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発達障害の私が向いていた仕事、向いてなかった仕事

発達障害のある方で、求職中だったり、進路に迷ってる学生さんなどにとって自分の「向いている仕事」「向いてない仕事」というのはとても知りたいことだと思います。

私が思うに、おそらく、「ASDの人はこれが向いてる!向いてないものはこれ!」「ADHDの人にはこの仕事が向いてる!これは向いてない!」と一概に全部をくっきり分けれるものではないと思っています。

1人1人、特性はそれぞれ違うからです。

今回は、ASD、つまり自閉スペクトラム症を持っている私が「向いてた仕事」「向いてなかった仕事」、そしてそれぞれの仕事の特徴などを詳しく書いていきたいと思います。

重ねるようですが、最初に言ったように、発達障害の特性は人それぞれ千差万別。
なので、私の事例が全て正解ではないですが、よかったら一意見として参考にしてみてください。

向いてなかった仕事

タイトルとは逆の順番にはなりますが、まずは向いてなかった仕事についてお話しします。
最初に言っておくと、私は現在24歳で、また、障がいなどが原因で社会経験が人よりあまりありません。
なので、少ない事例ですが、よかったら最後まで読んでみてくれると嬉しいです。

接客業のアルバイト

高校生の時に、おしゃれだなあ、と憧れてたある飲食店の接客業のアルバイトをすることにしました。

このアルバイトが自分にとってトラウマの日々になるとは思ってもいませんでした。

初日から怒鳴られっぱなしでした。
ミス連発で、お客さんに迷惑をかけたり、先輩にも迷惑をかけてしまいました。
主に、
・メニューの間違い
・お会計のミス
・商品の作り方の間違い
など、あってはならないミスを連発しました。
また、1回で教えられたことを覚えれず、「前言ったよね??」と怒鳴られたりしました。

初めてのアルバイト、初めての場所、ということもあり、「もしかしたら初めての人はこんなもんなのかもしれない」という甘い考えを持っていましたが、後輩が入ってきたことによりその希望も砕かれました。
自分より仕事ができる後輩、初日からスルスル仕事ができる後輩。
そんな後輩が入ってきたことで、初めて「ああ、私って仕事ができない人なんだ」とやっと気づいたんです。
人生最大の挫折だったかもしれません。

会計、キッチン、接客...目まぐるしくどれもマルチタスクでしなければならず、本当にダメダメでした。
つまり、私はマルチタスクには向いてなかったのです。

だんだん、「あの人ミス多いよね?」とか「あの人おかしくない?」など聞こえたり、私がミスをするたびに、先輩の笑い声がするようになりました。

でも...

本当に辛くて辛くて大変だった仕事でした。
学業を優先するために、辞めたい旨を店長に伝えました。
いつもいつも私にイライラしていたその女性店長は、その望みも怒っていました。

最悪の日々だったな、最後の出勤日も、何度もミスを連発。
どんよりとした気分でした。

帰ろうとした私に、店長が声をかけました。
振り返ると、店長は笑顔で、大きな花束、それからお店の一押し商品、そしてみんなの手紙をくれたのです。
申し訳なく受け取りました。

家に帰って手紙を読みました。
やはり、同僚、先輩たちは当たり障りのないことしか書いていませんでした。

最後に女性店長の手紙を手に取りました。。
私は情けないから、きっと店長も当たり障りのない言葉しか書いてないだろう。
そうドキドキしながら手紙の開けました。
女性店長の手紙には、こう書いてありました。

「あなたは、真面目で責任感いっぱいで、本当に嬉しかったです。
あなたのことが大好きでした。」

私は、それを読んでも、やはり「申し訳なかった、何も貢献できなかった」と思いました。

でも、今考えたらですが、もしかしたら真面目、という点だけは買われたのかもしれません。
個人的なエピソードが長くなってしまいましたが、何が伝えたかったかと言うと、ASDの人はこだわりがある、集中力がある、という特性があるので、そういう特性がある方は「真面目」という武器を持っていることを自覚した方がいいと思います。
私の「真面目」は、店長には買われたかもしれませんが、キビキビ動かなければならない飲食店では同僚にはイラつかれていました。
ASDの方は、この「真面目」という武器をうまく生かせる職場、職種を選ぶのがいいと思います。

向いていた仕事

高校時代のそのアルバイト経験から、すっかり「仕事をする」ということに対して自信を持てず、なかなか次の仕事に移れなかった私。
情けないことに、ニートの期間が1年間ありました。
21の時に、どうしても働かなければならず、就労継続支援A型事業所であるTANOSHIKAの面接に向かいました。
ものすごくドキドキしたのを覚えています。

無事、働かせてもらえることになりました。
初日、早速、支援員さんに「メモをとらないんですか?」と注意されました。
その時、「そっか、お仕事はメモをとらなければならないんだ」と初めて気づいたのです。
当たり前のことができていませんでした。

