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令和の時代、男性のメイクはあり?なし?

じわじわと男性でもメイクをする人が増えてきました。

雑誌などでもメンズコスメがふつうに特集されていますし、ネット上でもファッション系のコンテンツではあまり違和感がなくなってきたと思います。

感覚的には平成生まれの女性では男性のメイクに違和感を持つ人はかなり少ないですし、その世代では男性でも抵抗感がかなり薄れてきていると感じます。

コスメというとかつてはデパコスか街の専門店で購入するのがふつうでしたが、今ではネット上でもあらゆるアイテムが入手できますし、ドラックストアのコスメコーナーで求める人も多いでしょう。

全国的に競争が激化しているドラックストアではコスメがじわじわと主力商品となりつつありますが、このトレンドの変化が若い男性に与える影響は小さくないと思います。

デパートや専門店でコスメを探すのには抵抗感があるけど、ドラックストアなら平気という人も多いものです。

実際に最近のコスメコーナーでは、若い男性を目にすることも多くなりましたね。

ふつうにメンズ向けの美容アイテムと並んでいるので、あまり人目を気にせず足を運べるのだと思います。

かつてはコンビニでスイーツを買うのはほとんど女性か子どもで、男性が求めるケースはかなり少ないはずという“神話”がありました。

ところが大手コンビニが調査した結果は予想を大きく裏切って、実際には多くの男性がコンビニスイーツを大量に買っていたのです。

今ではスイーツのコーナーにはむしろ男性の姿が目立つようになりましたし、男性向けの商品開発やマーケティングがかなり盛んになっています。

これと同じようなことがドラックストアでのコスメでも起こりうるし、その流れはすでに現実になりつつあると私は思っています。

今のところ具体的な統計はほとんど発表されていませんが、おそらく各社の内部調査ではそうしたトレンドが明確に把握されているのではないでしょうか。

企業経営や日常生活においてダイバーシティの価値観やLGBTの方々への理解の大切さが共有されつつある中で、「男らしさ」「女らしさ」という固定化された観念もまた良い意味で動揺してきています。

男性がメイクをしたり、女性的なアイテムを取り入れることについて、表面的には違和感や抵抗感をしめす人が多いにせよ、少なくとも「個人の価値観」は認めるべきだという流れが共有されつつあるのではないでしょうか。

よく男性がメイクするのは気持ち悪いとか、骨格や雰囲気が合わないから女性の服装を着てはいけないという“常識”を述べる人がいますが、そうした人でも目の前に美しくメイクした男性が姿をあらわすと、「特に違和感がない」と受け止めたりするものです。

体格にしても肌質にしても雰囲気やセンスにしても文字どおり「人それぞれ」ですから、実際には女性でも男性的な服装がものすごく似合う人もいれば、男性でも女性的な格好がずばり型にはまる人もいるわけです。

要は「食べず嫌い」の可能性があるということ。放っていても女性アイテムが数年後には自然と男性アイテムに取り入れられるということは自然に行われているわけですから、今の時代、あまり硬直的に「男性は○○」「女性は××」というイメージを焼き付けすぎるのも問題でしょう。

男性はメイクしてはいけないという社会通念は、いっけんすると男性にのみ不自由を押し付けている考え方のようでいて、社会学的にはむしろ女性に対する差別意識の裏返しだと考えられています。

語弊を恐れずにいえば、この場合の“男性像”は西洋的なキリスト教文化の土壌に由来しており、男性こそがスタンダードなジェンダーだという規範を共有する社会のあり方と根底ではつながっています。

だから、男性はメイクなんてするものじゃない、ましてや女性物なんて身に付けるものじゃないという価値観は、暗黙のうちに男性は女性とは社会的役割が異なる、もっといえば生得的に女性よりも優越して与えられている立場なり位置づけがあるのだと仮説と表裏一体なのです。

こういった価値観や規範がすべてくだらないとか誤っているとは思いませんが、今の社会の構造とこれからの向かう方向を考えると、そろそろ大幅なリニューアルが必要な程度に老朽化してきていることは間違いないでしょう。

女性が美しくメイクした男性の姿を目にすると、ほとんどの女性はありのままに好意的に受け入れるといいます。それは好奇心という面もあるでしょうが、ジェンダー差別の価値観にさらされて生き続けてきた一人の女性として、身をもって女性の価値観を帯びた男性を本能的に歓迎するという意識があるのだと思います。

令和の時代に男性のメイクはあり?なし? 私はもちろんありだと思います。

男性みんなが一律にメイクするということではなく、一つの選択肢として個人の自由が尊重されるという意味でなら、今までそうした「表現の自由」が社会的に実質的に制約されてきたこと自体が、男性にとっても、そして女性にとっても不幸なことだと考えるからです。

あなたの街のドラックストアでも、自分のために真剣にコスメを選んでいる男性がいるかもしれません。その人が、男性だからという理由のみで白い眼を向けられる社会が、男性にとっても、女性にとっても、幸せな社会だと思いますか?

私も、もっともっと本質的に自由であり、本質的に対等であっていいと思います。


学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。