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陰謀論の嗜み方

陰謀論はいまや物事を理解するための装置として神話的な復活を果たしているが、陰謀論を見下す者たちがそれを近代的理性の名の下に行うのではなく、もはや修復不能なまでに劣化したスペクタクルを糊塗する目的で行っていることがますますはっきりとして来た。

滝沢馬琴は里見八犬伝を書いた理由を、なん度も、「因を推し、果を説く」ためだと言っている。つまり、因果の法則を教えるためなのだと。

頭が悪い人というのがいる。こうした表現もいまや支配構造に一方的に寄与するようになったリベラリズムによって「差別的」だと糾弾されるようになるのかも知れないが、そうした糾弾の目的はもちろん「頭が悪い人」の存在そのものの隠蔽であり、操作しやすい者たちを自分の党派と結びつける方策に過ぎない。

現に論理的思考が苦手な者、概念的思考が苦手な者たちは居て、彼らは容易に綺麗事に騙されて、華やかな未来を約束しながら実は人々を隷従させようとする支配層に票を投じることになる。何かがおかしい。良いことを言っているリーダーを選んだのに格差が開いていく。これはおそらく裏で世界支配を目論む者が居るからなのだ。そう思い付くことができたら、しめたものではないだろうか。

より理解力が高いものにとって、それは「冷厳なグローバル社会の掟」であり、頭が悪い者にとっては「誰かが陰謀を仕組んで裏で盗んでいる」ことになるのだが、確からしさにおいて両者はほぼ同等だと感じるのは僕だけではないだろう。

現代を神話的に捉えることを笑うなら、それは頭が悪い者たちから世界を理解する権利を奪うことになる。そして現に起こっていることは、事実、理性的というよりも遥かに神話的なものなのだ。

フロイトはギリシャ人がエディプス・コンプレックスを理解していると言って驚いてみせるが、自分でギリシャ人の思考装置を使っておいて、ギリシャ人が理解しているもなにもないだろう。

より生々しい支配と人間の深淵に接していた古代人たちは、動物の屠殺や人間の死や労働の過酷な前線が多くの場合人の目から隠されている現代より、支配と社会構造の本質に詳しい場合が多々ある。そして現在の支配装置は何度も強調しているように「スペクタクル」そのものなのだが、それを直接的に理解できなければ、ユダヤ金融資本でも、ソロス財団でも、中国共産党でも、ディープステイトでも、沼でも軍産複合体でもイルミナティでも八咫烏でもフリーメーソンでも宇宙人でも、何か名前をつけておいた方が理解の端緒になるだろう。ちなみに個人的には「悪魔」が近いかと思う。

今回の大統領選挙で陰謀があったか否かと問われれば、そりゃあったよ。あれだけのメディアスクラムを陰謀と呼ばないなら何と言えばいいのか。そこから、では結果を覆すだけの選挙不正があったかと問われたら、それは分からないとしか言いようがない。しかし「分からない」と言えるところまで持っていっているだけで、十分に陰謀は暴かれつつあるのだろう。

そもそも世界征服を企むならそのための手段はメディアによる道徳律の操作にならざるを得ず、あれだけ露骨なメディアリンチを繰り返して、いまだ7000万人以上がトランプ大統領に投票している時点で、世界征服を企んでいる「ヤツら」はかなり焦っているはずだ。そうなると次は検閲や身体拘束を伴ったより直接的な支配に切り替えてくる可能性があり、僕個人としては大統領選への中国の介入はほとんどないと考えているが、今回の大統領選の背後に中国の影を見たり、実は中国のような強圧的な社会がこれからは勝つのだと考える識者がそれなりに居るのはこうした空気を感じ取ってのことなのではないかと考えている。

陰謀論を信じることは、そこまで危険ではない。というよりも、マスコミの公式見解では陰謀論に汚染されまくっているはずのトランプ派のデモが、マスコミの必死の印象操作にも関わらず極めて整然としていることがそれを証拠立てていると思う。デモの参加者の中には実際に多くのフェイクニュースが含まれていた不正選挙疑惑をほぼフルスペックで全部信じている者から、何か怪しいくらいに思っている者まで幅広くそれぞれの考えがあるだろうが、全体としては粛々と公正さを求めている。明らかに焦って政権移行を進めながら、マスコミが「バイデンは後ろめたいことがないので泰然自若としている」と発表する民主党陣営の方が、勝手に疑惑を深めている。

切りがないのでこの辺で一旦止めるが、世界には現に陰謀がある。しかし陰謀で全てが動かされているわけではない。陰謀論であるという理由だけでそれを笑う者は、単にスペクタクル的な道徳の操作に洗脳されているか、洗脳する側の者である。


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