本気の指標、諦める指標

いつ諦めるか、これは年齢でもなんでもなく、やりたくないならやめる、というありきたりなものだと思っています。しかし、今回はそういうことを言いたいのではありません。

どれくらいの量をこなしたか、です。

作家を主題に沿えて話します。

まず作家になりたいと思った人の半分以上は一作も書けず終わると聞きます。これは別におかしなことでもなくて、例えば弁護士になりたいと思った人の殆どは結局司法試験を受けるまでいかず、参考書を読んですぐやめてしまったりするのと同じでしょう。つまり「何かになりたい」と思っても殆どが本気じゃないと言うことです。

では本気の人はどうなのか。

漫画やライトノベルの賞では約半数がそもそも「規定」を守らず落選すると言われます。枚数を守っていなかったりということですね。実際私の知っているシナリオの賞でも絶対に2割はこの時点で落選するそうです。

シナリオは小説より書式などの書き方に専門性があるため、基本的に「勉強」した人が多く応募するわけですが、それでさえこの有り様なわけです。

まして漫画やライトノベルは小学生が手書きで書いたようなものさえ送られてくるでしょうから、半数ほどがダメでも不思議はありません。

前にネットの小説大賞の応募があり、そこへ出した作品が誰でも見られる形式だったのですが、10万字が最低ラインであるのに、三ページほどしか書いていないものまで平気でエントリーしているんですね。勿論それらも含めて「応募総数○○作品」になるわけです。

つまり応募総数は最低でも2割、超メジャーな賞は三割から五割は最初からなかったものと考えて差し支えないわけですね。なのでここをクリアするだけで数割を超えたことになるわけです。だから最初から「自分は…」と諦めるのはまだ早い。

さて、ここから本題になりますが、本気の指標について話します。

本気とは個人的に量なのかなと思っています。

色々な作家の努力量や、実際に長年プロでやっているライターさんの話を聞いた内容をまとめると、

①合計1000万字書く②一万枚書く③まず十作書き上げる④300作品書く

となります。

①は入間人間という有名なライトノベル系の作家があとがきに書いていたことですが、彼は約二年ほどで20MB書いたそうです。1MBが50万字ほどなので、約1000万字。250ページくらいの小説が10万字以上ですから、約100冊分書いたことになります。

②はあるプロの作家さんが一万枚書けばまずプロになれると言っていた話です。一万枚は300ページの小説33冊分になります。

③は「化物語」で有名な西尾維新が言っていますね。彼は14作目でプロになっています。

④は芥川賞の審査員の方が言った言葉です。これは短編も含んでいいと思われます。つまりプロでやっていくストックとして最低300くらいは書いた経験のアイディアがなければダメという話ですね。

他にもありますが、これで見えてくることは、「これくらいやってダメなら堂々と諦めていい」ということです。

実際、作家を諦める人の99%は生涯で書き上げる作品数が10を超えることはまずないと思います。短編のみなら行けても長編10作は殆どができず挫折します。

たまに一作目で受賞する人がいますが、本当に稀ですし、「だからそんな書く必要なんてない」という人はそういうことを持ち出す時点で「努力はそこまでしたくない」のが透けていますよね。

昨日書いた記事でも言いましたが、この努力をしなかったとして、他にどうしてもやりたいことがないのであれば何年かかってもやればいいという話だと思います。

第一日本語は書けるからと作家に関しては安易に思う人がたまにいますが、絵画を書く人が十作品も描いたことさえなく、しかし「プロになりたい」と言っていたら「はあ?」と殆どが思うでしょう。

イラストレーターが数枚しか書き上げてないのにプロになりたいと言っていたら。

文を書く作家も全く同じなんじゃないかと思います。

本気ならやればいいし、これで最終選考や何かの枠に一回も選ばれないならさすがに諦められるはずです。

これは大半のことに言えます。ブログだって100日は更新しろと言いますし、記者だってライターだって何記事まではやれと言われることがあると思います。

人間がやる以上、ある程度の目安や指標は必ずある。

それを目指してひたすらやればいい。そう思うと見えない出口の地図くらいは手に入れた感覚になりませんか。

無理だと思う常識を突破すること。それくらいやって当たり前くらいの気持ちでいること。そうすれば案外無理じゃない。

一万枚だって1000万字だって何も100作品近くを「完成させろ」と言っているわけじゃありません。完成させるのは10作品であっても、残りはひたすら習作や短編、駄文でもいいから話を書くわけです。

話題になったスマホを落としただけなのにのかつての上司だった方が言っていましたが、かの作者は一番文章が下手で仕事もできなかったと言っていました。簡単に言えば今のあなたの仕事場で文章が下手な仕事のできない人がデビューできた、そういうこともあるというわけです。

大切なのは何の目標であれ、現場のプロの人に話を聞いて絶対努力量の目安を知り、逆算してやること。

そういう姿勢が大切なのかなと思います。

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