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コロナとテレワークと働き方の男女平等。

新型コロナウイルス感染症の猛威がとどまるところを知りません。都市部を中心に感染の拡大が続いており、緊急事態宣言の発令も秒読みです。

そんな中、在宅勤務やテレワークが国によって推進されています。駅のホームや新幹線などでも、しばしばそうしたアナウンスを耳にすることが多くなりました。

テレワークの推進は、もともと国が将来を見据えて打ち出していた国策です。長時間労働の是正や有給休暇の取得などの「働き方改革」の中に、テレワーク推進のテーマも含まれています。

今回、コロナの影響があまりに深刻となり、物理的にオフィスに出社して仕事をするのが困難となったため、さらにテレワークの推進が加速されている感があります。

でも、毎日コロナをめぐる痛ましいニュースに触れながら、テレワークの流れはコロナが落ち着いたあとも、良い意味で根づいていくかもしれないと感じているのは、私だけではないでしょう。

もちろん在宅勤務やテレワークには物理的な限界がありますし、業種や業務によってはそもそも代替不可能なのはいうまでもありませんが、それでも私ちの仕事のあり方やビジネス上の習慣にかなりの変化をもたらしていることは事実だと思います。

就活はもちろん飲み会すらもZOOMなどを使って対応できるのが新たな常識となりつつありますが、これは一年前にはあまり想像しなかった構図かもしれません。



ひるがえって、日本はまだまだ男女平等においては後進国であり、国際的にもジェンダーギャップが色濃く残る国であることが知られています。それは、年収の格差や政治参加に始まり、行動や言論といった意識面でも保守的な傾向が強いといえます。

そんな現状の背景には、明治・大正から戦後にいたるまでの政策誘導に基づく男女の社会的な“役割分担”や“役割意識”が相当強固に機能しており、平成をはさんで令和になっても、フラットな社会が実現しているとはいえないでしょう。

子どもは母親が育てるべきという「母性神話」は今の時代になっても半ば“常識”として人々の意識の奥底を支配しており、実際には科学的な反証が幾重にも寄せられていても、いまだ社会的に固定概念を脱却するにはいたっていないと思います。

女性は、男性と同じように将来を期待されて育てられ、同じように勉学に勤しみ、社会人として活躍するようになっても、結婚して出産を迎えいざ子育てを一手に引き受ける立場になると、自宅を中心に育児と家事の生活を送ることになります。

いかにビジネスマンとして、あるいは専門職として優秀であったとしても、対外的な活動を続けていくためには、「自宅にいなければならない」という大きな物理的な制約を持つことになります。



今回のコロナ危機によって、在宅勤務が飛躍的に普及し、テレワークの機能性が向上することで、女性の「働き方」にも結果的にプラスの選択肢と可能性が広がるのではと期待します。

在宅でも正社員として仕事ができるというスタンスが根づいていくと、基本は自宅で過ごすという主婦のスタイルと、正社員という働き方がマッチすることになります。

立派な業績や成果を持ちながら、毎日フルタイムで出社できないという理由でパートや派遣といった働き方をせざるを得なかった人が、ごく自然に正社員として引き続き勤務できる可能性が広がるでしょう。

そしてテレワークの技術が向上し、社会的な認知度や信頼性が広まり、会社や取引先における運用実績が蓄積していくことで、物理的に場所を選ばず専門的・裁量的な仕事を受け持つことができるかもしれません。

従来、テレワークや在宅勤務は、主としてすでに正社員として仕事をしている人の業務効率を上げたり、移動などの場所的制約を克服することを中心に議論されることが多かったのですが、私はこれからもっとも影響が大きいのは女性の「働き方」へのイノベーションの部分だと思います。



コロナ危機は、いまだいつ終息するか分かりません。毎日多くの人が発症することで人々は危機感を募らせ、経済活動や雇用への影響も大きく、中長期的な景気への悪影響も避けられません。

いち早くこのような負のスパイラルから脱却したいというのが、あらゆる人に共通する願いだと思います。その上で、せめてこのような危機を乗り越える中での学びや変革があればと期待するのもまた現実かもしれません。

それが、在宅勤務やテレワークといった「働き方」の変化のスピードが加速し、それが技術面だけでなく意識面をも後押しすることで、働く場における男女平等、女性活躍の推進、女性の「働き方」の変革が一歩前進するといった方向ではないかと期待します。

このような流れは、報道をみるかぎりでは現在のところ国や厚生労働省の政策やコメントとしては直接には確認できませんが、結果的に私たちが苦しい時代を乗り越える中で、女性の「働き方」、仕事における男女平等に結びつくとしたら、間違いなく一つの大きな果実だと思います。

今は苦しい苦しい時代の真っただ中ですが、このような明るい未来への方向性を信じて、確かな努力を重ねていきたいものですね。

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。