パソコンを使う職場のTANOSHIKA。
今まで一切パソコンを使ったことのない私がうまく仕事ができるか不安でしたが、支援員さんのあたたかい支援で、 Photoshop、Illustratorなどの技術を身につけて、徐々に自信をつけてきました。
HP制作をさせてもらえることになり、いきいきとした毎日を送りました。

その時、私には「デザイン」という仕事が向いてるのかなあ、と思いました。
もちろん、上には上がいる世界で、自分は下手だったけれど、でも就労継続支援A型といえど、仕事はミスをほとんどせず、毎日楽しくできました。

ずっとデザインをしていたのですが、ライターの仕事にも興味が出ました。
病院の心理検査で、ライティングの技術だけが人並みだったらしく、心理の先生に猛プッシュされ、それだけでなく、自分が文章を書くことが小さい時から大好きだったので、それもありライターチームに入ることに決めました。

ライターチームでも今、いきいきと働いています。
もちろん、ミスはある時もあるけれど、あの接客業のバイトに比べたらもう比べものにならないくらい少ないです。

デザイン、ライターの仕事がなぜ向いていたのか、ここで振り返って整理してみようと思います。

まず、忘れてはならないのは、それがA型事業所だから、という事実です。
支援体制がしっかりできていて、やはり一般のデザイナー、ライターの世界に比べたらキツくはないかな、とは思います。
でも、それでも一般の企業さん相手にお仕事をしたこともあるので、やっぱり向いていたのかな、と思います。

まず、向いていた理由として挙げれるのは、「好きだった」という点もあるでしょう。
職場の雰囲気も好きでしたし、そもそも「デザイン」「ライティング」が本当に心の底から好きでした。
ASDの人は、好きなことは熱中するとよく聞くので、それもあるのかなあ、と思いました。

また、「真面目」という性格、特性がここではうまく行ったのかもしれません。
「デザイン」「ライティング」は真面目にすればするほど、勉強したらするほど、伸びていったので、よかったのかな、と思います。

他にもパソコンも自分には向いていたのかもしれません。
なぜか、パソコンですと、マルチタスクもできました。

ただ、コーディングだけはどうしても伸びなかったです。
私は、精神科の心理検査の結果、「興味のないことはミスをしやすい」という特性があるそうです。
コーディングは英字の集まりです。
興味がなかったのか、打ち間違い連発で、勉強しても伸びませんでした。
実際、「コーディングは向いていない」とはっきりと心理の先生に言われていました。
このことからやはり、お医者さんなどの意見は発達障害の人は参考にするべきなのかな、と思います。
心理検査をすることもおすすめです。

TANOSHIKAが、途中から在宅ワークに代わり、もっと仕事がしやすくなりました。
今まで、「人の口で言ったことの意味が理解できない、メモをずっととらなければならない」という難点が自分にはありましたが、在宅ワークだとメモをとらずとも、チャットに文字で指示が残るため何度も読み直すことができて、解釈するまでの時間が増えました。
結果的に、在宅ワークも私に向いてたんだと思います。

これらのことから言えること

これらのことからはっきり、私が言えること、そして言いたいことは、「人には絶対に向き不向きがある。今ではミス連発でダメな人と言われている人でも、違う職場ではとても重宝される存在になれることもある。つまり、向いてない、と思ったら辞めれるなら辞めていいし、自分をダメだなんて一切思わなくていい。だって向いてないだけなんだから。」ということです。

かなり、就労経験もないですし、社会経験もない私が偉そうに言うべきことではないかもしれません。
でも、私はそう思っています。

そして、転職する際は、心理検査を受けたり、主治医に色々相談したり、することがいいでしょう。
また、通院してない方は、今までのミスの傾向を冷静に感情を抜いて見つめてみるといいと思います。
例えば、電話対応でミス連発だった場合は、在宅ワークを検討してみる。
などです。
冷静に見つめる、と言っても大変だと思うけれど、その場合は友人やパートナー、家族に聞いてみましょう。
もしかしたら、「あなたにはこういう傾向があって、こういう特性があるね、でもこういうことが得意だからこういう仕事が向いてそう」とか有益な情報を得れるかもしれません。

また、これはTANOSHIKAのスタッフさんから教えてもらったことですが、「たくさんの職種を知ること」も大切だと思います。
実際は、私はまだできていませんが、本当にこれは発達障害の方にとって大切かもしれないな、と思いました。
というのは、たくさんの職種を知ることで、選択の幅が広がりますし、自分の特性にぴったり合う職種、職場を見つける可能性も高まります。
私もやってみようと思います。

これを読んでいるあなたは、今暗闇の中を彷徨っているかもしれません。
でも、探せばきっと、「自分にぴったり合う場所」は見つかると思います。
応援しています。
私もTANOSHIKAを卒業できるよう、自分を見つめ、新しい職場探しを頑張ります。

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