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25歳の誕生日、ドラゴンボールを探す旅に出た(あきないアキオの話)

サムネの写真は私の「筋斗雲」だ。私はアキコ、夫はアキオ、娘はチアキ。いつも「ちあきろく」として娘のことを書いているけれど、今回は、私の最高にクレイジーな夫、アキオについて書きたいと思う。

付き合いはじめてから9年目、結婚して2年。サプライズが好きな夫は、毎年誕生日に「テーマ」を決めて全力でお祝いをしてくれる。この「サプライズ」は、皆さんが想像されるような甘いものではなく、もはや「度胸試し」に近いレベルだ。これまでの夫からの誕生日祝いをざっと書き出してみる。

21歳:レストランでサプライズ(普通)
22歳:温泉旅行に拉致される(まだ普通?)
(この後から様子がおかしくなる)
23歳:「アリスINスカイツリー」
24歳:「新感覚☆誕生日」
(同棲スタート)
25歳:「ドラゴンボールを探せ!」
26歳:「あっこちゃんオリンピック」
27歳:「長野県脱出ゲーム!」
(結婚)
28歳:「猪突猛進!プレゼント争奪チャレンジ」
29歳:「究極のお家デート〜スーパーADモードでお届け〜」

ちょっとテーマだけでは伝わらないと思うのだが(いつか書きたい)今までの珍誕生日セレクションの中から、「うそでしょ、ねえそれ嬉しいの?!」とよく言われる、25歳のときの「ドラゴンボールを探せ!」をお届けしたい。

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同棲してはじめて迎える誕生日の朝、かけた覚えがない目覚ましにしぶしぶ起きると、となりに夫(当時恋人)がいなくて、何事かと思ったらカメラがしかけてあった。机には怪しげな包みとドラゴンボールの自由帳と、「アイフォンとかぎ忘れないでね」というメッセージ。


この時点で、ああ今年は、やばそうだ、と身構える。23歳の時に「アリスINスカイツリー」というテーマで、突然白塗りのへんな格好をした夫(マッドハッター風、笑うと白塗りにヒビが入るので常に怪しい微笑を浮かべている)が原チャで颯爽と現れて、「アリスいくよ!」と言われてアリスのコスプレを渡され、その格好のまま公共交通機関をつかって移動し、はじめてスカイツリーに登った時の記憶が蘇る。なかなかの変質者っぷりであったが、あの時は夫のがやばい格好してたのでなんとかなった。が、今年は…。

自由帳を開くと「さあ、ドラゴンボールを探しに行こう!包みをあげてね」と書いてある。ポップだ!嫌な予感がする!包みに入っていたのは、案の定、孫悟空のコスプレ(わりとガチ)。

そして、自由帳には「金団雲が下で待ってるよ!」というコメントと、チャリの鍵が。とりあえず、え、まじで、私これ着るの…?そして外にでるの?と動揺。冬だしさむくない?(そこじゃない)と思いつつ「やるかやらないかでいったら、とりあえずやっとく」タイプの私、意を決して悟空のコスプレを身にまとう。誕生日って、通過儀礼の修行だもんな。(違う)

何度か迷った末に、コスプレの上に寒すぎるのでワークコートだげ羽織って、意を決して外にでると「ドラゴンボール探してます」の登りがたった自転車が…。(運転席にゴープロまで設置されてる、まるでユーチューバーだ)この筋斗雲に乗り、LINEで送られてくる指令に従ってドラゴンボールを探すらしい。え、どこでみてるのよ?なぜ私の行動がわかるの…怖。

しかし、ドラゴンボール1個につき5,000円分のプレゼント代になるらしい。マックス7個だから総額35,000円…これは、頑張るしかない。私の愛するシェンロンに会うため頑張るしかない。

