苧阪直行、「禅の瞑想意識と脳のデフォルトモードネットワーク」
検索パス:Google「meditation default mode network」
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/tja/77/2/77_117/_pdf/-char/en
なぜ選んだか
私は瞑想が、脳の機能を回復させたり、トラウマを忘却させたりできるのではないか、そしてそれを計測することで現象を再現可能としたい、という問題意識を持っている。
この論文は、デフォルトモードネットワーク(DMN)という脳がある種自動的な内省活動を行う際に活動する神経ネットワークと瞑想との関係を調べた論文のようであり、気を引いたから。なおかつ比較的新しい原稿であった為。
また、瞑想というのがある種東洋的な実践であるのに対し、DMNが西洋的科学的なものである為、両者の橋渡しとなる知見が得られる事を期待した。
私的リサーチクエスチョン
瞑想とDMNの関係は?瞑想をするとDMNは活性化するのか抑制されるのか?
どうやらDMNはマインドワンダリングという、純粋な非活動状態ではなく、何か色々思い出したり注意散漫となっている状態と対応しているようで、修行を積むことで瞑想によりこれを抑制することができる為、DMNも下がっているようである。
また、DMNと反対の活動をすると考えられているワーキングメモリネットワーク(WMN)も合わせて非常に興味深い知見が得られている。
ここに関しては全く知らなかったのだが、DMN(非目的的・安静時の活動)はWMN(目的的・意識的な活動)と共存しうるものらしい。その原理としては、普通は目的行動中はWMNにリソースを奪われてDMNが動作せず、無目的な動作中はWMNにリソースが要らないのでDMNが活動可能となっている、といったリソース配分の原理が考えられるらしい。
そして、修行僧は日ごろの訓練により、タスクを省リソースで行う事ができる為、WMNもDMNもどっちにもリソースを割ける、それゆえにタスクを効率的にこなすことができる、ということらしい。
瞑想によって実際身体がどう変化するのか?
後半はマインドフルネスに関する記述であるが、ストレスが減ったり、健康になったりする期待があるらしい。また、前節で引用したように、純粋にタスク対応能力が向上する可能性もありそう。
(先行)研究では、瞑想の解析をどう行っているか?
この実験では、ストループ課題という文字と色が一致してたり不一致だったりする画像を出して、その色を答えさせる認知コンフリクト課題を用いて修行僧群とコントロール群でfMRIによる脳画像信号の比較を行っている。
瞑想と記憶に関する知見はあるか?
記憶に関しては記述無し。
関連文献
所感
一回目から非常に興味深い内容に当たって感動した。これはとても幸運だった。
ここで挙げられている先行研究ももっと読む必要があるし、実際もっと医学寄りの治療的な効果もあるのかが気になった。
個人的にはスポーツとかゲームとかでも脳のリソース配分が重要なわけで、そういうスポーツ系の論文でも瞑想を実践している人がいないかとか調べても良さそう。
こういう科学的な論文だけでなく、実際に僧侶達に言語化してもらってどういう感じなのかを聞いてみても面白い話が聞けそうと思った。
所要時間:1時間半
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