1月に送った手紙

“昨日はありがとうございました
とても…美しかったです

何かを生み出すときの
ひりひりした感覚

それを誰かとわかちあうことはなかなか難しい最近なのですが
だから昨日は貴方の演奏を観れてよかったです
切実に並ぶ音の美しさに思い知りました

今、わかちあっている…と
勝手に感じながら
思っていました

そうしたら貴方も演奏中
「わかちあっているよね?」と
違うことを指しているかもしれないけれど
仰っていたので なんとなくうれしおかしく笑いました

去年は体調を崩し制作もままならぬ1年だったので
ただ明るくポジティブなものではない、
何かを経てきたからの美しさが
今のこころに添いました

自分には
知性と静寂と 
ひりひりとした
あるぎりぎりの美しさが必要
とあらためて感じている最近ですが

静寂 というのは
深い闇を ぎりぎりの淵から
覗き込むときの孤独感のような
しん、とした境地のことを思います


帰りに近所の店で食事をしているとき窓から
酒屋さんのお兄さんがトラックに荷を積む姿が見え
重いケースを積み上げ、腰を叩き、一瞬ボー然と立ち尽くす
それを見て、自分ばかりがいっぱいいっぱいになっていたのだな
でもみんな誰もが孤独な積み重ねをして生きているのだな、と思いました

ずっと欠乏していたある部分が満たされたせいなのか
他者を思い気づかう気持ちがもどってきました
わかちあえるということは生き物として
とても大切なのですね

ほんとにどうもありがとう
お身体、おだいじに
どうぞご息災で”

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