井雄二さんが作った『ポートピア連続殺人事件』や『オホーツクに消ゆ』などが生まれます。

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 昔は、ゲームの進行はパソコンでのテキスト入力方式だったのが、今日の『逆転裁判』でも受け継がれるようなコマンド入力方式に変更していきました。

■日本でのノベル形式ゲームの誕生

 コマンド入力方式のアドベンチャーゲームが日本では主流となりましたが、スーパファミコンで『弟切草』『かまいたちの夜』などまるで小説を読むように物語が進行するサウンドノベルが誕生しました。

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■ビジュアルノベルゲームという名前を生み出した高橋龍也氏

 一方、PCではさまざまな18禁美少女ゲームが生み出されて、『ランス』シリーズのようなRPGもあれば、菅野ひろゆき氏『EVE bursterror』『この世の果てで恋を唄うYU-NO』に代表されるようなコマンド入力方式のアドベンチャーゲームもありました。

 そんな中で、leafの高橋龍也氏が『弟切草』や『かまいたちの夜』と同じようなノベル形式のゲームを美少女ゲームに取り入れます。

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 そして、そこで初めて『ビジュアルノベルゲーム』という単語が公に出てきます。

 高橋龍也氏によって『雫』『痕』『ToHeart』が生まれました。

■Keyの出現と美少女ゲームはシナリオゲーへ

 高橋龍也氏のストーリー性やシナリオ性が重視された作風は多くのユーザーに受け入れられました。
 その後、Keyから生み出された『Kanon』『Air』『CLANNAD』の大ヒットによって美少女ゲームは今日のようなゲーム性よりもストーリー性を重視する形に変わりました。

■ゲームや機器の発展による多様な表現が可能に

 今日のアドベンチャーゲームは単に立ち絵+背景+メッセージボックスというだけではなく、CGによる映像演出やアニメ表現などまた新たな表現方法に取り組んでもいます。また、SNSやYouTubeなどの発展で使われ方も変化してきています。

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■福山さんの総括

 今回私が講義を聴いて特に印象に残った言葉(要約)。
「ゲームは30年で忘れ去られてしまい、どのゲームがどの影響に与えたかのつながりが消失しやすい。けれども、アドベンチャーゲームやビジュアルノベルゲームも含めて新しくヒットするゲームはそれ以前の(古典と呼ばれるような)ゲームのクリエイターが面白いと思った部分を抽出して現代的にアップデートしたものである。(だから、古いゲームを学ぶことも大切)」

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■今回の講義の感想

 本当はもっともっと内容が濃くて、いろんな古典ゲームの紹介などのお話もありました。
「欧米と日本のビジュアルノベルゲームの違い」「表現方法の変遷」「現在の海外におけるビジュアルノベルゲーム」なども詳細に語っていただいて非常に面白かったです。
 とにかく詳細に調べられていて、まるで大学の研究論文でも聴いているかのようでした。

 その後、福山氏やお知り合いのゲームライターの方々とお話をさせていただいたり、貴重な資料を拝見させていただいたりしました。
(以下初の殺人事件のアドベンチャーゲーム誕生に影響を与えた古典ミステリー作品 ※事件の手がかりとしての手紙や切手などが付録のように封入されているというこだわりっぷり!)

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 私はゲームのシナリオに何本も関わってきましたが、ゲームライターという職業については全くの無知であり、ライターさんたちがここまで手間と時間をかけて記事を仕上げているとは思いもしませんでした。

 正直なところ、ゲームのシナリオライターさんと知り合えることを期待して参加したのですが、そういう交流はできませんでした。

 でも、その分、ゲームライターさんというお仕事のお話を聞けてとても刺激的で楽しかったです。

 次回があるかどうかはわかりませんが、また機会があれば今後もこのような講座や勉強会に積極的に参加していこうと思いました。

■余談 『エンゲージプリンセス』と今回の講義

 私がキャラクターシナリオで関わっている『エンゲージプリンセス〜眠れる姫君と夢の魔法使い〜』も古典ゲームのオマージュがたくさんあります。

 関係者なのであまり具体的に語るわけにはいきませんが、「14へ行け」とか「マーリン」とか「火の指」は古典ゲームブックのオマージュであったり、あちこちのポインターから次のシナリオを自由に探索するというゲームシステムも『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』に通じるものがあるなと思ったり……。

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(『エンプリ』のメインヒロインのひとり『マーリン』と『火の指』。その名前の由来は……)

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(ポインターをクリックしながら次の場所へと進むが、あちこちにサブシナリオが隠れているので、脇道にそれるのもダンジョンの宝探しのようで楽しい)

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 (古典ゲームブックで有名な『14へ行く』とは……)

 そういう古典ゲームのオマージュがどこに隠れているか見つけるのも楽しいと思います。

 気になる方はぜひ一度プレイしてみてはいかがでしょうか?
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作家兼シナリオライター。秋月大河事務所代表。電撃文庫『騎條エリと緋色の迷宮』や一迅社文庫『革命のレオリア』ゲーム『エンゲージプリンセス(エンプリ)』、ソシャゲやコンシューマなど。日本ゲームシナリオライター協会正会員。

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