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新卒育成担当が送る「自走と内省」と「メンタルモデル」の話

この記事は、『アカツキ人事がハートドリブンに書く Advent Calendar 2019』 の 17日目の記事です。 前回は maeda さんの、「就活エージェントの皆様へ 〜学生のご紹介についてお伝えしたいこと〜」でした

はじめに

みなさんこんにちは!
アカツキで新卒育成を担当しています こはら です。

前回は「人間観をつかむまで」という記事でアカツキの人間観についてや、私がどんな人間観で育成に携わっているのかを書かせていただきました。

今日は「アカツキ新卒育成ってどんな感じなの?」ということについて、特に特徴的だと思う、【育成テーマ】と【メンタルモデル研修】にフォーカスして書いてみます。

経験を通した成長を目指す「自走と内省」というテーマ

今年度から新卒育成のテーマとしているのが「自走と内省」です。年間を通して、このテーマに沿った施策を設計しています。

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このテーマにした裏側には「経験を通しての成長を拡大したい」という育成担当としての想いがあります。

新卒メンバーが成長するのは、多くの場合「配属されたプロジェクトでの経験」を通してであり、人事が設計する「研修そのもの」であることはほとんどないのでは、と私は思っています。

それを踏まえて、私が人事として新卒メンバーに届けたいのは「経験を通した成長」に役に立つ道具のようなもの。そしてそれは「内省」の力なのではないか、という仮説がこのテーマ設定の背景にあります。

「内省」の観点が広がると、ひとつの経験から得られるものが増え、それが積み重なることによって、結果的により高く成長できる。
対して、フィルターがかかったような、画一的な物の見方からしか内省ができないとなると、本質を掴み損ねてしまうこともある。そんな風に思うのです。

この「内省」について考えたのは「経験学習モデル」がきっかけです。
「経験学習モデル」は組織行動学者デイビット・コルブによって提唱され、具体的な経験から学びを獲得していくプロセスを以下の4つの要素の反復である捉える理論です。

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このプロセスのうち「内省」にフォーカスし、内省を深めるための観点や考え方を伝える施策を行うことで「経験を通した成長」を拡大できるのではないかと思い、「自走と内省」というテーマを設定しました。

内省を深めるための「メンタルモデル」

内省を深めるためにどんなことをしたらいいかを考えている中で出会ったのが「メンタルモデル」という概念です。

人は誰でも、現実を「解釈」しています。
事実があるときに、自分固有のフィルターを通して理解しているのです。このフィルターが「メンタルモデル」と呼ばれるもの。

この概念に出会ったときに、メンタルモデルは、内省をする際に画一的に物の見方になってしまう要因になるのではないか、と感じました。
逆に言えば、メンタルモデルに自覚的になり、内省の観点が増えれば、更にその先の行動が変わり、結果的に経験からの成長を拡大することにつながるはずだ、と考えたのです。

もう少し具体的にお伝えすると、ある出来事が起きたときに、「自分はどんな気持ちでその出来事を受け取っているのか」「その出来事をどう解釈しているのか」について、【自覚的なのか】【そうでないのか】によって次の行動は変わるのでは、という仮説を持った、ということです。

例えば、先輩に何かをフィードバックされたときに生じる気持ちは人によって以下のA - Cいずれの場合もあり得ると思います。

A: 悔しい!期待に届かなかった!次こそ期待に応えたい!
B:先輩は自分のために時間使ってくれてる…ありがたいし恩返ししたいなぁ
C:まずい出来が悪いと思われてる…もっとできることをアピールしなきゃ…