最初の指令はまさかの「浅草」。当時スカイツリーの麓に住んでいたので、自転車、改め筋斗雲で、下町を飛ばす。「ドラゴンボール探してます」の登りを掲げた自転車で悟空の格好をした女、完全にやばいやつである。ドラゴンボールが隠されている場所が分かりづらすぎで、気さくそうな人力車のお兄さんに位置を尋ねる。(普段だったら乗って行きませんか?って話しかけてくれる人力車のお兄さんたちが誰も話しかけてくれなかった)「いや…お姉さん!やばい人かとおもいましたよ!」って言われたので事情を話すと「誕生日にえぐい羞恥プレイですね」と言われてその通りすぎてつらい。とにかく1個目のドラゴンボールをGET。

2個目のドラゴンボールはまさかの「上野動物園」うそでしょ…。どうやら夫が先回りしてドラゴンボールを仕掛けているらしい。動物園内のパンダのオブジェの影にドラゴンボールを発見。時々夫(シェンロンなのでは)が物陰に隠れてドラゴンボールを守っている。どうやって私の場所わかるの…。

3個目のドラゴンボールは「押上で一番かわいい人がもっている」とのこと。誰だ、それは…。もしや…と思い行きつけのお肉屋のおじちゃん(とにかく存在が可愛いと我々の中で話題になっていた)に聞いてみたら「おう!これか!」とドラゴンボールを渡してくれた。おじちゃん協力ありがとう。(「袋いるか?」といつもの調子でビニールに入れてくれた、優しい)

(ドラゴンボールを自転車のカゴに入れて走る悟空コスプレの女)

おじさんからもらったドラゴンボールに、夫の汚い字で「錦しちょうのTOHOシネマズでダースベーダーが待っているよん」と書いてあるのをかろうじて読み取る。その後、私は夫と合流して悟空のコスプレで楽しみにしていたスターウォーズをみることになったのであった。気がそぞろ!悔しいので怪しい女を連れているやばい男っぽく見えるようにコートをしっかり脱ぐ。距離を取ろうとするので詰めにかかった。4個目のドラゴンボールGET!

5個目のドラゴンボールは、カラオケでドラゴンボールのテーマソングを歌って80点以上なら合格…ということだったが、サビ以外怪しかった。しかしながらなんとなく音をとって、成功!

・・・とここで時間切れ。夫が仕事に行くまでの30分間で、ソラマチで25,000円分のプレゼントを選んでください!という無茶振りだったのだが、私、悟空の格好というあまりにもショッピングという感じでない様なのと疲れ果ててしまったのとで、全く選べず。事後でもOKとの承諾をもらった。

(ソラマチの女子トイレにて…こんな自撮りは最初で最後だろう)

最後にネタばらしで、なんで私の位置情報がわかったかというと、どうやら「ドラゴンボール探してます」の登りが刺してあるペットボトルの部分に、夫の昔のiPhoneとWi-Fiが入っていて「iPhoneを探す」機能を使って私の位置を確かめていたらしい。(怖い)さすがすぎる。

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思えば夫はコスプレが好きなのかもしれない。二人ではじめて行った海外旅行がインドなのだが、その時も現地のクルタパジャマ(民族衣装)を着てインド人に間違われてヒンドゥー語で話しかけられていたし。ヨーロッパを5週間かけてまわったときは「おれ、忍者で行くけど、アキコ何でいく?」と言われたし。(せっせと折り紙で手裏剣を大量に作って持参、イギリスではプラスチックの刀を銃刀法違反で没収され、ベルギーではバーテンダーとコースターVS折り紙の手裏剣で戦闘していた)

よく「ねえそれ嬉しいの?!」と、友達からどんびかれるけれど、私的にはオールオッケー。というかむしろ想像の斜め上どころか、ぶち抜いてくれる感じが最高だと思っていて「ああ、この人といたら飽きないだろうなあ」と思ってこれまでもこれからも一緒にいる。どんとこいの気持ちで、いる。

スーツにロボットを纏ったとんでもない格好で「あっこちゃんとなら、一生こんなかんじでいけると思う!」とプロポーズされ、わかる!っておもったあの日の気持ちのまま、たのしい家族になっていきたい。

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