見出し画像

【vol.6】ありがとうを伝えたくて。

前回からかなりお久しぶりの更新になってしまいました。

2021年1月から本格的に始まったリハビリ。前回の記事を自分で読み返してみたら(辛すぎる時期だったな〜と読みながら泣きそうになった。笑)まだこの頃は“『夏になったら走れるように』が目標”だったんだな〜と、4ヶ月前のことがもうすでに懐かしい過去になっていました。

現在の状況を先に報告しておきますと、左膝の屈曲角度は83度。もどかしくも未だ90度に届いていません。『夏になったら走れるように』はとても難しくなってきたので、ひとまず自分の中で『秋になったら走れるように』と、季節を変更しました。
1月末の時点では45度だったので、そう考えると曲がるようになった!と思ったり、まだまだだな〜と思ったり。思い返せばリハビリを開始した頃は10度で泣くほど痛かったのに、そこから約1ヶ月ほどで45度まで曲がるようになりました。もちろんその1ヶ月もいろいろあったけど、さらにそこから83度に到達するまでには、いろいろ…本当にいろいろありすぎました。まさか、リハビリ当初から言われていたあの、とても恐ろしい“アレ”を経験することになるなんて…。

さて、これから“アレ”を説明する前に、そこに至るまでにあったいろいろをざっくり記録します。

2月2日:屈曲角度50度。痛みと闘うばかりでは辛いからと、超音波治療を導入。
2月5日:まだ自分で運転ができなくて両親に職場や病院までの送り迎えをしてもらっていたが、父と母の口論をきっかけに「甘えと助け」みたいなことを考え(悶々)、翌6日に運転に挑戦。その日から怪我をする前の生活と同様、自分のことはすべて自分でする(という当たり前の)生活再開。結局「甘え」だったのかな〜と反省したり落ち込んだり。
2月17日:屈曲角度55度到達。この日はじめて左足で片足立ちができた。
2月25日:屈曲角度60度到達。頑張りすぎたか(?)傷口から再び滲出液が出始める。曲げるだけが痛いと思っていたけど、伸ばすほうもかなり痛みが出てきて、踏んだり蹴ったり。
3月4日:筋力を戻して歩行をスムーズにするべく、おうちでもセラバンドを使って腸腰筋トレーニング開始。
3月8日:整形外科受診。癒着を剥がす手術について考えてみるように先生から言われる。この時点で、他動では65度に到達しているが自力では60度未達。ただ、レントゲンの結果、現時点では膝蓋骨が脱灰(スカスカ?)していて手術に耐えられる強さまで回復していないとの診断。
4月8日:リハビリ期限が150日という現実を知り、焦る。膝蓋骨の状態が良くなったら手術することを密かに決意。
4月20日:リハビリ期限の150日目。理学療法士さん(以下PTさんと書きます)から延長申請を出すから心配ないと言われ、少し安心。
5月10日:整形外科受診。この時点の屈曲角度は他動で70度。先生に「もう手術(※)をしましょうか」と言われ、その場で5月14日の手術が決定。その日のうちに手術と入院前の検査を受けた。(採血、検尿、レントゲン、心電図、心エコー)
※手術といってもメスは使わない方法で『徒手授動術』というもの。麻酔を打って、先生の手の力だけで膝を曲げるという内容。

と、かなりざっくりですが、2月から5月中旬までのいろいろはこんな感じでした。
毎日毎日繰り返しのリハビリ生活。なるべく気持ちをフラットにして頑張ろうと思っていたけど、やっぱり嬉しかったり落ち込んだりしてしまって、まあどちらかというと、この4ヶ月は沈んでしまうことが多かったように思います。油断するとどこまでも深く潜って、いつか浮上することができなくなるんじゃないかと不安になる時もありました。だから、なるべく自分なりの“普通の元気”を意識して生活していました。

