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俳句_ 松尾芭蕉


や 
花なき蝶の
世すて酒

松尾芭蕉
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季語は「桑の実」で夏。

蝶がひっそりと桑の実にとまって、その果汁を吸っている。
このように桑に縁を求めるところをみると、それは花に恵まれぬ蝶の、世を捨て侘しくすする世捨て酒でもあろうか。
「桑門(よすてびと)」という言葉にあやかって「桑酒(よすてざけ)」という造語をしたところが自慢の作意。
栩栩然と舞う胡蝶に変身したという白昼夜を見たのは、至楽の人 荘周、
桑の実にすがる蝶に世捨て人の境涯を見たのは、反俗の詩人 芭蕉である。

(引用元 松尾芭蕉全集 p.69) 

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