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ジェンダー教育は、男性にとっても「解放」につながる

学校教育や社会教育の場で、ジェンダー教育の必要性が叫ばれています。男女平等、女性活躍推進の時代において、子どもの頃からジェンダーについての正しい理解を持つことが大切なのはいうまでもありません。

子どもだけでなく、今はジェンダーをめぐるあり方や役割意識の変化が顕著な時代なので、ジェンダーやセクシャリティについて学びたい、再確認したいという人が多いでしょう。

さまざまな勉強会やセミナーなどでも研究者やジャーナリスト、医師や弁護士の方々が情報発信されていますが、参加者の多くは女性だといいます。

「男性はジェンダーをめぐるテーマに興味がない」。これはある種の共通認識のようです。

今の社会の骨組みが、“男性社会”の論理によって構成されているため、男性たちにとってはあまり疑問や問いかけをする余地がないのかもしれません。



ジェンダー研究で知られる立教大名誉教授の浅井春夫氏は、学校教育の中にセクシャリティやジェンダーについての教育を盛り込む必要性を強調されています。

氏によると、子どもは精神の発達段階に応じてジェンダー意識が芽生えていきますが、「男性意識」「女性意識」が醸成される段階としてはとりわけ小学校高学年における教育が大切だといいます。

男子は「男らしく」、女子は「女らしく」という社会的な“性差意識”は、家庭・学校・社会を問わずに教育の“常識”として、自然に身に付けるように触発されていきます。

特に問題となるのは、小学校高学年くらいに男子に対して特有の「男性意識」の形成が促され、これが今の社会の根底にしっかりと根づいていると指摘されます。

男性意識は、女性排除と同性愛排除という、「二重の排除」を形成していくようになり、男性である以上は「男らしくなければならない」「女性をリードしなければならない」という暗黙裡の意識が定着します。

行き過ぎた男性性は、無意識のうちに“暴力”や“支配”を生み出すようになり、それらに依存することで社会全体が「二重の排除」に包まれていくことになります。



これらの行き過ぎた「男性意識」からバランス感覚を取り戻して、男女分け隔てなく対等の立場で支え合う意識を高めていくことは、男性自身にとっても「解放」につながるはずです。

若者世代では、ファッションやトレンドだけでなく、仕事や社会的役割においても男女の垣根を越えて男性が女性から学び、取り入れる場面も増えてきています。

ただ、こうした感覚は一定年齢以上の世代の人には違和感を抱くことも少なくなく、ジェンダーギャップ以上にジェネレーションギャップが多いと感じます。

「男らしさ」を過剰に追求し過ぎると男性もまたステレオタイプの“暴力”や“支配”の論理から抜け出せず、社会が不幸になっていく。そうした社会の構図から脱却を目指すことは、男性を「解放」させることにもなります。

ジェンダーをめぐる意識を変革するためには、男性の意識変革を促すアプローチがとても大切だといえるでしょう。

ぜひ、こんな意識を根底に置きながら、正しいジェンダー教育やセクシャリティとの向き合い方を目指していきたいものです。

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。