そして、5月14日(金)。恐怖に身震いしながら午前中は仕事へ行き、午後から入院の荷物を持って病院へ。術後は麻酔がしばらく効いていて動けないし、麻酔が切れたらおそらく痛くて動けない(結果どっちみち動けない)から、一泊だけ入院することになっていました。
手術前の点滴をしてもらっている間、先生から再度手術の説明を受けました。「なるべくメスを使わないで済むように頑張りますが、もし癒着が酷くて剥がれない時は、少し膝の外側を切って器具を使って剥がします」と。何度聞いても恐怖すぎるけど、もうここまでくると少しも揺らぐことなく「お願いします」と答えました。

手術室に入ってからは驚くほどあっという間で、腰に麻酔を2本打たれ(腰椎麻酔・神経ブロック)、麻酔が効いていることを確認したら、先生がエイッ!と膝を曲げました。(エイッ!なんてこんなポップな感じではなかったはず)
曲げました、と書いたけど、実際は感覚がまったくなかったので曲げられていると分かったのは、「はじめますね〜」と先生が言った数分後に『ボキッッッッ!!ゴキゴキゴキ…』という音が聞こえたから。先生やPTさんから事前に「すごい音が聞こえると思う」と聞いていなければ、何が起こっているんだ!?とパニックになっていたかもしれないほどの音でした。(事前に聞いていても「あー折れたな」っていう絶望感は少しだけあった。笑)

先生が膝を動かすこと10分あまり。「はい、曲がりましたよ〜」と言って、顔の前に目隠しのように置かれていたタオルをどかして左足を見せてくれました。半年ぶりに曲がっている自分の左足を見て、感覚がなかったこともあってか、嬉しい!というより、冷静に「誰の足?」と思ってしまい、リアクションとしてはマイナス300点であろう、これでもか!というほど眉間にシワを寄せてしまいました。(大反省!)先生いわく130度くらい曲がっていたらしい…。
先生、メスを入れずに膝を曲げてくれてありがとうございました。ちゃんと曲がるんだってすごく安心したのに、真逆のリアクションをしてしまってすみませんでした。そして、手術室で一緒に支えてくださった看護師さんたちの優しさにも救われました。寒くないですか?痛くないですか?気持ち悪いところはないですか?大丈夫だからね、とたくさん声を掛けてくださったおかげで緊張がやわらぎました。本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

手術後、病室に運ばれて5時間は安静にするようにと、点滴をしたまま横になっているうちにウトウト寝たり起きたりを繰り返していました。5時間後の夜7時、この日やっと1食目の夜ご飯。あまりにも空腹だったから夜ご飯をとても楽しみにしていたのに、起き上がった瞬間激しい頭痛に襲われました。寝ている時はどうもなかったのに、起きた瞬間頭がぐわんぐわん!頭痛と戦いながらなんとか10分ほどでご飯を掻き込みました。看護師さんに頭が痛いと言うと、麻酔の影響でしばらくは頭痛があるとのこと。横になって様子をみて、それでも痛いときは無理せずすぐナースコールを押してくださいね、と言ってくださいました。不思議と横になると頭痛はおさまったので、その日はそのまま眠ることにしました。

5月15日(土)。手術といってもメスは入れていないので、翌日から早速リハビリ再開。
朝起きると麻酔は完全にきれていて、自分の意思で左足を動かすことができました。が、しかし…痛い。少し動かそうとするだけで痛い。昨日手術中見せてもらった足はやっぱり自分の足ではなかったのかもしれない、と思うほど曲がらないし、とにかく痛い!朝9時前にはPTさんが病室に来てくれて、リハビリをはじめたものの、その日はどう頑張っても他動で60度くらいしか曲がりませんでした。
手術で130度も曲がったのに、手術後は60度が精一杯…。手術する前よりも曲がらなくなってしまったことに、不安と焦りと恐怖で涙が出そうだったけど、PTさんの前で泣くわけにもいかずグッとこらえました。リハビリ後にPTさんが「昨日の今日だから当たり前だけど、今が腫れも炎症も一番強い時だよね。痛いけど頑張った頑張った!再癒着しないようにこれから多少は我慢して動かしていかないといけないけど、まあ、これまでも痛い中で本当に頑張ってきたんだけどね、今日明日はおうちで頑張らなくていいからゆっくりして、また月曜日からリハビリ頑張ろうね」と言ってくれました。そう言ってPTさんが病室を出たあとにひとりでちょっとだけ泣きました。
痛かったり不安だったり落ち込んだり苦しい時はあまり泣けないのに、安心したり励まされたり応援されたり支えられたりすると自然と涙が出てくる不思議。特に怪我をしてから流した涙は、嬉し泣きばかりだったな〜と感じています。

