#正敏弾き語り
強弱
弱いと言われたくなかった それはすでに弱いと言うことを体現している 強さにこだわるのは自分の中に強さがないからだった 足が震える 胸が高鳴る 黒い世界に身を沈める つまらないことばかりやりたくなかった 好きなことだけをやっていたかった 音が変わる音が変わる 声が変わる声が変わる 命の先にあるものが変わる 誰もいない誰もいない もう知っている人は誰もいない 目の前にいる人以外誰も 壊したかった 壊れたかった 大切なものなんか別になかった 寂しがりなのに寂しい方へ行った 光を求めて土に潜った 植物のように声をからして全力で叫んでみたい 微生物のように全てを知って世界と溶け合ってみたい 音が変わる音が変わる 声が変わる声が変わる 命の先にあるものが変わる 誰もいない誰もいない もう知っている人は誰もいない 目の前にいる人以外誰も 人を叩く俺を叩く 言葉にまみれて嘘をつく 心の先にあるものに気づく 誰もいない誰もいない もう知っている人は誰もいない 目の前にいる人以外誰も 弱いと言われたくなかった それはすでに弱いと言うことを体現している 強さにこだわるのは自分の中に強さがないからだった
囚われた人
弱さと強さに囚われた人 行き場をなくして身をまかせる人 嘘をついたのに気がつかない人 自分の顔だけよく見えない人 ああ ああ 何年も続くのか ああ ああ 同じ言葉話してる 誰にも話せないことだけが 自分の姿を映している 言葉にできない訳じゃないけど 言葉にしたら死んでしまう 本当に死んでしまう訳じゃないけど 怖いこと 怖いこと 怖いこと 怖いこと 個 歪 孤島 小さな声で大きく叫ぶ 大きな気持ち小さな言葉 何にもしないことでまた同じ日が 繰り返すとしても 小さな力で大きく笑う 大きな身振り小さな嘘 誰にも話せないことだけが 自分の姿を映している 弱さと強さに囚われた人 誰にも言えない 言葉にできない 準備はすでにできてるのに 美しいメロディーに乗せて 軽やかに歌うことができたらな
指と夢
ロックンロールに 騙された 青年の指は 放たれた ロックンロールに うなされた 少女の夢は 始まった 金属音に近い鋭い黄色が押し寄せてくるみたいな 言葉、言葉、言葉、言葉、言葉、言葉に運ばれたような 心地 ロックンロールに 潰されて 笑ってる 人がいる ロックンロールに 跨って 笑ってる 人がいる 綱渡りの曲芸師 6弦の上を歩く 張りつめた足元を かき乱す指と夢 俺の身体を取り囲む 青を欲してる 誰のものでもある鼓動を 欲してる 淀みなく流れ出す言葉に果たして 価値はあるのか 言葉、言葉、言葉、言葉、言葉、言葉に盗まれたような 心地 もういいかい もういいよ 誰も 気にしてないし 抱いた ものを そのまま 抱いて 今は ここで こうして 居るよ ロックンロールに 騙された 男の指は 愛撫する ロックンロールに うなされた 彼女の夢は 花開く