この解釈のもとになっているのがメンタルモデル。上記の例でいうと、同じ「フィードバックをもらう」という出来事でも

A:自分は期待に届いていない
B:自分は先輩から恩をもらっている
C:自分は出来が悪い

と、それぞれのフィルター=メンタルモデルを通して解釈しているから実際にフィードバックをもらったときに、それぞれ異なる気持ちが生じているわけです。

このフィルターの存在について、無自覚なのか、自覚しているのかによって行動は変わると思っています。

例えば、Cさんの場合、
「【自分は出来が悪い】というフィルターを持っている」
ということに無自覚だと、フィードバックをもらうたびに、反射的に、

「あぁ…また【出来が悪い】って言われた…」

と思ってしまって、どんどん落ち込んでいってしまうかもしれないですよね。あるいは、必要以上に自分ができることをアピールしようとする、そんな行動になってしまうかもしれません。

でも、Cさんが事前に、
「【自分は出来が悪い】というフィルターを持っている」
ということを自覚できていたら、次にフィードバックをもらったときに、

「あ!また【自分は出来が悪い】って自分で思ってるぞ。ちょっと待てよ、これはフィルターが発動しているのかも。本当に先輩はそういうことを伝えたいのかな?慌てずに考えてみよう」

と、少し立ち止まって、考えられるようになる。その結果、「先輩が言いたいのは、シンプルに〇〇についてのスキルがもっと伸びたらいいよねってことだから、改めて勉強しよう!」というように、行動が変わるのでは、と考えているのです。

こんな風に、自分が出来事を解釈するときに使っているフィルター=メンタルモデルを自覚することで内省の観点が広がり、反応的 / 反射的な行動ではなく、本当に自分が進みたい方向に行動を選択し自走することができるはず。その結果、ひとつの経験から得られることも増え、経験を通しての成長も拡大していったらいいな、と思うようになりました。

入社時研修に導入したメンタルモデル研修

以上のように、メンタルモデルは内省の観点を広げ、経験を通した成長を拡大できると考えています。なので今年度から、新卒メンバー全員が自分のメンタルモデルを自覚することを目的とした入社時研修を導入しました。

また、「自覚して終わり」にならないように、日報で経験学習モデルの観点で振り返りを行ってもらい、自分で見つけたメンタルモデルについても言及してもらうことで内省の観点としての定着を測っています。

冒頭で申し上げたとおり、研修の内容は、現場での日々の中でいかに活かせるものになっているかが重要です。そこで、現場配属後3ヶ月を経てアンケートを取ったところ、メンタルモデル研修については【86.7%】の新卒メンバーが「今の自分に活きている」と回答してくれました。

定性的なコメントとしては、以下のような内容をもらっています。
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① 「自分は失敗作である」というメンタルモデルを持っているために、いつもどこか自信が持てない状態でいました。が、メンタルモデルを自覚した上で配属された先では、自分は失敗作だ、というのはフィルターにすぎないのだから、落ち込み過ぎずに冷静になって、力不足な部分について勉強しよう、と思うことができました。

② 何かフィードバックをされるとき、「自分が責められている」と思い込みがちでしたがそれがメンタルモデルに起因するものだと自覚できるようになりました。自覚できると、フィードバックは「自分への否定」ではなく、「能力の向上のためのものだ」と、適切に受け入れられるようになったと感じます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアンケートは「活きている」が100%とはなりませんでしたが、上記のような訂正コメントが複数出たことに可能性を感じています。来年度は入社時研修以降に、個別の振り返りの機会を設けるなど、より一層現場で活かせるものとして新卒メンバーに浸透するよう工夫を続けて活きたいと考えています。

さいごに

メンタルモデル研修は、あくまでも入社時研修の一部です。
その他にもビジネスマナーやロジカルシンキングなど社会人として、アカツキメンバーとして、最低限身につけてほしいスキルの研修や、先輩とのつながり作りも実施しています。

しかし、ハートドリブンをビジョンに、挑戦を通して人格の成長をも目指すアカツキだからこそ、メンタルモデル研修のように、日々の経験を通して、自分の内面にも目を向けて成長する道具をこれからもつくり続けていきたいと思っています!それこそがアカツキ流の育成の鍵になると信じて。

本日も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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