九月雑記 夏の自動販売機
様々な売り場が季節を先取りして秋色に染まるなか、自動販売機は平然と夏の面構えをしたままでいる。
あったか〜い を見かけない。
冷やし続けるよりも温め続けるほうが電気代がかかることは調べなくてもわかる。熱く怒るより冷めて諦めるほうが楽だもんね。違う?似たようなもんでしょ。
九月一日から、はっきりと秋になった。
雨と冷えが続く日々。
それでも あったか〜い を見かけない。
自動販売機さんよ、機械の体と言えど商売魂は持っていてもいいんじゃないかい?熱々の缶コーヒーはコンビニじゃ手に入らないんだぜ?それでも つめた〜い だけ売るって?そんなお前さんへの人々の視線のほうが冷たいんじゃないかい?
なんて思っていたら、夏が戻ってきた。
九月下旬、数日、暑かった。
クーラーを点ける日すらあった。
つめた〜いだけの自動販売機が白々と光っている。
つめた〜いだけの自動販売機があるから、夏が戻ってくるのかもしれない。
川面から顔を出している石に、笹舟がひっかかるように、自動販売機の角っこに、夏の欠片、がひっかかって、ある日、季節の移ろいに押されて一斉に夏の欠片が流れはじめてそこここで漂うことで夏が戻ってくるのかもしれない。
ゆるやかに夏の欠片が去っていく。
マウンテンデューのTシャツを買った。
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