改めて、PTさんをはじめ先生や看護師さん、友達や家族、また、応援メッセージや励ましの言葉、わざわざお家まで会いにきてくれたり、外に連れ出してくれたり、お見舞いのプレゼントを送ってくれたり、手術について調べてくれたり、親身になって相談にのってくださった皆さま、本当にありがとうございました。
深海の底に沈んでしまいそうな時、いつも誰かが手を差し伸べてくれて、引き上げてくれるおかげで今の私があります。
何度“一喜一憂しない、落ち込まない、クヨクヨしない”と誓っても、ハッと気づいたら「今完全に弱ってたやん!」って時がやっぱりあります。きっとこれから先も波打つ感情と向き合いながらの生活になるんだろうなと思っています。
怪我をしていてもしていなくても、人生ってそもそもそういうものかもしれないとも思ったけど、私がもし怪我をしていなかったら、こういう…なんというか…言葉ではうまく説明できないけど、人間の本当の優しさとは、みたいなことに気づかなかったかもしれません。というか、間違いなくこの怪我をするまで気づけていませんでした。(今も気づいていないことはたくさんあるのだろうな、きっと…)
だからこの怪我はすごく辛かったけど、今もまだ辛いけど、私にとっては必要なことだったんだなと思います。(そう思えるまで回復したってことでもあるのかな)
まだまだ続くリハビリ生活。きっとまた深海の主(誰だよ※)に足を引っ張られてしまうことがあるかもしれないけど、その時は皆さまからいただいたたくさんの温かい言葉たちにしっかりしがみついて、沈まず溺れず諦めずに頑張っていきます。
※誰だよ、って書いたけど間違いなく自分自身。

5月15日(土)。予定通り退院。
5月17日(月)。頑張ろうと意気込んだものの、腰椎麻酔による頭痛が酷すぎてさっそく弱音を吐きまくっていました。(撃沈)仕事中も10分くらいしか椅子に座っていられなくて、床にマットを敷いて何度も横になっては起き、また横になる、を繰り返していました。一緒に働いている父が文句も言わず頑張ってくれたのが救いでした。本当に感謝感謝です。とてもじゃないけど運転ができる状態ではなかったので、今週は母に病院まで付き添ってもらいながらリハビリに通いました。ありがとう。
5月20日(木)。頭痛がだいぶ良くなり、やっとゆっくりご飯を食べたり椅子に座れるようになりました。まだ膝の腫れと炎症は残っているけど、だいぶ曲げられるようになり、手術前と同じ70度〜75度まで曲げられるまでに回復。
5月26日(水)。この日はじめて80度に到達!

手術直後、手術前より曲がらなくて不安に押しつぶされそうになっていたけど、こうしてまた日々少しずつ曲がるようになってきました。
現在の屈曲角度は83度。膝が曲がるようになるとともに、今度は別のところに痛みが出てきたり、日によっては膝に熱感があったりと相変わらず一進一退で、一回癒着を剥がしたとはいえ、なかなか一筋縄ではいかないのだな…と感じています。
でも今はすごく心が軽い。ひとつ大きな波を乗り越えたような爽快感があります。
90度の壁はすぐ目の前まできました。(やっとだ〜!)

今年は例年に比べてだいぶ早かった梅雨入り。梅雨が明けて本格的な夏がきて、うだるような暑さの中おいしい白熊(鹿児島名物のかき氷)を食べて涼を感じて、ダラダラといつまでも残暑が続いているかと思ったら、ふと朝晩の風が秋めく。

秋になったら私の左足はどうなっているかな?もう走っているかな?

来週から6月。ぼーっとしていると秋なんてすぐやってきてしまう。
『秋になったら走れるように』を目標に、まだまだ頑張ります!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?